“その声”があるから頑張れる――『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』テラ役・内田真礼さんにとっての“キミ”の存在【インタビュー】
2025年9月12日(金)より全国公開となる『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』。
今作では、アイドルプリキュアが“宇宙1”のアイドルフェスティバルに出演!
ある日、珊瑚の妖精・トットに招かれたうたたちは、アイアイ島と呼ばれる不思議な島を訪れます。とっても大きな会場には、ロボットや動物など、いろんなアイドルが大集合! でも、突然あらわれた謎の怪物たちの出現とともに、過去に飛んじゃった〜!?
島のピンチを救うヒントは、島の女神の伝説と、島で出会ったアイドル嫌いの謎の少女・テラに隠されていて……? 『わんだふるぷりきゅあ!』、『ひろがるスカイ!プリキュア』も駆けつけ、映画ならではのスケールで贈る“キラッキランラン~♪”な内容となっています。
今作で映画オリジナルキャラクターのテラを演じるのは、声優として幅広い役を演じ、アーティスト活動も11周年を迎えた内田真礼さん。アニメイトタイムズでは、映画の見どころはもちろん、プリキュアから受けた影響、自身のファンとの関係性まで、多岐にわたるお話を伺いました。
【写真】『映画キミプリ』内田真礼にとっての“キミ”の存在【インタビュー】
キュアキュンキュンは「意外に武闘派」!?
ーー『ひろがるスカイ!プリキュア(ひろプリ)』(2023)でカイゼリン・アンダーグの少女時代を演じ、ファンに強い印象を残した内田さん。再び「プリキュア」シリーズに出演することが決まった際の心境をお聞かせください。
テラ役・内田真礼さん(以下、内田):ずっと「プリキュアに出演したい」と思っていた中で、『ひろプリ』に参加することができ、今、このタイミングで映画にも出演できるとは、本当に想像していませんでした。まさに青天の霹靂で(笑)。驚きつつも、すごく嬉しかったことを覚えています。
うたちゃん(咲良うた/キュアアイドル)と深く関わる映画オリジナルキャラクターということで、この映画にどんな彩りを加えられるか。そういったことも考えつつ、かなり緊張もしていました。アフレコ現場では、スタッフや共演者の皆さんが温かく迎えてくださって、本当に嬉しかったです。
ーー内田さんが感じる「プリキュア」シリーズの魅力は何でしょうか?
内田:プリキュアは本当にかっこいいんですよ。キュートな魅力はもちろん、一人ひとりの想いの強さに惹きつけられます。自分自身も演じている中で、導かれるような感覚になりました。こちらを力強く引っ張ってくれるんですよね。
特にキュアキュンキュン(紫雨こころ)は、見た目はとても可愛らしいのですが、お芝居を聞いていると「実は一番の武闘派なのでは?」と(笑)。
ーー武闘派(笑)。
内田:高森奈津美ちゃんのお芝居がすごくパワフルで。そういう意外性もありましたね。寄り添うだけではなく、自ら引っ張っていく女の子の強さが素敵だと思います。
ーーキャストの熱量がキャラクターに伝わっているのかもしれません。
内田:奈津美ちゃんにも聞いてみたんです。すると「たしかにパワーあるよね」「一番地声が力強いかも」と話していて。プリキュアに関わっている方たちの想いが伝わってくるようでした。
ーー今作に参加する中で、『キミとアイドルプリキュア♪(キミプリ)』という作品にどんな印象を持たれましたか?
内田:キュアアイドルをはじめとしたプリキュアのみんなが歌うんですよね。この“歌って踊る時間”の長さが、まずは衝撃的でした。そのうえで、歌詞はもちろん、プリキュアの声に宿る力と言いますか。そのキラキラとしたパワーのようなものに、私が演じるテラも影響を受けていく物語になっています。
プリキュアは戦うイメージも強かったので、「歌って踊って……どんな感じになるんだろう?」と思っていました。ですが演じてみると、「あ、そういうことか!」と納得できたんです。「プリキュア×アイドル」の親和性はこんなにも高いんだなと。私自身も観ていて、すっかり魅了された“キミ”のひとりです。劇中でテラの目がキラキラ輝く描写がありますが、本当に同じ気持ちでした。
ーー「応援される存在」として、プリキュアとアイドルは重なる部分も多いですよね。
内田:その感覚はすごく貴重なものだと思います。応援する側と応援される側。どちらの立場もなかなかできない体験だからこそ、尊いものなんです。
ーー演じるテラのキャラクター像についてもお聞かせください。
内田:とても世話焼きな子だと思います。「アイドルなんて嫌い」と言いながらも、「しょうがないなあ」と、ちゃんと面倒を見てくれる。あれが、テラの本心なんだと思います。根底に誰かを大事に想う気持ちがある。そんなツンデレなところが可愛いです。
個人的にも「何かに影響を受けて自分も強くなれる」という感覚は共感できる気がしていて。物語の最後にテラが見せる表情が本当にキュートなので、ぜひ楽しみにしていてください。
ーー先ほどお話いただいた通り、今作はうたとテラの交流がひとつのポイントになっています。演じる松岡美里さんとの掛け合いはいかがでしたか?
