【ネタバレあり】『ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク』飛世ユウマ役・戸塚有輝さん×石堂シュウ役・金田昇さんインタビュー|二人の絆が描く、信じて一歩踏み出すためのメッセージ
2025年1月18日(土)にTVシリーズが最終回を迎えた『ウルトラマンアーク』。そして、2月21日(金)より『ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク』が公開中です。
本作で描かれるのは、TVシリーズ第21話と第22話の間に起きた物語。様々な戦いを乗り越えてきた主人公・飛世ユウマが、宇宙賢者・サスカルから与えられた究極の試練に挑みます。時空さえも歪められた超次元の中に現れる怪獣や宇宙人、そして「ギルアーク」……。果たしてユウマは想像力を超えて、最大の試練に打ち勝つことができるのでしょうか?
今回は、飛世ユウマ役・戸塚有輝さん、石堂シュウ役・金田昇さんの対談をお届け。TVシリーズの振り返り、劇場版の鍵を握る「ギルアーク」のお話などを伺いました。
※本記事にはTVシリーズ及び劇場版の内容に関するネタバレが含まれます。
【写真】『ウルトラマンアーク THE MOVIE』戸塚有輝×金田昇インタビュー【ネタバレあり】
別れのシーンに込めたユウマとシュウの絆
ーーイベント出演やSNSの反響など、放送開始以降はファンからの声を聞ける期間になったのではないでしょうか。
飛世ユウマ役・戸塚有輝さん(以下、戸塚):最近、中国などの海外に行く機会があって。そこで『ウルトラマンアーク』が放送されているのを観ると、「本当に世界でやっているんだ」と実感します。やっぱり日本とは少し違うというか、すごく熱量の高いファンの方々がいらっしゃるんです。先日台湾に行った時は、石堂さんそっくりのスーツを着ている人がいました。眼鏡や髪型はもちろん、身長まで一緒なんです。
ーー身長まで……!
石堂シュウ役・金田昇さん(以下、金田):見てみたいですね。
戸塚:ショーに出ている時、その方が一番前の座席にいたので、「えっ、石堂さん!?」って(笑)。そういう面白いこともありました。
金田:やっぱり”ウルトラマン”というコンテンツ自体の歴史が長いので、ファンの皆さんからも大事にされているものなんだなと。放送を観てくださっている方々の感想を見て、それを一番に感じるというか。”ウルトラマン”がどれだけ愛されているのかを実感しました。
ーーシュウは特にファンから愛されるキャラクターのひとりだったと思います。
金田:ありがたいですね。シュウを含めた「SKIP」の4人の中では、一番変な人ではあるので(笑)。
ーーエキセントリックな一面がありますよね(笑)。それでは、TVシリーズのお話から伺いたいと思います。第24話〜第25話ではユウマが自身の過去と向き合いながら、夢幻獣ギルバグをはじめとした強敵との戦いを繰り広げました。
戸塚:特に25話の冒頭は「これ本当に合ってる?」とびっくりしますよね。あのシーンは起きるところから撮っていって、自分の中でも何が真実で何が嘘か分からない状態で起きて。何故か冷蔵庫から水だけを取るみたいな(笑)。
金田:あはは(笑)。
戸塚:お父さん(萩原聖人さん)も空っぽの醤油さしで架空の秋刀魚に醤油をさしていて。ものすごく不思議な仕上がりになりました。演じるにあたっては、リビングに置いてあるテレビの中でニュースキャスターが言う「K-DAY」とか。そういう言葉を聞きながら、だんだん現実に入っていくイメージでやっていました。
ーーそのあと、決意を固めたユウマが走りながら変身するシーンはグッときました。
戸塚:個人的にもウルトラマンシリーズと言えば、走りながら変身するシーンだと思っていました。最後の最後に出てきて、「あっ、走りながら変身してる!」って。
ーー第25話のタイトルも「走れ、ユウマ!」ですから。
戸塚:そうですね。本当の意味で走れた気がしています。
ーー物語が進むにつれて、シュウがユウマを見る目線も徐々に変わってきたのかなと。
金田:後半からは「SKIP」にいる理由も変わっていますし、シュウ自身も自分の新しい感情に気づくというか。ユウマだったり、「SKIP」のメンバーだったり、星元市の雰囲気だったり……。理由は色々あったと思いますが、とにかく「ここにいたい」という気持ちが大きくなっていたと思います。
