ノースセクターの活躍描く、『Action Stage「エリオスライジングヒーローズ」-THE NORTH-』開幕、マリオン役 富本惣昭「殺陣に注目して」
『Action Stage「エリオスライジングヒーローズ」-THE NORTH-』が2025年1月11日（土）、品川プリンスホテル ステラボールにて開幕した。人気スマホゲーム『エリオスライジングヒーローズ』を原作に描く舞台シリーズ第3弾。今作は、ノースセクターにスポットを当てた物語となっている。初日前日に行われたゲネプロ公演、取材会の模様をレポートする。
特殊能力を持つ【ヒーロー】たちが所属する機関【HELIOS】。4つのセクターに分かれ、ニューミリオンの街を守っている。今作はHELIOS第13期研修チームが始動してから、少し経った頃のエピソードだ。舞台セットは複数のスクリーン、正方形を組みわせた近未来的なデザイン。プロジェクションマッピングが加わり、視覚的にもテクノロジーの存在をひしひしと感じる。
ヒーローたちが競い合っているのが、街の平和の象徴でありヒーローたちの評価にもつながる「セクターランキング」。史上最年少でメンターとなったマリオン・ブライス（富本惣昭）が所属するノースセクターは不動の1位だったが、ついに陥落してしまったところから物語は動き出す。
トップクラスの実力を持つノースセクターだが、じつはチームとしてはバラバラ。もうひとりのメンターであるヴィクター・ヴァレンタイン（菊池修司）も研究にしか興味がなく、メンター2人からの指導は絶望的。ルーキーであるガスト・アドラー（木村優良）は、チームを立て直そうと奮闘しようとしているが、同じルーキーの如月レン（佐藤祐吾）は過去の出来事にとらわれたまま、チームに向き合おうともしていなかった。
ランキングが下がってしまったことにより、ノースの街では治安が悪化。次から次へとトラブルが発生し、ノースセクターの面々は対応に追われる。なかでも自他ともに特別な存在と認めるマリオンは、プライドが傷つけられ苛立っていた。そんななか、敵対組織の【イクリプス】による大事件が勃発。『ゼロ』と呼ばれる人物が出没するようになり、キース・マックス（稲垣成弥）はその真相を探り始めるが……。
主軸を担うのは、富本演じるマリオン。能力は高いが結果が出ない、メンターとしてルーキーにうまく立ち回ろうとしない……一筋縄ではいかない問題を抱えたノースセクターに対するフラストレーションだけでなく、じつはマリオン自身のある秘密も関係している。一見、辛辣でクールな印象ではあるが、親代わりであるノヴァ・サマーフィールド（横井翔二郎）にだけ見せる年相応な愛らしさ、自分自身への葛藤と徐々にチームへ向き合っていく姿からは目が離せない。
菊池演じるヴィクターは、まるで掴みどころのない。常に周りを探るような視線に、思わず身動きが取れなくなってしまうほど。ノースセクターをなんとかチームとして構築しようとする役どころは、木村演じるガスト。まっすぐで必死な立ち回りは、観客も巻き込む推進力に。今作でついに過去が描かれる佐藤演じるレンは、シリアスなシーンを多い。絶妙な重厚感で、今作のストーリーに観客を引き込む役割を担っていた。
他にもベテランのスーパーヒーローであるジェイ・キッドマン（寿里）や、シリーズ第1弾以来の登場となるウィル・スプラウト（蔵田尚樹）の活躍も必見。イクリプスのシン（大隅勇太）、シャムス（杉江大志）の暗躍も描かれるので見逃せない。複数のストーリーが絡み合い、徐々に一つに集約していく綿密な構成となっている。
多面的に展開するセットを使った演出と、ヒーロー能力の魅力を最大限に引き出すアクションも健在。クライマックスが近づくにつれて見どころが連続し、胸の高鳴りが止まらない。まさに”Action Stage“の名にふさわしいステージだった。
ラストシーンを見届けた後は、休憩を挟んでライブパートとなる第2部へ。本編で描かれたキャラクターの関係性を投影した楽曲やパフォーマンスが繰り広げられる。日替わり楽曲もあるので見逃せない。ぜひペンライトでヒーローたちを応援しよう。
ゲネプロ公演前には取材会が開かれ、マリオン・ブライス役の富本惣昭、ヴィクター・ヴァレンタイン役の菊池修司、如月レン役の佐藤祐吾、ガスト・アドラー役の木村優良が登壇。意気込みなどを語った。
――本作で特に注目してほしいことは？
