Yahoo! JAPAN

2025年版ものづくり白書を公開 従業員の能力開発「規模で格差あり」、国が支援の必要性を指摘

月刊総務オンライン

2025年版ものづくり白書を公開 従業員の能力開発「規模で格差あり」、国が支援の必要性を指摘

経済産業省は5月30日、2025年版「ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を公表。白書では従業員の能力開発について、従業員規模で実施率に格差が生じており、国などによる支援の必要性を指摘した。

職場外研修の実施率、従業員数49人以下は6割が実施 1000人以上は99%

2023年の製造業の職場外研修の事業所規模別実施状況は、従業員数1000人以上の製造業で99.0%だった。一方で30人以上49人以下の製造業では62.6%にとどまるなど、企業規模で実施率に差が出ている現状が浮き彫りとなった。

自己啓発の支援も、従業員数1000人以上の製造業は99.0%の製造業が支援を行っていたが、従業員規模が少なくなるのに比例して自己啓発支援の実施率も下がり、30人以上49人以下の製造業の実施率は74.5%だった。全体では80.7%の製造業が自己啓発支援を実施していた。

実施内容としては、「受講料などの金銭的援助」が83.7%と最多で、「教育訓練機関、通信教育の情報提供」(83.7%)「就業時間の配慮」(35.4%)「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」(33.8%)「社内での自主的な勉強会等に対する援助」(30.9%)と続いた。

こうした状況を踏まえ、白書では企業の状況に応じて人材開発支援助成金などを活用して企業の人材育成の後押しする必要性を指摘した。

中小企業ついては人材育成に関する相談を受け付け、生産性向上人材育成支援センターから、在職者訓練、職業訓練指導の派遣、施設設備貸与の中からプランを提案するといったことが提案された。

DX導入、2割強で新規採用は行わず 既存の人員で対応

白書では、製造業の労働力が不足する中、生産性や競争力向上へデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みも促した。

製造業DXの取り組み状況について、デジタル技術導入のきっかけは、従業員規模が小さい製造業では経営者・役員の発案の割合が最も高かったが、従業員規模が大きい製造業では、従業員からの要望の割合が最も高かった。

※画像クリックで拡大

デジタル技術の導入に際しては、約6割の企業が社内人材の活用・育成により人材確保を行っていた。2割強の製造業では、新たな人材確保を行わず導入部署の既存人材のみで対応していた。

※画像クリックで拡大

こうした状況を踏まえ、白書ではDXに対応する在職者向けの訓練の強化の必要性を指摘した。特に中小企業については、DX推進人材を育成するにあたり、人材育成に関する相談を受け付け、さまざまな支援メニューの中から最適な人材育成プランを提案し、職業訓練の実施まで一貫して支援する方向性を打ち出した。

このほか、中小企業を中心にサプライチェーンのリスク把握といった経済安全保障面での対策について、約7割の製造業が「経済安保を聞いたことはあるが、具体的なイメージがわからない」と回答するなど、対策が遅れている実態を指摘した。

2025年版ものづくり白書の詳細は経済産業省の公式サイトで確認できる。

【関連記事】

おすすめの記事