倉敷美観地区のお抹茶体験スポット「月と花」。1日1組限定で宿泊もできる!
気軽にお抹茶体験ができるサロンが倉敷美観地区にあります。茶室で本格的に作法体験ができる「茶室体験」(要予約)や、テーブルと椅子でお抹茶とお菓子を楽しむ「呈茶(ていちゃ)席」(予約不要)などを選ぶことができます。茶道から生まれた「一期一会」、お茶をたててもてなす亭主とお客様との心のコミュニケーションが「茶道」の中にあることを体感できます。また、サロンの2階は、1日1組限定の宿泊施設にもなっていて、ゆっくり、静かに倉敷ステイが楽しめます。
茶道体験サロン「月と花 Japanese Tea ceremony salon」
倉敷美観地区にあるお抹茶体験サロン「月と花 Japanese Tea ceremony salon」(2023年4月オープン)に行ってきました。こちらでは倉敷の町家の雰囲気の中でお抹茶が頂けて、本格的な作法も体験できるとのこと。美観地区の中心部から少し離れた住宅街にあるのでとても静かです。JR倉敷駅からも徒歩で行ける近さなので、インバウンドのお客様も多いそうです。
本格的な茶室で体験
サロン内には本格的な茶室とテーブル席があります。和室には茶釜が置かれており、床の間には季節のお花が飾られていました。事前予約をした際に、少し長めのスカートかパンツスタイル、畳の和室のためソックス持参をと伺っていたので、少し長めのワンピースで行きました。髪が長いとじゃまになるため、一つにまとめていくのがおすすめです。
まずは白湯でお清め
最初にテーブル席で白湯が出されました。鉄器で温めた白湯は鉄分が豊富とのこと。心身ともに落ち着かせ、清めてから、本格的な「茶室体験」が始まります。
入室の作法
さっそく、表千家講師の牧野宗眞(そうしん)先生のお手本で、お茶を点てて頂くことに。和室に入るところから、お辞儀で始まり、茶道の世界に入ります。
一期一会
茶室では誰もが平等という考えがあります。また、茶道から生まれた「一期一会」には、「どのお茶会も生涯に一度しかない出会いであると心得、主客共に誠意を尽くすべきである」という意味があります。茶道の根底には、これらの考えがあり、その思いを表現するために作法があります。扇子を前にお辞儀。私も自然とお辞儀でお返しできました。
和菓子を先に頂きます
牧野先生のお点前の間に、和菓子を先に頂きました。この暑い夏が爽やかに感じるデザインの和菓子は「御菓子処清邦庵」(矢掛町)の上生菓子で、程よい甘さで美味しかったです。通常お茶席には懐紙持参が必要ですが、岡山県ならではの備前焼のお皿で出されるので文化も感じながら頂くことができました。お抹茶が出来上がる前に食べ終わります。
お点前見本
私がお菓子を頂いている間に、牧野先生がお抹茶を点ててくださいました。お道具の説明を聞きながら、夏は暑くないように風炉であったり(冬は畳の炉)、涼しげな倉敷ガラスがあしらわれていたりするところが、茶道の「おもてなし」の心なのだと感じました。柄杓ですくうお湯には、鉄分が豊富に含まれています。
お抹茶を点てる
今回のお抹茶は、宇治(京都)「福寿園」のお抹茶で、インバウンドのお客様にも好評だそうです。シャカシャカという音が静かな和室に心地よく響きました。先生のお召し物も気になります。絽の着物にも見える浴衣を着物風に着られていて、夏の帯は秋を先取りしたモミジが紺のお着物によく映えていました。すべてが言葉にしない「おもてなし」で、心に響いてきました。
お抹茶を頂きます
