「川崎市畜産まつり」開催 酪農にも物価高の影響 5月18日 農業フェスタも
59回目となる「川崎市畜産まつり」が5月18日(日)、等々力緑地(中原区)で開催される。ポニーの乗馬体験やウサギなどのふれあい体験といった企画がもりだくさんだが、畜産業界にも物価高騰の影響は及び、業者は「なんとか踏ん張っている状況」という。
市内唯一の酪農家である福田努さんが経営する「福田牧場」は、高津区新作の住宅地の中にあり、乳牛12頭とヤギ30匹、ヒツジ16匹などを飼育している。18日の「畜産まつり」にはウサギやポニーなど、同牧場が市内の幼稚園や保育園、小学校で毎年250回ほど開催する「移動動物園」でおなじみの動物たちが登場する。
福田さんの親の代から酪農を始め、一日200〜300リットルの牛乳を搾乳し、県内の乳業会社に出荷する。「昔はこのあたりの農家は借りた牛から毎日搾乳し、牛乳を納めて日銭を稼いでいたけれど。今はうちだけ」と福田さん。当初は近隣の乳牛業者から牛を借りていたそうだ。
市の統計によれば、2006年には市内で酪農家5軒が計93頭の乳牛を飼育していたが、23年には福田さん1軒に。酪農以外の畜産業者も減少傾向が続き、23年の時点で養豚業2戸、養鶏業が5戸となっている。
もとは「見渡す限り田んぼだった」という牧場の周辺はすっかり住宅地だ。家畜の臭いや鳴き声が迷惑にならないよう、気を使うことも増えた。さらに物価高騰の影響で飼料代などの経費も高騰している。福田さんは「ぎりぎり赤字にならないよう踏ん張っている」と語る。
毎年恒例の「畜産まつり」では、子どもたちの笑顔が楽しみという。福田さんは「まつりに来て、動物に触れてほしい」と来場を呼びかけている。
18日はまた、「花と緑の市民フェア」が新たに農業従事者主体型の「かわさき農業フェスタ」として開催され、飲食ブースなども多数、出店する。いずれも会場は等々力緑地内で、畜産まつりは野球場インフォメーション前広場、農業フェスタは催し物広場で、午前9時から午後3時まで。荒天などにより開催中止の場合もある。