犬がトラウマを抱えてしまう『4つの出来事』飼い主がしてあげられる配慮や注意すべきこと
犬がトラウマを抱えてしまう出来事
トラウマは心的外傷とも言い、心に傷を負うことを指します。
ほんのちょっとした出来事が犬の心を傷つけてしまうこともありますし、心に負ってしまった傷は、そう簡単に治せるものではありません。
愛犬の心が傷ついてしまわないよう、トラウマを抱えてしまうことがないよう、飼い主として配慮したいことや注意点を解説します。
1.叩かれたり蹴られたりしたこと
犬がトラウマを抱えてしまう出来事には、叩かれたり蹴られたりしたことなどの体罰が当てはまります。
しつけだと考える人がいますが、犬を叩いたり蹴ったり、体に直接的な痛みを与えることは体罰です。犬の心に恐怖を植え付ける行為です。
愛犬が言うことを聞いてくれないとき、その理由や原因が分からず対処できないとき、感情的になって犬を叩いてしまったことはありませんか?
その場にあるものを手に取り、愛犬に向かって投げつけてしまった、という人もいらっしゃるかもしれません。
ムッとしてしまったときは、その場にとどまり、目を閉じましょう。心の中でゆっくりと100まで数字を数えてみましょう。数え終える頃には冷静な判断ができると思います。
2.体を押さえつけられたこと
犬がトラウマを抱えてしまう出来事には、体を押さえつけられたことが当てはまります。
爪切りやシャンプーなどのケアをするとき、ひとりが愛犬の体を押さえつけ、もうひとりが行う、という方法で行っていませんか?
お散歩には行きたいけれどハーネスをつけることが苦手で、ひとりが愛犬の体を押さえつけ、もうひとりがハーネスをつける、なんてこともあるのではないでしょうか。
飼い主や家族から受ける日常的な行為の中にも、愛犬のトラウマの原因になる出来事が潜んでいるということを理解しなければなりません。
押さえつけても、もっと嫌になるだけです。愛犬が苦手なケアなどは、少しずつ慣れてもらうようにしましょう。飼い主でできないことは、プロの力も頼ってみましょう。
3.大きな音に驚かされたこと
犬がトラウマを抱えてしまう出来事には、大きな音に驚かされたことが当てはまります。
✔雷
✔花火(打ち上げ花火)
✔太鼓(お祭り)
耳から入ってくるものの中にも、犬の心を傷つけてしまう、トラウマの原因になりやすい大きな音があります。
飼い主にできる配慮は、花火大会やお祭りの会場に愛犬を連れて行かないことです。驚いた犬が急に走り出し、迷子になったり事故に遭ったりすることがあります。
雷が苦手な愛犬には、「ハウス」のしつけを行ってあげるとよいと思います。普段からケージやクレートになれ、万が一のときの安全な場所として認識してもらいましょう。
我が家の愛犬も雷が苦手でパニックを起こすことがありますが、布で全体を覆った薄暗いケージの中に入ることで、少し落ち着けるようです。
4.動物病院で処置を受けたこと
犬がトラウマを抱えてしまう出来事には、動物病院で処置を受けたことが当てはまります。
狂犬病予防注射や混合ワクチンなど、注射を打つことには体への痛みが伴います。動いてしまうと危険なため、優しくではありますが、体を押さえられることがあります。
エコー検査やレントゲン検査では、体を横向きに倒さなければなりません。ほとんどの場合、飼い主の同伴はありません。
動物病院が犬にとって“痛くて怖い思いをさせられる場所”になってしまうことがないよう、愛犬に対してだけではなく、獣医師やスタッフのみなさんへの配慮も必要だと思います。
ノミ・マダニやフィラリアの寄生を予防するためのお薬を処方してもらいに行くなど、愛犬を連れて行く必要がない場合にも、ぜひ一緒に動物病院へ行きましょう。
痛いこと、怖いことばかりではないんだ、という経験をさせることも大事です。獣医師やスタッフのみなさんと気軽に楽しく会話する飼い主の姿も見せてあげましょう。
まとめ
犬がトラウマを抱えてしまう出来事を4つ解説しました。
✔叩かれたり蹴られたりしたこと
✔体を押さえつけられたこと
✔大きな音に驚かされたこと
✔動物病院で処置を受けたこと
大きかれ、小さかれ、犬も何かのトラウマを抱えているのではないでしょうか。飼い主に必要なことは「愛犬が何に対してトラウマを持っているのか」を見極めることです。
日々の愛犬の様子を観察し、なるべく恐怖に触れさせないことを意識しながら生活できるとよいのではないでしょうか。
愛犬と飼い主が生活しづらいほどのトラウマを抱えている場合には、専門家に相談してみましょう。
(獣医師監修:寺脇寛子)