大野台中児玉さん トランペットでつかむ栄光 「史上最年少」優勝の注目奏者
昨夏「第39回日本管打楽器コンクールトランペット部門」で1位に輝き、全部門史上最年少の快挙を達成した大野台中学校3年生の児玉隼人さん(15)。今後の活動を見据え、今年4月からドイツへの留学を予定している。児玉さんに昨年の振り返りや今後の活動について話を聞いた。
児玉さんは「日本クラシック音楽コンクール」や「下田国際音楽コンクール」など、10代で出場したコンクールでは全て第1位または最高位を受賞。2024年には東京フィルハーモニー交響楽団や新日本フィルハーモニー交響楽団などと共演し、「題名のない音楽会」や「芸能人格付けチェック」など数々のテレビ番組にも出演している。
昨年8月の「日本管打楽器コンクール」は同コンクールの小学生コースで優勝した5年生の頃から出場を考えていた。22年の大会を見据え練習を積んできたが、コロナ禍で延期に。「その分準備できる期間が長くなった」と前向きに捉えた。大会前の最後の1カ月間は仕事を入れず、練習に向き合った。
コンクールでは3種類のトランペットを持ち替えながら演奏する審査に苦戦。演奏が崩れてしまい、「ひどい出来で通過できないかもしれないと思った」が、本選へ出場が決まった。「自分が通過できたのはもちろん、友人も一緒に通過できたことも嬉しかった」と笑顔を見せる。結果は史上最年少で優勝。児玉さんはさらに話題の人となった。
「史上最年少で注目されても今まで通り演奏していきたい。ただ、クラシック音楽家のソリストになるための道を作ることができたと思う」と手応えを語る。オーケストラとの共演経験はあったものの、優勝したことでオケの事務局やお客さんにも名前が知られるようになったという。
音楽がそばに
北海道釧路市出身。父がチューバ奏者、母がトロンボーン奏者の音楽一家に生まれた児玉さん。幼少期から楽器は身近な存在で、家にあったトランペットを音を出して遊んでいた。バレエやオーケストラのDVDを集中して見ていたことから、「当時のことはよく覚えていないが、音楽に興味があったと思う」と振り返る。5歳のクリスマスプレゼントにもらった小型版トランペットのコルネットをきっかけに、9歳で本格的にトランペットを始めた。
楽器の練習は1日あたり2、3時間。そのほかにもCDを聴いたり、楽譜を見たりして音楽に向き合っている。また、友人たちとコンサートに行くこともあり、「演奏を聴くことは楽器の練習と同じくらい大事」と話す。
現在中学3年生の児玉さん。演奏活動で半分ほどしか通えていないというが、昼休みに友人とサッカーをするのが楽しいという。相模原市に来て驚いたことは「友人たちが塾に行って夜遅くまで勉強して良い成績を取っているところ」だという。
海外へ挑戦
今年4月からは国内の通信制高校に通いながら、ドイツの学校で音楽を学ぶ。「たくさんの国際コンクールに出場し、日本人初の優勝を狙っていきたい」と意気込みを語る。今まではソリストとしての活動が多かったが、オーケストラへの挑戦にも意欲を見せる。
夢は、80歳の時にソロリサイタルをすること。「80歳にピークを持っていくためにも、生活をしっかり整えていきたい」と話す。「伝説のトランペット奏者と言われるようになりたいな」と笑顔を見せた。