最初に出会った<ハタタテダイ>は何度出会ったって大好きなサカナ【私の好きなサカナたち】
Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・たつさんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。
海水魚の魅力にハマって10年──。私が1番好きな魚はハタタテダイです。
体高が高く、長く伸びた背鰭と白と黒の模様が特徴の魚。本種は、私が海水魚にハマるきっかけとなった最初の魚なのです。
伊豆の海で出会えた生きものたち
ある先輩(私の師匠)と魚類図鑑を見ながら話している時、本種を含め沖縄にいるような綺麗な魚が静岡に生息していることを知って、感動したことを覚えています。なかでも本種は、私が海水魚にハマるきっかけを与えてくれた思い出の魚です。
私が住む静岡県には伊豆半島があります。
ハタタテダイは、夏から冬にかけて必ずと言っていいほど伊豆半島の漁港や磯で見ることができます。熱帯性の海水魚(俗にいう死滅回遊魚)を採集したり飼育する愛好家からすると、本種を漁港で見ると「採集シーズンの到来!」と感じるのです。
もちろん、水族館でも見ることができます。
綺麗・可愛い・飼いやすいの三拍子で、様々な方を魅了する魚です。採集家からするとさらによく見つかる、採集しやすいが加わりさらに魅力的に思えてきます。
余談ですが、よく見間違われる種にツノダシという魚がいます。最初は私も混乱していましたが、本種の方が泳ぎも遅く、優しい目をしているので、簡単に判別が出来るようになりました。
尾びれの色(ハタタテダイは黄色、ツノダシは黒色)、ツノダシの突き出した口など、それぞれの特徴を覚えると簡単に見分けられるようになりますよ。
<ハタタテダイ>採集のコツを見つけた
海水魚愛好家をビンビンと刺激する見た目……必ず飼育したくなる魚です。ハタタテダイを漁港で見かけるたびに採集しようと考えるのですが、採集には少しコツがいります。
あくまで体感ですが、本種は磯で潜るよりも漁港の岸壁で見かけることのほうが多いです。しかし漁港というのは、魚とっては逃げるのに有利な場所。採集する立場からだと、視界や網の制限があるのでだいぶ不利です。
釣具屋さんによく売っている1000円の網だと、なかなか採集できません。駆け出しの頃、全く採集できない悔しさから、私は幅90センチ長さ5メートルの網を手に入れ、ほぼ確実に採集できるようになりました。
この大きい網を使うと、ハタタテダイは高確率で採集することができます。しかし、他のチョウチョウウオの仲間を採集するのは少し難しいです。
このようにして私は漁港に行ってはハタタテダイを採集していますが、毎年、何匹と出会っても「またこいつか……」とはなりません。むしろ「今年も来てくれて僕らを楽しませてくれてありがとう」と思える、不思議な魚です。
(サカナトライター:たつ)