何て言うんでしょう……それは以前のシュウからは考えられない行動だと思っていて。自分の感情をしっかり言葉にして、素直に表現するという側面が強くなりました。その中で僕自身もシュウが何を考えているのか、より分かった気がします。
ーーシュウは途中からユウマの“正体”を何となく察していましたね。
金田:気づいているかもしれないけど、今のシュウだからこそ、相手の気持ちを考えて「言わない」という選択をすると思うんです。終盤に向けて、シュウの「SKIP」として過ごした時間が現れている部分なのかなと。
ーーそして、最後には正体を知ったうえで、ふたりが別れの言葉を交わします。
金田:先ほども言った通り、以前のシュウは自分の感情をあまり表現しない人でした。あのシーンでは、そういうフィルターが一切なくなって、ちゃんと自分の思ったことを言葉にしている。率直に「今のシュウはこう思っているんだな」と感じたので、「そのまま」を演じたという言い方が一番しっくりきます。
戸塚:「ありがとうユウマくん、ありがとうウルトラマンアーク」。やっぱりグッとくるものがありますよね。
ただ、ユウマの正体が分かるシーンであっても、この作品はあまり言葉を使わないじゃないですか。その辺りには、視聴者の皆さんも想像する余地があると思っていて。例えば、僕らがあの屋上に至るまで、どんな会話をしてどんな時間を過ごしていたのか。本当に僕たちも想像していたし、観た人たちがより楽しめるポイントのひとつだったと思います。
25話分の映像、その全てに宿る思い出
ーー全25話を振り返ってみて、おふたりが印象に残っているエピソードを教えてください。
戸塚:この間、第1話〜第25話を一通り見返したんです。やっぱりどの話数にも思い出が……。
金田:ありますね。
戸塚:その中でも、ちょっと特殊な回が幾つかあるじゃないですか。第8話「インターネット・カネゴン」、第22話「白い仮面の男」とか。
金田:あとは、ベビーザンドリアス(第21話『夢咲き鳥』)。
戸塚:(笑)。僕らはあまり出てないけど、裏ではものすごく楽しんでいたんです。
金田:ベビーザンドリアスは、僕の推し怪獣なので。個人的に印象に残ったのは、第23話「厄災三たび」でしょうか。ユウマの身体が光っているのを見てしまう場面は、今まで分かっていなかったことに気づく瞬間だったと思います。はっきりとは気づいていなくても、「もしかしたらユウマがウルトラマンアークなのかな」と。そこはひとつ印象的なシーンとして挙げられると思います。ユウマ的には?
戸塚:僕も第23話の撮影は思い出深いですね。というのも、変身の仕方がすごく特殊というか……かなり大変だったんですよ。
金田:大変だったよね。
戸塚:そう。変身アイテムのアークアライザーを掲げるところでパンチするような演出になっていたんです。言っていいのか分からないですけど、パンチする時、砲丸投げみたいに投げてしまって。あのシーンを何回もやり直すうちに、僕の心は……ハートブレイクしそうになりました(笑)。
一同:(笑)
戸塚:投げる瞬間の感覚が数日取れなかったくらい。しかもその次の撮影は、ユウマとシュウが車の中で会話するシーンだったんです。
金田:そうでした。
戸塚:あの後に「絶対逃げ切ります」みたいなシーンをやっていたので、とても印象深いです。
金田:でも、あの時のユウマも弱っていたから。
戸塚:確かに。結果的には良かったかもしれません。
金田:和やかな雰囲気が「SKIP」の持ち味の一つですが、最後の方はシリアスなシーンも多かったですね。ユウマはずっと弱っているし、敵も強いし、そこで「撮影も終盤だな」と実感していました。
戸塚:他の3人は一緒にいる中、僕だけ違うところにいることも多くて。途中でみんな帰っちゃうのがすごく寂しかったです。
金田:そう言われると一番早く来て、一番遅くまでやっていたので、「ずっと頑張っていたな」という印象があります。
戸塚:そうなんですよ。喋り相手がいないから寂しかったですね(笑)。
ーーウルトラマンならではの孤独ですね。
金田:確かに。
戸塚:孤独でした。
金田:もちろん全話が印象的なんですよ。思えばあっという間だったので、まずは無事完走できてよかったなと。撮影自体は1年前になりますが、映像を観ると色々思い出しますね。
『ウルトラマンアーク』“ならでは”が詰まった劇場版
ーーここからは劇場版のお話を伺います。かなり特殊な構成になっていたと思いますが、台本をご覧になっていかがでしたか?
