ノーラン新作『オデュッセイア』は史上初の全編IMAXフィルムカメラ撮影、新技術「ブリンプ」の詳細が判明
監督の最新作『オデュッセイア』は、史上はじめて全編IMAXフィルムカメラで撮影された映画となる。英がその詳細を報じた。
これまでハリウッドでは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)をはじめ、(2024)や『スーパーマン』(2025)などがIMAXデジタルカメラで全編撮影されてきた。しかし、IMAXフィルムカメラは全編の撮影には不向きで、ノーランも(2023)でさえ全編の半分程度でしか使用していなかったのである。
ノーランが『オデュッセイア』のため、IMAX社とともに新たな技術の開発にあたっていたことは以前から通り。今回、ノーランは「ブリンプ(blimp)」と呼ばれるシステムがカギを握っていたことを明かしている。
「ブリンプ・システムが変化の決め手でした。俳優がセリフをささやいていても、顔から30センチの距離で撮影できて、しかも音を使うことができる。世界で最も美しいフォーマットで、細やかな演技をとらえることができるようになりました。」
これまでIMAXフィルムカメラは、“騒音”の問題が大きな制約を生んでいた。撮影時に大きな音が出るため、生音でセリフを録音できず、アフレコで音声を録り直す必要があったのだ。
撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマは、この新技術をノーランに紹介するため、デヴィッド・ボウイの楽曲「サウンド・アンド・ヴィジョン」の歌詞を朗読する子どものクローズアップ映像をIMAXスクリーンで上映したという。「とても感動的でした。非常に細やかな映像と音が融合し、投影されていた」とはホイテマの談。ノーランも「衝撃的でした。これまで絶対に撮れなかったショットだった」と感想を語っている。
本作は詩人ホメロスによる英雄叙事詩『オデュッセイア』に基づく“神話的アクション大作”。マット・デイモン演じるイタカの王オデュッセウスは、トロイア戦争のあと、故郷で帰りを待つ妻・ペネロペイアと再会するため、10年にわたる過酷な旅に出る……。ノーランはイタリアやギリシャ、スコットランドなど世界各国で撮影を敢行しており、使用されたIMAXフィルムは200万フィートにもおよぶと。
ちなみに、過去には幾度となくIMAXカメラを破壊してきたことで知られるノーラン。「今回は一台も壊していません。すべて生き延びました」と激しい旅路からの“生還”を認めている。
出演者は、イタカの王オデュッセウス役のマット・デイモン、息子テレコマス役のトム・ホランドほか、アン・ハサウェイ、ゼンデイヤ、ルピタ・ニョンゴ、シャーリーズ・セロン、ロバート・パティンソン、ジョン・バーンサル、ベニー・サフディ、エリオット・ペイジ、ヒメーシュ・パテル、ビル・アーウィン、サマンサ・モートン、ジョン・レグイザモ、ローガン・マーシャル=グリーン。プロデューサーはエマ・トーマス。
映画『オデュッセイア』は2026年公開、配給はビターズ・エンド(US公開日は7月17日)。
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