センバツ初出場の長崎・壱岐高へ 伊賀から卒業生がエール
3月18日に兵庫県の阪神甲子園球場で開幕する「第97回選抜高校野球大会」に21世紀枠で初出場する長崎県立壱岐高校(壱岐市)。九州の北方・玄界灘に位置する壱岐島で生まれ育ち、現在は600キロ離れた伊賀市諏訪から球児たちを応援する卒業生の山口正淳さん(77)は「物怖じせず、大舞台でまずは1勝してくれたら」と大会を待ち望む。
南北約17キロ、東西約15キロの壱岐島は九州本土と対馬の中間にあり、今年1月時点の人口は約2万3600人。壱岐高校18期生に当たる山口さんは、卒業し18歳で故郷を離れた。奈良県平群町の職員となり、58歳の退職と同時に、妻の実家がある諏訪へ転居した。
肉牛の飼育や米作り、酒(焼酎)造りが盛んな、壱岐と似たところも多い伊賀に暮らして約20年。孫やひ孫にも恵まれ、現在は地元老人クラブやNPOの代表を務めるなど、忙しく過ごしている。
高校時代は、島全体をコースにした駅伝大会が印象深かった一方、当時軟式だった野球部は「特別強かったというイメージは無い」と振り返る。自身は野球部員ではなかったが、今でも夏に長崎大会が始まると、母校の勝ち上がりを気にしているという。
部員21人の同高野球部は昨秋の県大会で準優勝し、九州大会にも出場。21世紀枠候補になって以降、出身者有志の「関西壱岐の会」で顔を合わせる同郷の友人、地元に残る弟や級友らとは「選ばれてほしいね」と何度も話してきたそうだ。
壱岐は「春一番」という言葉の由来になった土地で、「日本一早く春一番が吹く島」とも呼ばれる。「日本一早くうれしい知らせを届けてくれた。選抜大会で力を発揮し、力をつけて夏の選手権にも出てきてほしい」とエールを送っていた。
2025年2月22日付887号8面から