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独自視点で、阿賀野市と各地のいいものを揃える「道の駅あがの」。

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独自視点で、阿賀野市と各地のいいものを揃える「道の駅あがの」。

出かけるとついつい寄ってしまうのが、道の駅。その土地の新鮮なお野菜や果物、日持ちする特産品などを求めて、気づくとショッピングバッグいっぱいに買い物をしてしまいます。ここ数年、県内では新しい道の駅がいくつかオープンしていますよね。そのひとつ、「道の駅あがの」にお邪魔して、駅長の坂井さんに施設の楽しみ方や特色を聞いてきました。

道の駅あがの

坂井 文 Aya Sakai

1987年阿賀野市生まれ。出産後に食の大切さに気づき、直売所や「パルシステム」、「食農ネットささかみ」などで働く。2021年に「道の駅あがの」の駅長に就任。翌年、同施設がオープン。

阿賀野市の課題は、アイディアで解決。

――坂井さんは、どうして駅長さんというお役目に就こうと思ったんですか?

坂井さん:以前から、食や農業に関わる仕事をしていたので、阿賀野市に道の駅ができると話題になっていた頃、「坂井さんは、農産担当にぴったりかもね」なんて周りから言ってもらっていたんです。でも、せっかくだから「地域と一体になってどう発展していくか」を考える中心にいたいと思ったんです。それで、駅長の公募に手を挙げました。

――どんな構想をお持ちだったんでしょう?

坂井さん:公募時に提案したことは、いくつか「道の駅あがの」に反映されていますよ。例えば、農産品販売コーナーでは、阿賀野市以外の農作物もお買い求めいただけます。これは、阿賀野市では稲作が盛んな一方、園芸品目があまり栽培されていないという課題から生まれた発想です。産地と直接取引をして、お互い適正な利益を確保できる利点もあります。

――課題から生まれたアイディアが採用されているんですね。

坂井さん:仲介業者を頼らないのは、生産者さんにしっかり利益を還元したいという理由です。それともうひとつ「ブランドを確立したい」という狙いもあります。価格の安さでは、近隣のスーパーさんとは勝負にもなりません。そこで品揃えに魅力を感じてもらおうと思っています。あまり市場に出回っていない、他の地域の農産物もたくさん揃っているんですよ。

――例えば、どういうものが?

坂井さん:提携している山形の道の駅から仕入れている果物やタイの「ホムトンバナナ」などが、いい例ですね。「ホムトンバナナ」は農薬と化学肥料を使わずに生産されているバナナです。一房300円ほどの値段なので、普通にスーパーでバナナを買うよりもずっと高いんですけど、そこにはストーリーがあるんですよね。「ホムトンバナナ」を目当てに来てくださる方も多いですよ。

――へぇ~。他の道の駅の商品も買えるんですね。

坂井さん:道の駅同士の連携は活発ですよ。「道の駅あがの」のオリジナル商品「おこげせん」を山形に卸して、山形の道の駅からはりんごを届けてもらっています。高知の「道の駅 四万十とおわ」とも連携していて、「道の駅あがの」のきな粉があちらに並び、高知のお芋のスイーツがこちらに並んでいます。

――この辺りでは買えないようなものも多そうです。

坂井さん:道の駅は観光の拠点でもあるわけですけど、それだけではなく、地元の皆さんにも足を運んでもらうことも大切なんですよね。地元食材は他のお店でも手に入りますから、「道の駅あがの」では他の地域のもの、しかもちゃんと物語があって、生産者さんが気持ちを込めて作っているものを届けたいと思っています。

駅長の思いが届いた「三角だるま」と「パルシステム」。

――地域の特産や工芸品を知ることができるところも、道の駅の魅力ですよね。

坂井さん:あまり知られていない阿賀野市の「いいもの」に光をあてられたららいいなと思っています。阿賀野市の工芸品のひとつ「三角だるま」は、これまでほとんど販売されていませんでした。でも私としては、「『三角だるま』がなくちゃ、阿賀野の道の駅ははじまらないでしょう」という思いがあったので、作家の今井さんを直接訪ねて「三角だるま」を販売できないかお願いしたんです。「そこまで言うんだったら頑張ります」と、今井さんが期待に応えてくださいました。

――施設内に「パルシステム」のコーナーもありますよね。道の駅と「パルシステム」、多少は競合関係にあるような気もするんですが。

坂井さん:道の駅内に「パルシステム」があるって、独特だと思いますよ(笑)。「パルシステム」と旧笹神村は、40年の交流の歴史があります。私の以前の職場でもありますし、そんなご縁から、「道の駅あがの」に入っていただきました。ちなみに全国初の試みだそうです。

――へぇ~。駅長の手腕が光っていますね。

坂井さん:いろいろな条件があるので、こういった施設に出店するのは珍しいそうですが、今回は無理を聞いていただきました。計画段階では、「パルシステム」があるスペースはコンビニになる予定だったんです。便利でしょうけど、「なんだかちょっと寂しいな」と思ったんですよね。「いかに地域のためになれるか」を考えて、「パルシステム」さんと組みたいという私の思いを叶えていただきました。

――坂井さん、駅長という役職についてから、重責を感じるようなときはありませんでした?

坂井さん:「人に見られているかもしれない」っていう意識は出てきましたよ(笑)。お買い物していると「駅長さんですよね」と声をかけられるんです。まさか知ってもらっているとは思わず、びっくりです。なので、いつも笑顔でいるように心がけています。皆さんからたくさんの期待を寄せてもらっているので、この役職をいただいていることは「ほんとうにありがたいな」と日々感謝しています。

視野を広げて、県内全域を発信する拠点に。

――オープン後にも、いろいろな創意工夫をされているんでしょうね。

坂井さん:今までは「阿賀野市」という視点で考えていましたけど、もう少し視野を広げて「新潟県のいいもの、美味しいもの」にも注目したいと思っているんです。新潟は広いですし、まだまだ知らずにいる、その土地の名産がたくさんありますから。阿賀野市はもちろん大切にしつつ、新潟県全体を表現できたらいいなと思っています。

――地元の人が知っているグルメって、間違いなく美味しいんですよね。

坂井さん:先日、佐渡に視察に行き、いろいろな事業者さんにお会いして、「佐渡って、ものすごく魅力的」と肌で感じました。この春、4月25日(金)~5月25日(日)まで、佐渡フェアを開催予定です。「道の駅あがの」全体が佐渡尽くしになる「飛び抜けて本気の佐渡フェア」ですので、ぜひ足を運んでいただきたいです。

――もうすぐ3月なので、駅長おすすめの春の商品を教えてください。

坂井さん:春先は、やっぱり越後姫ですね。「道の駅あがの」では、7名ほどの農家さんが越後姫を出荷してくださっています。農家さんによって形や味に特色があるので、お気に入りの農家さんを見つけてみてくださいね。

道の駅あがの

住所/阿賀野市窪川原553-2

tel/0250-25-7011

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