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過去最強のSUPER BEAVER、ライブハウスからスタジアムへと架けられた20年という階段――「あなたがいるから鳴る音楽なんだよ」

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SUPER BEAVER

20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム
2025.6.21 千葉・ZOZOマリンスタジアム

SUPER BEAVERが、6月21日に千葉・ZOZOマリンスタジアムで『20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム』を開催した。

2025年4月1日に結成20周年を迎えたSUPER BEAVERは、アニバーサリーイヤーに突入するなり、UVERworld、THE YELLOW MONKEYを対バンに招いた埼玉・さいたまスーパーアリーナでの自主企画や、東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)のオープン2周年記念公演、東京・国立代々木競技場 第一体育館では昼夜2公演のフリーライブの翌日にFC限定ライブ、さらには並行して東名阪ワンマンツアーを敢行するなど精力的に活動。6月20日・21日に千葉・ZOZOマリンスタジアムで行われた初のスタジアムワンマン2DAYSも見事にソールドアウトし、バンドにとって過去最大キャパの大舞台を見届けるべく、2日間で約6万人が全国から集まった。

前日に続いて掛け値なしの晴天となった21日は、ZOZOマリンスタジアムをぐるりと埋め尽くした大観衆が、開演時間ジャストからカウントダウンのように手拍子を始める期待感MAXのお出迎え。そこに姿を現したのは柳沢亮太(Gt)、上杉研太(Ba)、藤原“37才”広明(Dr)に加え、近年のSUPER BEAVERの作品群にアレンジャーとして携わってきた河野圭(Key)。最後に登場した渋谷龍太(Vo)は深く頭を下げ、“やりますか”と一言。1曲目の「東京」のド頭から大音量のシンガロングが並走する観客とのあうんの呼吸で、運命の日がいよいよ動き出した。

日本武道館、国立代々木競技場 第一体育館、さいたまスーパーアリーナ、山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレスト……これまでも“キャリア最大規模”を何度も更新してきた彼らは、今やそんな触れ込みを前にしても動じることはない。“さぁ千葉マリンスタジアム、しょっぱなからできるところを見せてもらっていいですか?”という渋谷の一声とド迫力の爆発音が、息つく暇もなく「青い春」へといざなっていく。“3万人の声ってこんなにデカいのか……”と驚かされる大合唱には、誰一人欠けてもこの夜は成立しなかったと早々に思い知らされる。

渋谷の言う“俺たちはライブハウスから来たんですよ。ここをライブハウスにしませんか?”が、決してお決まりのセリフに聞こえない距離の近さを確信させたのは「突破口」。それこそが、SUPER BEAVERが20年かけて築き上げてきた“現場至上主義”のたまものと言えるだろう。

“20周年の節目に面白いことをやろうと考えたとき、「まだスタジアムでライブしてないじゃん」と思った結果、単独公演をやらせてもらってます! 本日も満員御礼、ありがとうございます。見に来られなかった人の分まで、その人の代わりに、楽しむことは不可能です。その人が会場に来たときは俺たちがしっかりやるから、今日はあなたがあなたの時間をしっかり楽しむんだぞ。SUPER BEAVERしかできない音楽を、最高の時間を、俺たちで一緒に作りましょう”(渋谷)

渋谷が歌わずともこだまするオーディエンスの歌声で、すでに鳥肌。「美しい日」×ZOZOマリンスタジアムという方程式が、無敵の化学反応を引き起こす。「楽しいことも苦しいことも幸せなことも……このライブも、人生さえも、《あっという間に終わってしまうよ》」(渋谷)と始まった「閃光」は、読んで字のごとくの照明が、瞬く間に高揚感を増幅。エッジィなギターが空を切り裂いた「ひたむき」でも、スタジアムを震わせる重さとキレのあるサウンドで見る者を圧倒する!

