夏の涼! 清々しい「お茶のかき氷」でおいしくクールダウン【奈良】
本日の一品 > 大和茶カフェ 茶樂茶 SARASA の「大和茶かき氷」(奈良・ならまち)
奈良・氷室神社で行われる献氷祭にちなみ、かき氷をこの地の名物に、と始まった“ひむろしらゆき祭”。すでに10回を超え、すっかりかき氷の聖地のようになった奈良には、それを目指して訪れたくなる名作かき氷が増えました。そんな中で見つけた、日本茶が香る繊細で清々しい氷を目指して、ならまちへ。
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「まるで“かき氷で味わう大和茶”の趣です!」(齋藤優子さん)編集部の「これも食べたい!」
【水曜15時のあまいもん】とは?
関西の食に精通するライター、エディター、フォトグラファーなど“取材のプロ”たちが、ほんとは教えたくない関西の「推しおやつ」を、和洋問わずレコメンド。確かな目利きで選んだあまいもんは、どれもわざわざ足を運んで大正解の、ハズレなしのおいしさです。
「まるで“かき氷で味わう大和茶”の趣です!」(齋藤優子さん)
大和茶カフェ 茶樂茶 SARASA の「大和茶かき氷」
「大和茶かき氷」1320円。煎茶のシロップに、白玉、抹茶アイス、粒あん、大和茶の茶葉を焼き込んだチュイルのトッピング。販売期間は7月から9月末まで。
「抹茶はまだしも、香りの立ちにくい氷点下の世界で煎茶の味わいを表現するのは、難しいはず。実際、なかなかおいしい煎茶やほうじ茶の氷には出合えません。でも、日本茶の名産地のひとつ、奈良で出合ったこのかき氷は、食べた瞬間、清々しい香りやほのかなうまみが感じられ、まるでかき氷で味わう大和茶の趣。黄緑色のシロップの色合いも、信楽焼の器も涼やかです」(齋藤優子さん)
奈良で生まれ育ち、長く茶道を嗜んできた店主の石川由実子さんが、平安のころより続く故郷の日本茶“大和茶”にスポットを当てて、2020年に構えた大和茶カフェです。店内に伸びる幅90cmの一枚板のカウンターの手前には、茶釜があり、煎茶を入れ、抹茶を点てるところから、大和茶を味わうことができます。
アンジェリンと呼ばれる木材を使った幅広のカウンター。目の前でお茶を入れてくれるので、心地良い香りに包まれます。
そして、暑い季節だけのお楽しみが、大和茶を味わう3種のかき氷です。大和茶かき氷は、店でセレクトしている、香りと旨味が濃厚な大和のかぶせ茶で作った2種類のシロップが、削った純氷にかかります。煎茶そのものの清々しい香りが味わえる、繊細な仕立てで、大和茶の茶葉を焼き込んだチュイルが食感のアクセント。食べ終わるころにやってくる、温かいほうじ茶もうれしい限り。
そのほか、抹茶「やまとみどり」のみを贅沢に使った抹茶のかき氷と、香ばしさが醍醐味のほうじ茶のかき氷が楽しめます
編集部の「これも食べたい!」
季節の上生菓子と抹茶
「寧楽菓子司 中西与三郎」製 季節の上生菓子660円。写真は、きんとん製の花てまり。きんとんの中はこしあん、周りに錦玉羹(きんぎょくかん)をちらしてあります。
大和茶に合わせた通年の甘味は、シフォンケーキ、紫芋モンブラン、みたらし団子など、和洋の垣根を越えてスタンバイ。季節の上生菓子は、同じならまちで、大正2年から続く老舗和菓子店「寧楽菓子司 中西与三郎」のものをセレクトしています。一緒に添えた、ひと口サイズの抹茶シフォンには奈良県産の卵を使っていて、奈良へのこだわりが随所に感じられます。
抹茶は「やまとみどり」660円と、「特撰抹茶さみどり」880円。どちらにも赤ワインの錦玉羹がつきます。
目の前で点ててくれる抹茶は2種。奈良で育成された希少な品種「やまとみどり」と、春日大社花山院宮司より「神野の白」とも命名されている「さみどり」。バランスのいい、穏やかな味わいで、好みの茶碗を選んで一服できます。
甘味のみならず、店内の設えから作家ものの器、照明に至るまで。店主である石川さんの“大和茶でゆっくりと、豊かなひとときを過ごしてほしい”という思い、こだわりが伝わってきます。
教えてくれた人齋藤優子/Yuko Saito
『BRUTUS』『&Premium』など、雑誌を中心に執筆しているライター。食に関する取材が多く、しばしば関西を訪れているうちに、関東とは違う食文化をもっと知りたくなり、2018年に京都にも拠点を設ける。現在は京都と東京を行ったり来たりの日々。
DATA
大和茶カフェ 茶樂茶 SARASA
奈良県奈良市公納堂町6‐1
0742-95-9693
営業時間:11:00~18:00
定休日:月・金
\from Editor/
関西における日本茶の産地と言うと、真っ先に思い浮かぶのは、京都の宇治。でも、思えば、月ヶ瀬のある奈良県も名産地なんですね。古都らしい静かな街並みにあっても、ひと際、静かなひとときが過ごせる日本茶カフェで、かき氷で、抹茶で、ほうじ茶で、大和茶を堪能しました。
※最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
写真/吉村規子 文/齋藤優子 企画・編集/吉村セイラ