100条委員会設置の議論が浮上、四日市市議会、市による議員のハラスメント調査で
三重県四日市市議会の2月26日の一般質問で、複数の市議と職員のやりとりがハラスメントに相当する可能性があるとして、昨年、市が市議会に配慮を求めたことに対し、当時の市の調査が、二元代表制の議会の権限を侵す可能性があるとする質疑があった。質問した市議は、詳しく調査するため、議会が自ら調査委員会を設置するか、100条委員会設置によって追及すべきかも考えるとした。設置の判断は割れる見通しだが、今議会で議論される可能性が浮上した。
政友クラブの荻須智之さんが質問した。荻須さんは、市議会は独自に「四日市市議会ハラスメントの防止等に関する条例」を定め、自主的にハラスメントを防止する努力をしているのに、これを逆手に取る形で、同条例に市の調査についての規定がないにもかかわらず、市が職員に調査し、7件のパワハラとみられる案件を抽出し、市議会に文書を提出し、対応を求めたとしている。これは、市議会と市側の関係において、市議の正当な活動を縛りかねないもので、議会の自治と独立性を脅かす恐れがあると指摘した。
荻須さんは、本来なら、条例を制定した市議会に、その後の状況について調査することを市から求めるなどし、議会が主体となって調査を行うことが必要だったとした。荻須さんは「今回の7件の対象になったのは、市の施策に反対する立場の議員ばかりだという印象を持った議員もいる。議員の市に対する調査の権限などを縛りかねないものだった」と批判した。
市側は、今回のハラスメントに関する調査は、議会の条例とは関係なく、職員の職場環境を適切にするために行っているもので、特定の市議の活動に影響を与えようとしたものではないと否定したうえで、聞き取りで8件の案件が上がり、厚労省のハラスメントの類型に当てはまると思われる7件を報告したと説明した。
別の市議が関連質問をし、職員の職場環境づくりのための調査だとすれば、2024年も調査はしたかと質問した。市側は、今回の報告後、市議会が独自に調査をし、新しい行動指針などの作成もあり、調査の必要はなくなったと回答したため、市議は「職員の職場環境づくりのための調査なら、市議会が何をしようと、調査は続けるべきで、整合性を感じられない」などと指摘した。
この調査報告の存在が明らかになった2024年6月の段階では、市は、文書は「四日市市議会ハラスメントの防止等に関する条例の施行後の状況に関する調査結果について」の題で、4月19日付で議会に提出された。市側は条例制定など市議会の取り組みに礼を述べる一方で、施行を受けて調査したところ、事案が報告されたとして、ハラスメント防止に配慮を求める内容になっていた。
市議会はその後、独自に弁護士3人による外部調査を依頼し、その結果、「誤解を招く多少の注意事項はあるものの、いずれもハラスメントにはあたらない」とする内容の調査結果を得たと議長から今年1月17日の各派代表者会議で説明があり、その内容は市長にも口頭で伝えられたという。