富本：”Action Stage“ということで、ぜひ殺陣に注目してほしいです。つけていただいた殺陣に対して、キャストもそれぞれキャラクターと向き合いながら考え、工夫してきました。
菊池：バラバラな4人が、最終的に一致団結していくお話。ノースセクターならではの空気感が存分に出ているので、ぜひ楽しんでいただけたら。
佐藤：初演以来の出演となりますが、第1弾ではまさ（木村）演じるガストとの2人だけでした。今回は4人が揃い、各々のキャラクターと喋るのも初めて。新しいキャラクターが加わった状態での関係性に注目してほしいです。
木村：ノースセクターはもちろん、“大人組”の活躍も。僕らでは出せない色気がありますし、メジャーヒーローとしての活動が僕らノースにつながっていくところも感じてほしいです。
――役作りについて。シリーズ初登場の富本さん、菊池さんはどのようなことを意識されましたか？ 苦労したところは？
富本：最年少メンターであり、ものすごい実力のあるキャラ。カッコ良いのはもちろん、もともと持っている可愛らしさ、少年らしさをどう表に出したらいいんだろうと苦戦しました。（演出の）吉谷さんから助言をいただき、自分なりにもたくさん考えました。
菊池：所作や佇まいですね。他のキャラクターとは何か違う存在であるべきと考えていたので、研究熱心なヴィクターを演じられるようにというのを一番意識しました。蹴りのしぐさや、長い髪の靡かせ方も計算しています。
――第1弾より続投となる佐藤さん、木村さんはいかがでしょうか？
佐藤：いい意味で初演と変わらず。レンの目的自体も初演の頃と一緒なので、気持ちの作り方は変わっていません。今回はノースの物語。マリオンをはじめ各々のストーリーが進行するなかで、埋もれないためにはどう動いたらいいかという点は苦労しました。
木村：原作のほうで過去が明かされたこともあって、これまで作ってきたもの来たものと違うベクトルの新情報も仕入れられた。そんななか、（このタイミングで）今回のノースを演じるのが難しいなと感じています。これだけバラバラな人たちをまとめる忍耐力があるガストはすごいと、今作を通して改めて気づきました。
――ノースはどんなチームですか？ 稽古中にどうやって関係性をつくっていったか、初対面との印象の違いなどを教えてください。
木村：惣ちゃん（富本）は初対面からあまり変わらず、まじめな印象。修ちゃん（菊池）は変な人かなと思ったら……変な人でしたね。
菊池：おお、その通りです（笑）。
木村：あはは！ チームを作り上げようという意識はなかったのかな。座談会取材やシーンについて話し合いをしていくうちに、気づいたら仲良くなっていたという感覚でした。
佐藤：キャラクター間でいうとバラバラで個性が強くて、でも実力があるっていう。台本上も一緒に行動するシーンがそんなにないので、相談し合う機会が少なかったんですが、不思議と仲良くなれましたね。プライベートの相性が良いんです。楽屋でもずっと喋っています（笑）。
菊池：最後の最後まで、まとまってなかったんです。でも心のどこかでお互いをリスペクトしていて気にかけていて、そこが素敵なセクターだと個人的に思っています。プライベートはそうですね、仲が悪いです。
木村：違う！ 仲良いだろ！
佐藤：（菊池が）一番喋ってるだろ！
菊池：そうですか（笑）？ この4人がいつの間にかに仲良くなれたのは、ノースセクターというチームだからこそ。最後まで楽しみたいですね。
富本：一言でいえば、バラバラなチーム。だからこそ、どうチームとして関係を作ろうかって特に悩むこともなかった。キャストとして、良い作品を作り上げたいっていう思いはずっと一緒でしたし、周りのお兄さん方の力も借りつつ、自然とチームになっていったんだと思います。
――最後にメッセージをお願いします。
富本：シリーズ3作目。1、2作目にも負けないような熱量をもって稽古してきました。次作の『-THE EAST-』も発表されていますし、次へつないでいけるような作品にできたらと思っています。応援のほど、よろしくお願いいたします！
『Action Stage「エリオスライジングヒーローズ」-THE NORTH-』は1月19日（日）まで品川プリンスホテル ステラボール、1月25日（土）〜26日（日）に大阪の森ノ宮ピロティホールにて上演。
取材・文・撮影＝潮田茗
