“本作を通じてさらなる真実を探し続けて” 人質テロ描く『セプテンバー5』ショーン・ペンのインタビュー解禁
1972年ミュンヘンオリンピックで起きた人質テロ。オリンピック史上最悪の事件として、今もなお語り継がれている歴史的な1日をTVクルーたちの視点で描いた『セプテンバー5』が大ヒット上映中。プロデューサーであるショーン・ペンのインタビューが解禁された。
その日、全世界がテロの脅威と対峙した
日本人選手のメダルラッシュに沸いた、パリ2024夏季オリンピック。そのオリンピックの長い歴史の中で、今なおオリンピック史上最悪の事件として語られるイスラエル選手団の人質事件。1972年9月5日にミュンヘンオリンピック開催中に起きた、パレスチナ武装組織「黒い九月」による17人が死亡したテロ事件だ。本作は、世界が注目する事件を突然生中継することになったTVクルーたちの視点で、事件の発生から終結までの1日を90分間ノンストップで描き切る。エスカレートするテロリストからの要求、錯綜する情報、冷戦下であるため機能しない現地警察…。刻一刻と人質たちの命の危険が迫る中、極限の緊張下に置かれたクルーたちの<圧倒的緊迫感>を追体験する、新たな傑作映画が誕生した。
放送のルールが未だ明確化されていない時代。全世界が生中継を通して、初めてテロリズムの脅威を目の当たりにしたその日、<報道の自由><報道される被害者の人権><報道がもたらす結果の責任>といった、現代社会を生きる私たちにも通じる問いが投げかけられる。
また批評家からは「すべてのレベルで傑作」「今年最高の緊迫感 今年最高の作品」と圧倒的な称賛を受け、米映画レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家スコアが93%、観客スコアが91%(※)を獲得しており、先日発表された第97回アカデミー賞では脚本賞にノミネートされた。(※2025年2月19日現在)メディアでの拡散を強く意識した現代のテロリズムや、SNSの普及で誰もがメディア化した現代社会において、報道の自由とその責任の在り方を描いた本作は、今まさに観る者を引き付け、問いを投げかけてくる力強い作品となっている。
監督・脚本は、新鋭ティム・フェールバウム(『HELL』12)。さらにキャスト陣には、ピーター・サースガード(『ニュースの天才』04)、レオニー・ベネシュ(『ありふれた教室』24)、そしてジョン・マガロ(『パスト ライブス/再会』24)ほか、名優の呼び声高いバイプレイヤーたちが集結した。
先週末に劇場公開された日本でも話題騒然!ネット上では、「圧倒的な臨場感がヤバイ」「緊迫感が半端ない」「怒涛の90分」「息をつかせない濃厚な90分」「鳥肌が止まらない」「没入感がエグい」「実にスリリングで面白い」と、「手に汗握るスリリングな展開」に浸った声が溢れている。さらに「構成の妙」「脚本の見事さ」「実話モノの中でも屈指の出来」と、「本年度ベスト!」「文句なしの傑作」だったと「満足度MAX」の声も。また「オリンピックでこんなテロ事件があったことを初めて知った」という声も多く、「今とても意義のある作品」「今上映されるに相応しい映画」「メディアのあり方を考えさせられる」と「今、世界が直面している課題をそのまま凝縮」された本作を推す声も多く、本作の特異性に注目が集まっている。
ショーン・ペンが明かす、映画『セプテンバー5』の制作秘話
ジョン・マガロ、ピーター・サースガード、レオニー・ベネシュ、ベン・チャップリンといった実力派キャストが集結し、ショーン・ペンがプロデューサーを務めた映画『セプテンバー5』。