藤原の力強いリズムが導いたのは、この春からフジテレビ系『めざましテレビ』のテーマソングとして朝を彩ってきた新曲「主人公」だ。端から端までいったい何メートルあるのかという巨大なステージを練り歩きながらしなやかなボーカルを響かせた渋谷が、眼前に広がる何とも幸福な光景に、“おかげで最高でした!”と充実した表情で感謝を述べる。

“紆余曲折、山あり谷ありで変なルートをたどってきたバンドだと思っていて、全然スマートな道のりじゃなかったなと。4人で音楽をやってきた時間が長いからこそ、あなたがいてくれて音楽が楽しいということが、どれだけ尊くて素晴らしいことなのか、身に染みて誰よりも分かってるつもりです。だから何度言っても足りないんだよ。本日はどうもありがとうございます!(長い長い拍手) 俺たちが誇れるのは「人に恵まれてること」、この一点のみ。ただ、この一点がどれだけデカいか。「SUPER BEAVERのライブはヤバい」っていろんな人が言います。俺もそう思います。だってあなたがいるんだぜ。俺はあなたと一緒に音楽をやってるつもりでいます。それをオンステージするたびにあなたがかなえてくれてる。マジで思うよ、いつもありがとね! あなたの楽しいが俺たちの楽しいなんですよ。あなたが喜んでくれて、うれしいなと思ってくれて、明日からも頑張ろうと思ってくれたら、それが俺たちにとって最高の幸せなの。音楽家である前に、バンドマンである前に、一人の人間として、しっかりとあなたに届いたらいいなと思います”

渋谷のMCに揺さぶられた心に切々と流し込まれた「人として」に、どれだけ抗ったってこみ上げる涙は止められない。みるみるうちに日が落ちたZOZOマリンスタジアムにそよぐ風と音楽が、優しく体を包み込んでいく……。その余韻のなか、“音楽は腹の足しにはならないし、誰かの病気は治せない。ただ、音楽より大事だなと思える人と出会わせてくれた、俺たちにとって大事な音楽で、衣食住を越える何かになりたい。そう強く思っています”(渋谷)という切なる願いを託した「片想い」が、ゆっくりと、確実に、忘れられない今日を脳裏に刻み付けていく。河野の美しいピアノも存分に機能した珠玉のバラードゾーンとなった。

ここで渋谷が、“狙った通りの時間にしっかりと日が暮れまして……いい風景! 俺の目の前には好きな人しかいない。でも、しみじみするにはまだ早い、ということでメンバーの声も聞いてみたいと思います。トップバッターは……柳沢先生です!”とバトンタッチ。“昨日と今日のためにスタッフが5日間ぐらい朝から夜中まで作業してくれて、こんな素晴らしいライブが作ることができています。いつもありがとう、最高だよ!”と柳沢が言えば、“俺はレッチリ(=レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)が大好きで、『SUMMER SONIC』に出たときにここで見たんですよ。それから「どうやってあの音を出してるんだろう?」と吟味して機材から作り上げた音で、今自分がワンマンをしてるのはだいぶエモいと思う”と上杉。その後は、じらしにじらして(恒例)、渋谷から“うちのかわいこちゃんです!”と紹介された藤原が(笑)、“ずっと座ってるから立ってもいいですか? 俺もZOZOマリンスタジアムに立ってるぜ、ありがとねー! (同じFUJIWARAである千葉ロッテマリーンズの藤原恭大選手のタオルを掲げ)俺さ、せっかく野球場に来たから、ヒットじゃなくてホームランを打ちてー! 全員でホームランを打とう!!”と場内を沸かせた。

合間にも演奏中の上杉の腕に付いたカナブンの羽に大騒ぎしたり、藤原をいじったりと(恒例)、結成から20年経った今でも無邪気に盛り上がる4人の関係性には、ほほが緩む。

“昨日は勢い余っちゃったけど結構良くて、何がいいのかを考えたら、「これが俺たちがやってきたライブハウスの距離感だ」と思って。「後ろの方も意外と見えるよ」って、いろんなアーティストがよく優しさで言うけど、俺は違うんだよ。「油断すんな」って言ってるの。20年やってきた、これが俺たちの戦い方です”(渋谷、以下同)

絶え間なく吹き上がる炎もろともぶち上げた、後半戦の幕開けは「正攻法」! 上杉と藤原の繰り出すビートに、“思ってること、考えてるもの、伝えたい気持ち、歩んできて見たもの……全部ここで音楽になる。だからあなたが必要なんだよ。ホームランを打つんだろ!? 本気を見せてみろよ。束になってかかってくるなよ、お前一人でかかってこい!”という渋谷の言葉が添えられると、自分の体温がグッと上がるのが分かる。ド派手な照明とともに放った「秘密」では、3万人を巻き込むすさまじい熱量で一気にテンションを引き上げ、そして……!