金田:おっしゃっていただいた通りで、僕も同じ感想です。
戸塚:本当に特殊な……。
金田:普通の劇場作品とは違った構成の組み方なので、台本を読むだけでは完成形が分からなくて。どういった形で描かれるのか楽しみでもあったし、全体的なストーリーもすごくトリッキーですから。ただ、想像はできないものの、確実に面白くなることだけは見えていた気がします。
戸塚:僕自身は結構いつも通りの「SKIP」でもあると思っていて。本編以上のトリッキーさはあるんですけど、そのうえで和やかな感じがしました。きっと劇場版を観た皆さんも和やかな気持ちになるんだろうなって。そういう意味では『ウルトラマンアーク』ならではの良さが詰まった作品になっていると思います。
ーー物語の構成上、何回か同じようなシーンが出てきますよね。撮影はどのように進められたのでしょうか?
金田:僕ら側はずっと同じことをやっていました。「この荷物は右だった?」とか。ユウマだけは違うんですけど、僕らは毎回確認していましたね。シーンによって、同じカットを使っているところもあるし、撮り直しているところもあります。そういう意味では、多分ユウマが一番混乱したのかなと。
戸塚:飛び飛びでやった感じだったよね。
金田:「これは1個目です」「次が2個目、3個目です」みたいな。だからこそ完成形が見えなくて、撮影中は「どこでどう使われるのかな」と。ただ、完成した映像を観ると面白いし、何より飽きないというか。
戸塚:テンポがすごくいいです。
ーー戸塚さんはサスカル役の竹中直人さんと一対一のシーンも多かったですよね。ただ、辻本監督にお話を伺うと「戸塚さんが何故か一番落ち着いていた」とおっしゃっていて。
戸塚:むしろ竹中さんとのシーンが一番等身大の僕でいたような気がします。エネルギーを持った方なので、竹中さんに付いていくだけでシーンが面白くなるんです。僕がやることはそれに反応するだけだったので、ひたすら楽しんでいました。
まずは信じること。作品に通底するモットーとは?
ーー劇場版の鍵を握る「ギルアーク」についてもお聞かせください。ぜひ金田さんに変身すると知った時の心境を伺いたいです。
金田:最初に知ったときは……「ワオッ!!」
戸塚:今の声は何?(笑)
金田:台本を読んでいる時に気づいたんですよ。事前に「劇場版で変身する」という話があった訳ではなくて、台本をいただいてからの「ワオッ!!」でした。すごく嬉しかったんですけど、同時にあまり実感がないというか。自分の中でも大きなサプライズでしたね。この映画の直後にあたる第22話のシュウは腕を怪我していたんですけど、「こう繋がっていたんだ」と驚きました。
ーー戸塚さんはシュウが変身すると知った時、率直にどう思われましたか?
戸塚:これまで変身アイテムを使うのは僕だけだったので、金田くんが使っているのを見ると不思議な気分になります。実は、撮影の前に使い方を教えていたんです。
金田:そうだったね。「怖いなあ」と思いながらやっていました。
戸塚:怖い?