内田:事務所の後輩なのですが、本格的にお芝居でご一緒するのはほぼ初めてでした。彼女は常に全力で、愛を持ってセリフを投げかけてくれるんです。これまで彼女のお芝居をしっかりと見る機会がなかったからこそ、うたとして真っ直ぐにぶつかってくる姿に圧倒されてしまいました。
演じる中で、テラの心が動いていく感覚に自分でも気づいて。全力で汗をかきながらお芝居をしている姿が本当にかっこよかったです。
ーー観客が一体となってプリキュアを応援するシーンも映画ならではの見どころだと思います。
内田:「もう無理かも」と思うような状況からの高揚感はすごかったです! 個人的にも初めての経験だったので、本当にすごいものを観たなと。今回の映画のように、歴代のプリキュアが集結する様子を見ると、一つひとつ大事にされてきた歴史も感じられますよね。本当に壮観でした。うたちゃんがテラの心を動かしたように、プリキュアが持つ力を肌で感じられた気がします。
その瞬間が未来で輝く記憶になる
ーー今作は、アイドルと“キミ”との関係性を描いた作品です。内田さんは、ご自身のファンとの関係性をどのように捉えていらっしゃいますか?
内田:やっぱり相互関係だと思います。みんながいないと歌を届けられないですし、みんなは「大好き」を伝えてくれる。お互いを大切な存在だと思い合えているからこそ、ここまで長く続けられているのかなと。信じられないほど長い間応援してくれているみんなを思うと、「幸せにしたい」という気持ちが大きくなっていくんです。
ーー過去のインタビューで、「ファンは内田さんの歌を聴きに来ているけれど、内田さん自身もファンの声を聴きに来ている」と仰っていたのが印象的でした。まさにファンとの相互関係を表した言葉ですよね。
内田:特にコロナ禍を経て、声援がないと「これほどまでに成立しないものなのか」と思い知らされました。みんなの声が熱量として伝わってくる、その瞬間が必要不可欠なものだったと改めて気づいたんです。何て言うんでしょう……すごくショックを受けました。「こんなに足りないんだ」と。
ーーだからこそ、ファンとの繋がりを強く感じた瞬間でもあったのでは?
内田:そうですね。ひとりでは足りないと痛感したからこそ、「いてほしい」と強く願うようになって。当たり前に好きだったライブがより一層、尊い時間になりました。
ーーファンの存在って、きっと大きな力になりますよね。
内田:とても大きいです! ファンの方々の気持ちは、常に感じながらお仕事をしています。いただいたお手紙を読んでいると、「真礼ちゃんの味方だよ」「何があっても大好きだよ」といった言葉に、今でも泣いてしまうんです。
ーー『キミプリ』のテーマにも通じるものがあるなと。
内田:ファンサ(ファンサービス)をするのも、みんなが喜んでくれると信じられるからだと思います。そういう意味で、うたちゃんたちの気持ちはよく分かりました。ライブで歌っている時に、ファンの皆さんが合いの手を入れてくれたり、一緒に歌ってくれたり、そういう瞬間に「歌っていてよかったな」と感じられるんです。
皆さんが呼応してくれた瞬間に、初めてライブは完成する。私たちがファンを想う心と、それに応えるファンの間で、良い循環が生まれているのではないかなと。
ーーファンはもちろん、アーティスト活動においては、「真礼チーム」(バンドメンバー、ダンサー、スタッフ)の存在も大切にされている印象があります。
内田:そうですね。そういう方々の喜ぶ顔が見たくて頑張っている、という面はあるかもしれません。自分を支えてくれる人たちのおかげで、自分だけでは出せない力が発揮できると感じています。
例えば、私が仕事を頑張ることで、事務所のマネージャーさんが一緒に喜んでくれたり、仕事でご一緒するスタッフさんや共演者の方々が喜んでくれたり。自分にとっては、一つのものを作り上げる仲間の存在はすごく大切です。
ーー逆に応援される側としては、どんなことを意識していますか?
内田:以前は「内田真礼ってこうだよね」「こういう歌を歌うよね」という世間のイメージに対して、自分を合わせようとしていました。ただ、数年前に「なんか違うかも……?」と感じるようになって、“内田真礼”を追いかけることはやめたんです。でも、「これが私のやりたいこと!」という一方的なものはなくて。ステージでしっかりと本音を言えるようになった気がします。
ーーより自然体で、ステージと向き合えるようになった。
内田:“なりたい自分”を追い求めて活動を始めた私が、ある程度確立できた後に、今度は「こうでなければいけない」というイメージに縛られていた。それを乗り越えて、「無理に頑張らなくても、私は“内田真礼”だ」と思えるようになったんです。無理に何かを追いかけなくても、「私から生まれるものが全部正解なんだ」と思えるようになりました。
ーー素敵なお話をありがとうございました。最後に、映画を楽しみにしているファンに向けて、一言いただけますでしょうか?
内田:映画一本を通して、まるで一つのライブを観ているような感覚になると思います。その体験を劇場で味わっていただきたいですし、そこで生まれた「楽しい」「好き」という気持ちや、プリキュアへの憧れを大切にしてほしいです。その瞬間が、きっと未来で輝く記憶になるはずです。
[インタビュー・撮影/小川いなり]