先生の点ててくださったお抹茶を自分の所まで運ぶのですが、これにも作法があります。先生からお抹茶を受け取り、自分の座っていたところまで戻るのですが、最初うまく立ち振る舞えませんでした。ですが、周りのお客様にお尻を向けず立ち振る舞うという意味を理解するとうまくできました。簡単だと思う動作がなかなか思うようにはいかないことに気づきました。当たり前のことを実践するのは難しいことや、おもてなしの奥深さを感じました。
茶道体験①
実際に茶道体験する時が来ました!一度お手本を見ただけでは不安でしたが、先生が隣に座って教えてくださるので安心です。お道具の前、畳の真ん中に正座し、柄杓からお湯を半分くらいすくい、置いたままのお茶碗にお湯を全部入れます。
茶道体験②
お茶碗を回しながらお湯で温めます。お湯を捨て、布で拭いてもらいます。
茶道体験③
左手でお抹茶の入ったおなつめを取り、右手でふたを開け、ふたが伏せた状態で置いてさじでお抹茶の粉を2杯お茶碗に入れ、「タテタテヨコヨコ」にさじでさばき、最後にお茶碗のふちで「コンコン」と振るいます。そして右手でおなつめのふたを閉めて置きます。すべて、先生が隣でナビゲーションしてくださいます。
茶道体験④
お抹茶の粉の入ったお茶碗に柄杓の3分の1のお湯を注ぎます。
茶道体験⑤
左手でお茶碗を支え、茶筅(ちゃせん)でお抹茶を前後、そして横に混ぜます。しばらくシャカシャカの音を楽しみ、最後に「の」の字をかくようにして手前から茶筅を引き揚げます。
茶道体験⑥
そしてついに自分で点てたお抹茶を頂く時が!お茶碗の絵柄に口をつけないようにするため、正面をずらして何回かに分けて飲み、最後は音を立てて飲み干します。音を立てることが「ごちそうさま」の合図です。自分のために点てたお抹茶ですが、とても美味しかったです。
茶道体験⑦
飲み干した後は、右手でお茶碗の口元を拭き、向きを元に戻して置きます。これで一旦終了。
茶道体験⑧
点てたお抹茶をお客様にお出しする作法も教えていただきました(2人で予約すると、交代で作法が体験できます)。お茶碗を左手で持ち右手で持ち替え、先生のほうに自分の体を向け、再度左手でお茶碗を取り、絵柄を先生の正面に向けて置きます。飲まれた後は、「ごちそうさまでした」のごあいさつで終了しました。絵柄を相手の正面に向けるけれども、飲むときは絵柄に口をつけないように外す作法は、お互いを思いやる心を表しています。
茶道というと作法や飲み方が気になりますが、お抹茶を点ててもてなす亭主とお客様とのコミュニケーションが茶室の中に自然に流れていて、その心を感じれるのが素敵だと思いました。そしてその日本文化がインバウンドのお客様にも人気のようです。
【月と花 Japanese Tea ceremony salon】
所在地:岡山県倉敷市阿知2-16-11
TEL:086-421-0767
営業時間:12:00~17:00
定休日:月曜日、第2、4日曜日(不定休あり)
茶道体験:1人5000円他(コースによります)
呈茶席(カフェスタイル):1人1500円~
駐車場:なし
1日1組の宿泊施設「月と花」
サロンの2階は、1日1組の宿泊施設になっています。JR倉敷駅からも徒歩で約5分、倉敷美観地区にも近く、お子様連れやグループでの宿泊におすすめです。ワンフロアに畳スペースもあり、広々としているのでホテルよりも開放感がありました。素泊まりですが、近くに飲食店がたくさんあるので困りません。ウェルカムサービスでお抹茶とお菓子が付いているのでうれしいですね!
水回りも充実
近くのお店でテイクアウトしたものを持ち込んだり、簡単な調理もできるよう水回りも充実していました。コーヒーやドリンクもこだわりのセレクトです。
快適なお風呂
トイレ、バスは部屋と別にあり、階段には小さなお子様が危なくないように落下防止サークルも設置されています。※宿泊予約は「じゃらん」から可能です。