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ASD対ADHDの兄弟ゲンカが多発!正反対の性格への対応法と仲裁のコツは?【読者体験談】

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ASD対ADHDの兄弟ゲンカが多発!正反対の性格への対応法と仲裁のコツは?【読者体験談】

監修:鈴木直光

筑波こどものこころクリニック院長

正反対の性格の兄弟、いつも折り合いが悪くて……

わが家には長男・次男・末っ子の長女の3人の子どもがいます。その中でも困っているのが長男と次男の関係。
現在小学校6年生の長男は、3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、小学校では自閉症・情緒特別支援学級に通っています。おっとりしていて、インドア派。趣味は某ゲームのカード収集で、自分なりのルールをとても大事にします。空気を読むのが苦手で、マイルールを他人にも適用しがちです。

一方、次男には診断はありませんが、ADHD(注意欠如多動症)傾向が見られます。不注意の特性が強めで、忘れ物や紛失が多いタイプ。ランドセルを通学路に置きっぱなしにして帰ってきたこともありました。そんな次男は活発で外遊びが大好き、エネルギーに満ちあふれている子です。現在小学校4年生で、長男と同じく自閉症・情緒特別支援学級に在籍しています。

そんな2人、親としては仲良くしてほしいのですが、折り合いが悪くいつも困っています……。

ASD(自閉スペクトラム症)長男の「指摘ぐせ」が止まらない!

家庭内でよく起こるのは、長男による「指摘」や「叱責」です。
例えば、次男が食べた後のお皿を片付けないと「片付けて!」と厳しく注意する長男。さらに、現在年少の末っ子の長女が泣いていると「次男が泣かせた!」と即座に責める場面もあります。

最近では、次男が下の妹を泣かせ、その様子を見た長男が次男に注意して、2人がケンカになるという流れがよくあります。妹が次男のものをほしがって「貸して」「今使ってる」と言い争いになっているところを、長男が怒る……といった具合です。

ただし、次男と妹の関係性は悪くなく、むしろ面倒を見て遊び相手になってあげていることが多いです。長男がその関係性が「見えていない」側面もあると感じています。妹の泣く声がうるさくて「感覚的にダメ」というのもあるかもしれません。

力関係が逆転⁉「お兄ちゃんは友だちがいない」と痛いところをついて攻撃するADHD(注意欠如多動症)傾向の次男

そんな長男と次男ですが、幼い頃から今にいたる過程で、力関係が逆転しました。
長男が就学する前は、気に入らないことがあると次男に手が出ることもあり、次男が泣かされる姿を何度も見てきました。

ある時のことです。少し目を離したすきに当時3歳くらいだった長男の手が出てしまい、赤ちゃんだった次男の目の下に傷をつくってしまうことがありました。それから私はできる限り次男を見守り、1歳代までは背中におぶってなるべく長男が手を出す余地を環境的に失くすようにしていました。
それでも手が出た時は、長男の気持ちを一旦受け止め、その気持ちを言葉にするようにしていました(言葉にできないために手が出てしまうところもあるかなと思っていました)。そして、次男がどう感じたか、次男の気持ちを考えるような問いかけをしていたと思います。このあたりは、ペアレントトレーニングや療育に行っていた教室の先生方から学んだことです。

けれど今では立場が逆転。次男のほうが強くなりました。あるときは口論の末、次男が長男を引っかいて怪我をさせてしまったこともあります。また、ケンカになると、口達者の次男は「兄は友だちがいない」という点を突いてきます。長男も『自分は内向的で友だちがいない』と気にしているので、「こんなだから、お兄ちゃんはダメなんだ」と言い立てられると、涙してしまうことも……。

この精神的な攻撃で、長男はとても傷ついていると感じています。長男へは「本当に気が合う友だちと出会うタイミングは、人それぞれ」「たとえ今友だちがいなくても、そこまで気にしなくていい」と伝えていますが、(次男もそこまで長男を追い詰めなくてもいいのに)と思っています。

2人の仲をどう取り持つ⁉特性を伝え合い、歩み寄るために

そんな二人の仲をどうとりもつか……。
私はそれぞれが一人のタイミングで話をするようにしています。長男は学校の送迎の時に、次男は買い物についてきてもらう時に、なるべく押しつけではなく、違う見方を話すようにしています。

たとえば、長男には
「年少の妹ちゃんが欲しがっていたあのおもちゃは、次男くんのもので昨日買ったばかりだったみたいだよ。だから、なかなか譲りたくなかったみたいなんだよね」
「長男くんが勉強している時は、お手伝いや妹の遊び相手は弟くんがしてくれていたんだよ」

次男には、
「お兄ちゃんはモノを大事にするし、コツコツ続けてやるのは得意だよね。次男くんが失くしたものをお兄ちゃんに借りることも多いよね」
と伝えています。

また、少しずつですが、お互いの特性についても話しています。長男には「次男くんは気を付けていても、どうしても忘れてしまったり片づけるのが苦手だったりするところがあるんだよ」と伝えています。

また、長男は「〇〇すべき」というルールが自分にも相手に対しても強いため、そこから外れる行動が多い次男のことを嫌だと思う場面が多いようです。思春期のイライラや普段のうっ憤もあいまって、お互いがヒートアップしてものすごい剣幕になることもたまにありますが、長男の中では「弟は自分に対してひどいことをするけれど、本当に悪いことをする人間ではない」という受け止めではあるようです。
次男へは長男の特性を伝えつつ、理解してもらうようにしています。

大人になったら、共通の思い出で笑い合える兄弟でいられるように

それぞれが成長していく中で、長男は人の中で揉まれる経験がもう少し必要だなと感じます。次男はお友だちやその親御さんなど、いろいろな人とのふれあいの中で人間関係について学ぶ機会が多かったのかもしれません。それもそれぞれの個性なのかもしれませんが……。

大人になるにつれて、それぞれリスペクトし合える存在になっているといいなと心から思います。きょうだい児として、将来にわたってお互いのケアをしてほしいとは思っていません。それぞれ自立できるように、親としてできることをしていきたいと思っています。
大人になった時に、子どもの頃の共通の思い出で笑い合える日が来たらいいな……。

イラスト/ネコ山
エピソード参考/みちる

(監修:鈴木先生より)
ごきょうだいそれぞれは、お父様、お母様、それぞれの気質を受け継ぎ異なった特性がみられることはよくあります。
異なった特性を持ったお子さんとの関わり方について、お母様はペアトレで学んだことが生かされていると感じました。「今は喧嘩していても、10年後には仲良く協力して生きていければいいですね」といつも私は外来では親御さんにお話ししています。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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