上杉の強烈なベースラインが、魂を解放する。俺たちのアンセム「東京流星群」が今、スタジアムで鳴り響いている。この曲が世に出た12年前、こんな景色の中で歌われることになるとは、いったい誰が想像できただろう? 小さなライブハウスすらガラガラだったあの日から、一歩一歩這い上がった4人がつかんだ未来が、間違いなくここにはあった。

“どこでどんなふうに歌っても、目に飛び込んでくるのはいい顔ばかり。全員違う、だから素敵です。一体感、一つになろうぜ、それが音楽の目的じゃない。あなたが最高の気持ちならそれでいい。結果的に同じ方向を向いて生まれる一体感が、一つが、俺は好きです。誰一人ないがしろにしたくないの。あなたが、俺が、私がいるからって、しっかり思ってもらうまで全力で言うよ。あなたがいるから鳴る音楽なんだよ。だから俺はSUPER BEAVERが好きなんだよ。柳沢、上杉、藤原、河野さん、俺、あなた……最後の最後までフルボリュームで鳴りますように”

この20年で出会ってきた一人ひとりの思いを背負ってどんどん強靭になる「名前を呼ぶよ」を披露した後、“俺たちはいつでもお前の味方だ。お前にはSUPER BEAVERがついてるぞ!”と、渋谷がいつになくストレートなエールを送ったのも頼もしく、映画『金子差入店』の主題歌「まなざし」で、3万人がジャンプするさまは壮観! スタジアムですらホームに変えるSUPER BEAVERのライブ力には感心させられるばかりだ。

何より圧巻だったのは、神秘的なブルーの霧間から聴こえてきた「それでも世界が目を覚ますのなら」。「東京流星群」と並んでセットリストの中では過去の曲であったが、アンビエントなシンセでガラリと雰囲気が変わったドラマチックかつ壮大なアレンジで、名曲としての風格を上乗せ。まるでハリウッド映画のエンドロールのような新たな魅力と求心力を備え、彼らがスタジアムクラスのバンドになったことを音と光で完全に証明していた。

“おかげで最高だよ、どうもありがとう! 俺たちの音楽は、全力で音を鳴らして、死ぬ気で生んでまた生きて明日につなげて、ピタッと鳴り止んだその先が勝負。どうかこれからも、それぞれの人生を胸張って生きられますように。今日の音楽は紛れもなくあなたが作ったものです。そんな自分に拍手! ここで今日一番の拍手が起きなかったら俺たちのライブは失敗だ。残り3曲、全力でやるから全力で来い!”

天をも突き刺す藤原のドラムと沸き立つクラップが、文字通り「小さな革命」を巻き起こすように、広大な空間に音楽を響き渡らせていく。キャパがデカくなるのに絆も強くなる感覚はSUPER BEAVERのライブならではで、やればやるほど過去最強になっていく「アイラヴユー」の曲間では、頭上に大きな打ち上げ花火が! ラストはスーパーハイボルテージな「切望」。特効爆裂しまくりの今日一日の全部盛りで、宴はついに万感のフィナーレへ……。

「もうどこでやっても驚かないな」と4人に話したことがある。実際、これまでのワンマンで最もデカいZOZOマリンスタジアムでのライブが、最も緊張していないようにすら感じた。何でそう思うのか、何でそう見えたのか。それはある意味、彼らが20年間、常に地続きの活動の上で、身の丈に合ったことを真摯にやり続けたから。そう思いを巡らせた後、「2日間で6万人動員が身の丈に合っているって、いったいどんなバンドだよ!」と笑ってしまった。だからSUPER BEAVERが今後、何を成し得ても、きっと驚かない。また一歩ずつ階段を上がって、新たな夢をかなえても、今日と変わらずこう言うだろう。

「レペゼンジャパニーズポップミュージック、フロムトーキョージャパン、俺たちが、いや、俺たちでSUPER BEAVER。ありがとうございました! また会おうな!!」

全18曲、2時間半。まさに完全燃焼のオンステージで、SUPER BEAVERが「過去最高」をまたも更新してみせた。

なお、終演後には、2026年1月17日(土)・18日(日)愛知・ポートメッセなごや 第1展示館よりスタートする7都市14公演のアリーナツアー『都会のラクダ TOUR 2026 ~ラクダトゥインクルー~』を発表。7月2日(水)にはニューシングル「主人公」をリリースする。

また、この日のアーカイブ映像は、WOWOWオンデマンドで7月20日(日)23:59まで配信中。WOWOWでは、7月31日(木)20:30より同映像を再放送後、23:00にはメンバーのトークとともにZOZOマリンスタジアムでのライブを振り返る特番も放送される。

取材・文=奥“ボウイ”昌史
撮影=青木カズロー/浜野カズシ

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