センシンロボティクスと中部電力パワーグリッド、「送電設備の異常を自動で検出するAI」を開発。ドローンの映像をリアルタイムで解析
株式会社センシンロボティクス(以下、センシンロボティクス)と中部電力パワーグリッド株式会社(以下、中部電力パワーグリッド)は、新たにリアルタイム異常検出における対象範囲の拡大および鉄塔ボルト脱落・錆検出に関するAIを開発、中部電力パワーグリッドが保有する送電設備の点検での導入が決定
リアルタイム異常検出AI
「がいし」リアルタイム異常検出
公衆保安確保の観点から、第三者に対し災害の発生する恐れのある異常は早急に発見する必要がある。これまで、手元のモバイルデバイスに伝送されるドローンのリアルタイム映像(ライブストリーム映像)をもとに、「電線」の素線切れ・溶損や、「がいし」の破損・欠けといった異常をリアルタイムに検出するAIを開発し、2023年度からすでに現場運用を開始していたが、今回、新たに電線付属品である「ダンパ」の重錘脱落や、「スペーサ」の把持部外れ等をリアルタイムに検出するAIを開発した。
「電線」リアルタイム異常検出後の結果表示
モバイルアプリケーションで「ダンパ」を検出した様子
鉄塔ボルト脱落・錆検出AI
鉄塔に関する異常について、「ボルト」の脱落や「鉄塔錆」を検出するAIを新たに開発した。鉄塔種別(アングル鉄塔、パイプ鉄塔の2種)と鉄塔塗装色(未塗装、防錆塗装(グレー)、航空標識塗装(赤白)環境塗装(茶色)の4種類)別に学習・評価を実施しているため、様々な種類の鉄塔の異常を検出できるという。
「鉄塔錆」検出については、錆の度合いに応じたランク分類も可能。
錆検出後の画像
錆異常検出インターフェース
今後
今回、新たに開発した「ダンパ」「スペーサ」「ボルト」「鉄塔錆」に関する異常検出AIは、2024年度中に「POWER GRID Check」への実装を行い、現場運用を開始する。
異常検出結果は、「POWER GRID Check」上に強調表示され確認できる。開発したAIモデルは今後も精度向上に向けた継続的な学習が必要となるため、ユーザーのフィードバックを元に、再学習やアルゴリズムの再選定を行い、AIを高性能化するスキームを構築するという。
また、変電設備への業務適用も視野に共同研究開発を行っており、変電業務向けに確立した「計器指針検出AI技術」に関しても「POWER GRID Check」への実装を来年度以降で予定している。
送電設備だけでなく変電設備の保守・保全業務も担えるアプリケーションへと開発を進めていき、引き続き一般送配電事業全体への適用を目指していくとしている。
センシンロボティクス