金田:僕が使う段階では、もうユウマは死ぬほど使ってきた訳だから(笑)。
戸塚:確かにそうだよね。他人の靴を履くみたいな。
金田:そうそう。でも、本当に貴重な体験でしたし、すごく楽しかったです。あとは映像として、「ギルアーク」がどう映るのかが気になっていて。いわゆる第1話を迎える前のユウマの目線じゃないですけど、その気持ちに少し共感できたのかなと。
金田:(取材時点では)誰が変身するのか明かされてないですけど、ファンの方には予想されそうですね。
戸塚:どうする? もし、所長だったら……。
金田:面白いけどね(笑)。
ーー(笑)。色々なお話をありがとうございました。『ウルトラマンアーク』としては一つの区切りになると思うので、最後にウルトラマンアークと「SKIP」の戦いを応援してくれたファンの方々へのメッセージをお願いします。
戸塚:『ウルトラマンアーク』という作品は、最終話に向けてずっと積み重ねていたものがあると思っていて。ユウマは両親を失ってから、その日のことをずっと思い続けて生きてきました。それはいいことだけど、その過去に縛られているという見方もできる。全25話の間で、その過去から一歩を踏み出すまでの葛藤を描いていたと思います。
金田:信じて一歩踏み出すことが大事だよね。最近の世の中は情報量が多すぎて何を信じていいのか、信じること自体も怖くなってしまっていると思うんです。『ウルトラマンアーク』はそれを払拭する作品でもあって、「まずは信じてみる、そこから考えればいい」というメッセージを前面に押し出しています。
ユウマを信じているシュウの立場としては、それをモットーとして、全25話で通したつもりです。それが皆さんにも伝わっていたらいいなと。
戸塚:そうだね。きっと伝わったと思う。
金田:あとはウルトラマンがいるからこその『ウルトラマンアーク』ですが、ユウマも含めた「SKIP」として、「その力に頼り過ぎない」という面も現れていたと感じます。自分たちができることを全力でやるというのは、この物語を抜け出した現実世界でもやっぱり必要です。僕自身は出演者ですけど、この作品を観て「自分ができることをしっかりやりたい」と思いました。
だから、この作品を観てくださった皆さんも頑張ってほしいなって。日常の良さを描いて、それぞれの柔らかい優しさが素敵な作品だったと思うので、これからも優しく走っていってください。
[インタビュー・撮影/小川いなり]
『ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク』作品情報
あらすじ
「君に勇者たる資格があるかどうか、だ――」
『宇宙賢者』を名乗る謎の男「サスカル」が主人公・ユウマに告げたその言葉が、この闘いのすべての始まりだった。ユウマに課せられる想像を超えた究極の試練。
「失敗すれば、君はアークとしての力を失う――」
怪獣防災科学調査所「SKIP」のメンバーとして守ってきた星元市の平和、「SKIP」に集う仲間たちと築き上げて来た信頼の絆、たびたび直面して来た怪獣を倒す意義への葛藤…。ウルトラマンに変身する光を手にしたからこそ、ひとり重圧を噛み締めて来たそんな使命たちが、いま、サスカルの手により弄ばれ、次々にユウマに襲い掛かる!
暴れる大怪獣たち、荒ぶる邪悪な宇宙人、時空さえも歪められた超次元の中で、ついにその姿を現す黒いウルトラマンアーク、「ギルアーク」。
果たしてユウマは…ウルトラマンアークは、『想像力』を超えて最大の試練に打ち勝ち、未来を守り抜くことができるのだろうか?!
キャスト
飛世ユウマ:戸塚有輝
石堂シュウ:金田昇
夏目リン:水谷果穂
伴ヒロシ:西興一朗
武川モトキ:中山翔貴
乾あかり:田中日奈子
サスカル:竹中直人
【声の出演】
ユピー:広瀬裕也
邪悪怪人レポ星人:水野美紀
(C)円谷プロ(C)ウルトラマンアーク製作委員会・テレビ東京
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