危険色の〝札幌ラーメン〟をセコマが再現 黒×黄...強烈ビジュで打ち出すパンチは意外と優しめ
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百五十六回 セコマ「札幌黒醤油ラーメン」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百五十六回目となる今回は、北海道のコンビニ「セイコーマート」のプライベートブランド「セコマ」のカップ麺、「札幌黒醤油ラーメン」を紹介します。
札幌のご当地ラーメンといえば味噌ラーメンが有名ですが、今回カップ麺で再現されているのはそれとは異なる真っ黒なスープのラーメンです。
「札幌ブラック」を再現か?
札幌のご当地ラーメンといえば味噌ラーメンがおなじみですが、今回紹介するのは真っ黒なスープの醤油ラーメン。
真っ黒なスープのカップ麺といえば、濃い醤油味と黒胡椒が特長の「富山ブラック」が有名で、他にも京都ブラック、湖国ブラック、郡山ブラックなどがおなじみ。
札幌でも名店「すみれ」ではたまり醤油と大量のラードを用いた真っ黒な「正油ラーメン」がおなじみ。
また、すすきのにある人気ラーメン店「いそのかづお」の看板メニューは「札幌ブラック」。たまり醤油を使い、ニンニクの風味が特徴の醤油ラーメンです。
これが人気で、多くのお店でインスパイアしたメニューが供されており、今回のカップ麺はその味を再現したものだと思われます。
それに、札幌といえば「黒ラベル」もあるので、黒は札幌にある程度根付いた存在なのかもしれません。
セイコーマートは、北海道で広く親しまれるコンビニチェーンで、道内のあらゆる場所に店舗があります。
茨城県や埼玉県にも店舗網があり、セイコーマート以外でもプライベートブランドの「セコマ」を取り扱うお店も。
筆者の記事以外にも、Jタウンネットではセイコーマートの魅力を伝える記事が多いので、色々とご存じの方も多いのではないでしょうか。
そんな「セコマ」のカップ麺はタテ型カップなど安価なものを中心に多くの種類が出ていますが、今回のカップ麺はどんぶり型でノンフライ麺を使用した本格的なタイプ。製造は「凄麺」ブランドのヤマダイが担当しています。
定価は「セコマ」ブランドとしては高額な税別245円ですが、「凄麺」含めた他の本格カップ麺と比べると安価設定です。
ちなみに、以前もどんぶり型カップ・ノンフライ麺・ヤマダイ製造で「旭川醤油ラーメン」という商品が出ており、北海道のコンビニが北海道のご当地麺を再現していました。
セイコーマートの安価なカップ麺のレビューはこちら。 「旭川醤油ラーメン」のレビューはこちら。
セコマ「札幌黒醤油ラーメン」の内容物
「札幌黒醤油ラーメン」の内容物は、「後入れ液体スープ」と「かやく」の2つの別添袋と麺。
ヤマダイの「凄麺」ブランドの商品と同じような雰囲気があり、兄弟のような存在だと思われます。
先入れの「かやく」の袋を麺の上に開けた状態。
本格的なカップ麺としてはかやくの量はそれほど多くなさそうです。
スープは真っ黒...だけど意外と飲みやすい!
真っ黒な醤油味のスープに、中太で縮れのついたノンフライ麺と、チャーシュー、ネギが合わせられています。
スープや麺の色が独特で見た目のインパクトがとても強いです。
スープは、豚骨ベースに黒醤油を使った醤油味で、ニンニクの香ばしさや玉ねぎの甘みが感じられます。
やはり「いそのかづお」の「札幌ブラック」の味が念頭にありそうです。
真っ黒で醤油の香りは強めですが、色味ほど塩気は強くなく飲みやすいスープとなっています。
黒いからといって醤油がドバドバ入っているわけではなさそうで、また「富山ブラック」のように刺激が強いわけでもありません。
栄養成分を見ても、塩分の数値はそれほど高くありませんでした。
ニンニクの香ばしさや玉ねぎの甘みがスープの大きな特徴となっていますが、お店の焦がしニンニク(マー油)ほどパンチが強いわけではありません。
食べ進めていくうちに玉ねぎの甘みとともにじわじわと存在感が大きくなっていきます。
見た目のインパクトに比べると味は地味で、「すみれ」など他の札幌ラーメンの特徴であるラードなどの油脂がたっぷり浮いているわけでもありません。
それでも、最終的には醤油のコクとニンニクの香ばしさが口の中を支配し、後を引くスープでした。
黒いスープの中で映える黄色い麺
麺は、中太で縮れのついたノンフライ麺。
麺表面につるみがあり弾力の強い多加水麺食感で、札幌ラーメンの麺の特徴を再現していました。
また、札幌ラーメンは玉子が練り込まれた黄色い麺なのも特徴で、今回の麺も黄色味がつけられています。
真っ黒いスープに合わせる麺の黄色味は、味噌ラーメンのスープと合わせる以上に際立っていました。
黒と黄のデンジャーカラーの組み合わせですが、味にはそれほどキケン性はありません。
具は、チャーシューとネギの組み合わせ。
チャーシューは大きくありませんが、厚みがあって脂身もついており、肉感は強めでした。
ネギもしっかり入っていて、カットが大きめのものもあります。
スープや麺は他社の高額カップ麺に引けを取りませんが、具の組み合わせは特別なものではなく、少し見劣りする印象を受けます。
よくよく考えると、昨今のご時世の中で定価税別245円という価格設定は、セコマのPB品であることを考慮しなければ決して高額ではなく、具までコストが回らないのはある程度致し方ないことのように思えます。
札幌ラーメンの別の顔を知れる良品
札幌の味噌ラーメンとは違うご当地ラーメンを再現した今回の一杯。
醤油のコクと香ばしいニンニクがじわじわと幅を利かせてくる後を引く一杯でした。
ニンニクと黒い醤油というインパクトのあるご当地麺なので、さらにニンニクのパンチを過剰に効かせるとか醤油の塩気を増させるとか、カップ麺ならではの派手な味にできそうなところですが、そうしないのは製造を担当するヤマダイの質実剛健なカラーかもしれませんね。
税別245円という価格設定を考えると十分なコスパで、札幌ラーメンの別の顔を知ることができる良品でした。
筆者:オサーン
カップ麺ブロガー。十数年前に出会った「日清麺職人」のおいしさに感激したことがきっかけでブログを開設。「カップ麺をひたすら食いまくるブログ」で毎週発売される新商品を食べて毎日レビューしています。豚骨スープとノンフライ麺の組み合わせがお気に入りですが、実はスープにごはんを入れて食べるのが最も至福の時です。 X(@ossern)