2025年3月に刊行された<おすすめサカナ本>7選 身近な自然や地域の環境に触れる
出版の世界では毎月、魚をはじめとした水生生物に関する本が多数刊行。そのテーマは実にさまざまです。
今回はサカナに特化した小さな本屋『SAKANA BOOKS(サカナブックス)』(東京都新宿区)のスタッフ・川村さんに2025年3月に刊行されたおすすめの“サカナ本”を聞いてみました。
身近なカエルを親しむ本、水族館で飼育されているサメやラッコを詳しく知れる本、さらにはいきものを通してことばや地域を考えることのできる本など、さまざまな方法で水辺の環境と触れ合うことのできる本が7冊ラインナップしています。
野山に隠れたカエルが見つかる!『コツがわかる!カエルの見つけ方図鑑』
「カエルの鳴き声がするのに姿がみつからない……」
きっと野山を散歩したことがある人なら、そんな悔しい思いを一度はしたことがあるでしょう。
巧みに隠れている彼らの見つけ方を、著者がわかりやすく、美しい生態写真とともに解説してくれる『コツがわかる!カエルの見つけ方図鑑』(写真・文:松橋利光/山と渓谷社)。
全国のカエル類をほぼほぼ網羅し、環境や季節ごとに見つけ方のコツが紹介されているのも嬉しいところ。
この本を読めば、カエルの鳴き声がしたらその姿も発見できそうな気がしてきます。水生生物好きの人にはぜひおすすめの一冊。
いきものとことば、ふたつの架け橋『いきものだらけのことば図鑑』
『いきものだらけのことば図鑑』(著:金田一秀穂、小宮輝之、イラスト:仁子ほか/Gakken)では、「とどのつまり」「鯖を読む」など、魚が由来になった言葉も紹介されています。
ちなみに、比較的有名な話ではありますが、とどのつまりの「とど」は海獣のトドではなくて、あの出世魚が語源になっていますよ!
学研の図鑑LIVE編集部ならではの、慣用句などの「ことば」だけではなく、由来となった生きものに関する情報も楽しく学べる、文理の垣根を超えたとてもお得な本です。お子さんへのプレゼントにもぜひ。
地域の自然を守るには?『自然によりそう地域づくり』
この地域の自然を守りたい!……でも、一体なにから始めたらいいんだろう?
そんな想いと疑問によりそう一冊がこちら、『自然によりそう地域づくり 自然資本の保全・活用のための協働のプロセスとデザイン』(編:鎌田磨人、大元 鈴子ほか/共立出版)。
市民、行政、研究者など様々な主体とともに、自然を活かして地域を豊かにするための協働のすすめ方が紹介されています。全国各地における事例のほか、それらに携わった関係者の経験則を、こんなときどうする?という状況別のパターン・ランゲージとしてまとめている章も必見。
研究者だけではなく、地域とともに、生物多様性や生態系の保全・活用を実践したいすべての人にオススメ。
等身大のサメを探る『知られざるサメの世界 海の覇者、その生態と進化』
サメ好きな人は大注目の新刊『知られざるサメの世界 海の覇者、その生態と進化』(著:佐藤圭一、冨田武照/講談社)。
機能形態・生態・分類・繁殖と、サメ研究の第一人者らが網羅的に解説しています。
世界初の人工子宮によるサメの繁殖を試みる、沖縄県の美ら海水族館での事例も紹介されており、読み応え抜群です!
可愛いラッコをもっと知りたい!『ラッコ沼への招待状』
ラッコの基本生態からトリビア、日本で飼育記録があるラッコたちの個体ごとの個性まで紹介するのが『ラッコ沼への招待状』(監: 今泉忠明/世界文化社)。
飼育員さんの奮闘記や、野生ラッコの観察ガイドも。そしてラッコと人間との共存や未来について考え、実際の行動に移せる情報も掲載されています。
全体を通してポップな誌面で読みやすく、あらゆる視点から「ラッコ沼」に引きずり込まれる一冊。
海辺で石を拾うのはどう?『海辺の石 ー小図鑑・見立て・石並べー』
子どものころ、「いい感じの石」を拾って嬉しくなったことがある人には絶対に刺さる一冊が『海辺の石 ー小図鑑・見立て・石並べー』(著:石の人、監:川端 清司/グラフィック社)。石の分類から、石のなかに別の世界をみつける見立て、撮影や見つけ方まで贅沢にフルカラーで紹介。
海に出かけて、きれいな石を見つけて写真を撮って、家族や友達に自慢したくなります。「石、拾いにいきたい!」読んだ後はきっと、そう思うはず。
『Coyote No.85 Way to Patagonia』
『Coyote No.85 Way to Patagonia』(提供:SAKANA BOOKS)
「人、旅をする」をテーマにした雑誌『coyote』。
最新号である『Coyote No.85 Way to Patagonia』(編:スイッチ・パブリッシング/スイッチ・パブリッシング)は、南米パタゴニア国立公園への旅を特集で紹介。パタゴニア社の初代CEOが環境保全活動に尽力する様子をエッセイやインタビューでお届けします。
北海道黒松内町のサクラマスについての現地取材や、映画『ミルクの中のイワナ』坂本監督へのインタビューも!
自然と真摯に向き合う人々そしてその生き方の多様さに出会い、刺激をもらえる一冊です。
海に広がるさまざまな世界
身近な自然を観察してみると思わぬ発見があったり、それが巡って地域や環境に還元できたり。本を通して、さまざまな自然との触れ合い方法を学ぶことができます。
自分には関係ない、と思わずに一度思い切って世界を広げてみると、新たな出会いがあるかもしれませんよ。
(サカナト編集部)