広大で謎の多い海の実情を 水中写真家の中村征夫さん写真展 四日市公害と環境未来館で開催
四日市公害と環境未来館(四日市市安島)は、美しく素晴らしい海を守り、未来へ繋いでいくために、何をすべきか考える機会にしてほしいと、9月11日(水)から10月27日まで、特別展「中村征夫写真展 Magic of the blue〜深遠なる海への旅路〜」を開く。
水中写真家・中村征夫さん(79)が50年以上に渡って世界80ヵ国の海を取材し、撮影した201点の写真と映像2点などを展示。会期前の10日、中村さんが来館し、報道陣向けの内覧会が開かれた。
中村さんは19歳で水中写真を独学で始め撮影プロダクションを経てフリーランスに。1977年に東京湾に初めて潜り、ヘドロの海で逞しく生きる姿に感動した。以来東京湾定点観測をライフワークとして取り組み、新聞など様々なメディアを通して海の魅力や海を巡る人々の営みを伝えている。
会場では、淡いブルーから濃紺のブルーへ変わる見事なグラデーションの作品が来場者を出迎える。色とりどりのサンゴの写真、知床の極限に生きる生き物の写真、東京湾のヘドロの中、たくましく生きる生き物の写真などが見られる。
トンガで撮影されたザトウクジラの母子の写真は、潜中撮影ができない場所で、海面下に浮上した瞬間を捕らえた。12メートルのパネルに実物大のクジラが写し出され、圧巻の一枚だ。
水中での撮影は危険がつきもので、クジラのヒレで一撃され気絶したこともあるという。それでも自然界に生息する生き物たちの類まれな知恵と、連綿と紡いできた歴史に敬意を払うそうだ。中村さんは「広大で謎の多い海中で多くの生き物たちがどのような環境下で生きているか、その実情を感じ取ってもらえたら」と話した。
特別展は午前9時半から午後5時まで(入館は午後4時半まで)で、月曜日休館(祝日の場合は翌平日)。観覧料は一般500円、高大生350円、中学生以下無料。11日(水)、22日(日・祝)、10月20日(日)の、午前10時からと午後2時から、中村さんのギャラリートークが行われる。
問い合わせは同館TEL059・354・8065まで。
【作品の説明をする中村さん】