実は漢方は日本独自の医学!生薬で整う心と体【眠れなくなるほど面白い 図解 デトックスの話】
デトックスに欠かせない
「漢方」は日本独自の医学
体全体の調和をとるのが東洋医学
みなさんにとって漢方といえば「漢方薬」のイメージが強いでしょう。「生薬」を原料とする漢方薬は、医療保険が適用できるものだけでも148種類あります。 生薬は動植物や鉱物などを原料と していますが、およそ9割は植物の葉や根など植物由来のもの。 ミカンの皮を乾燥させた陳皮や生姜など、私たちに身近な食物も利用されています。
漢方薬はこうした生薬をいくつか組み合わせて調合するのが一般的です。 例えば、風邪の初期症かっこんとうくずね状に用いられる「葛根湯」は、葛根(くずね)のほかにナツメの果実の大棗(たいそう)、麻黄(まおう)、甘草(かんぞう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)といった7種類もの生薬からなります。 それぞれの生薬が持つ薬効を、相乗効果で引き出すわけです。
ところで、漢方を中国伝来の医学と勘違いしている方が多いようですが、じつは日本古来のもので、西洋医学を指す「蘭方(らんぽう)」と区別するために「漢方」と名付けられました。「東洋医学」も呼び方が異なるだけで、漢方と同じものと考えてください。
現在、医療の中心になっている西洋医学は、科学的な検査など客観的に病気の原因を探してピンポイントで治療をします。 それに対して東洋医学は、患者さんの体質などを考慮しつつ、体全体を整えて調和をはかるのが特徴です。 また、西洋医学では主に単一成分の合成薬を1つの症状に対し1種類処方しますが、 東洋医学は天然由来の生薬を組み合わせて用いるという違いがあります。
「漢方薬」ってどんなもの?
自然由来の薬効成分“生薬”を複数組み合わせた漢方薬は、飲むことにより、人が持つ自然治癒力を高め、心身のバランスを整えます。
生薬(しょうやく)
植物、鉱物など、天然に存在する薬効を持つ産物を、乾燥など簡単な処理を行い薬用に使用できるようにしたもの。
生姜(しょうきょう)
ショウガ科のショウガの根茎を乾燥させたもの。風邪の症状や胃腸の不調を緩和する効果があります。クズ(葛根)
マメ科の植物であるクズの根を乾燥させたもの。発汗作用や解熱作用、鎮痛作用があり、風邪や頭痛に効果があります。葛根湯が有名。陳皮(ちんぴ)
ウンシュウミカンの成熟した果皮を乾燥させたもの。胃から腸への排出を早めたり、腸のぜん動運動を促進させてくれます。
生薬を組み合わせたものが漢方薬
東洋医学と西洋医学の違い
薬や手術で悪いところにアプローチし、直接取り除くのが西洋医学。
一方、東洋医学は体全体をみて不調を内側から根本的に治していきます。
東洋医学 →人をみる
西洋医学 →病気をみる
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 デトックスの話 』著:加藤 雅俊