本作は、1972年のミュンヘンオリンピックで発生したパレスチナ武装組織「黒い九月」に襲撃されたイスラエル選手団11人が犠牲になったテロ事件を題材に、ABCテレビのオリンピック中継クルーの視点から描いた衝撃の社会派映画。緻密な脚本と重厚な映像で圧倒的な緊迫感を描き出し、本年のアカデミー賞・脚本賞にノミネートされている。膨大な情報が飛び交う中で生きる現代の私たちが「何を信じ、どう選択していくべきか」、メディアや情報に対する向き合い方を深く問いかける。
ショーン・ペンが絶賛する監督ティム・フェールバウムの脚本と映像世界
1972年、当時12歳だったショーン・ペンは、自らを「オリンピック狂だった」と語るほど、夢中になってオリンピックを観戦していた。「家族とテレビの前に集まり、この事件を見守ったのを今でも覚えています。何が起こったのかを目の当たりにしました。当時は、メディアの報道に関する問題と結びつけて考えることはできなかったと思います。でも本作の脚本を読んだときに、すべてが繋がり、納得できました。そして、このテーマは当時だけでなく、むしろ現代においてますます重要性を増していて、今のメディアのあり方をも鋭く反映しているとも感じました」と振り返る。
また、脚本も手がけたティム・フェールバウム監督について、「脚本は、あの時の緊張感や悲しみを鮮明に蘇らせただけでなく、まるで自分がその場にいるかのような感覚を与えてくれました。フェールバウム監督は緊張感を構築しながら場面を巧みに整理する視点を持ち、観客を引き込む演出に長けています。監督の明晰な視点は、映画を通じて自身の考えを語るストーリーテラーとして優れています」と絶対の信頼を寄せる。
さらに、自身の長年にわたる俳優経験から、キャストの魅力についても語る。「共演者たちと演じていると、まるで“電流”が走るような瞬間があります。それぞれの俳優が重要な役割を果たしながら、互いに共鳴し合うのです。そのエネルギーが、俳優たち、監督、撮影監督との間で生まれる瞬間は、本当に貴重で、まさに“黄金のような瞬間”です。本作の俳優陣は素晴らしく、彼らと共に作品を創り上げることができたことにとても興奮しました」。
『セプテンバー5』の製作において、ショーン・ペンの存在が決定的な役割を果たしたことは間違いない。本作の撮影監督マルクス・フェーデラーと、ショーン・ペンの製作パートナーの一人であるジョン・ヴィルダームートが、ドウェイン・ジョンソン主演映画『レッド・ノーティス』の撮影現場で『セプテンバー5』について話したことがきっかけとなり、ショーン・ペンの製作会社「Projected Picture Works」が『セプテンバー5』の映画化に向けて協力することを決めた。ショーン・ペンが「脚本を読んですぐにやると決めた」と絶賛し、脚本の質の高さを確信したからだ。Projected Picture Worksが参加した瞬間から、アメリカでの『セプテンバー5』の道が急に開かれた。「ショーン・ペン製作」と記されたメールを送るだけで、扉が次々に開かれる。脚本はすぐに読まれるようになり、反応も早かった。このことが最終的に、素晴らしいキャストやスタッフを集めることに繋がった。
そして、本作が持つ本質的なテーマについて、「この映画には、人間の恐怖と美しさ、その両方が映し出されています。スポーツの卓越性、献身、人生の大半をその道に捧げる人々の姿、そしてジャーナリズムに身を捧げる者たちの葛藤。この映画は“物語の一部”に過ぎませんが、それが極めて重要な一部であり、私たちみんながさらなる真実を探求するきっかけになればと願っています」と熱く語った。
フェールバウム監督もまた、キャスト・スタッフ全員が最初から最後まで一体となって本作を創り上げたことを強調する。「この映画が特別なのは、クリエイティブなプロデューサー陣の卓越したチームワークにあります。私たちは常に対話を重ね、物語を最も効果的に伝える方法を追求し続けました」。
ショーン・ペンをはじめとするプロデューサー陣の熱意と結束が、映画『セプテンバー5』を唯一無二の作品へと昇華させた。