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『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第11話「アルファ殺したち」用語解説(ニュータイプの未来、復活した赤いカンダム、ゼクノヴァを引き起こす原因、BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて))

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の世界は、第11話「アルファ殺したち」で新たな局面を迎えます。本稿では、このエピソードをより深く理解するために、物語の鍵を握る要素とその背景を解説します。

本作は、単なるSFアニメに留まらず、綿密に構築された世界観と『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)との歴史的な繋がりが魅力です。過去のガンダムシリーズが持つ重厚なテーマ性を引き継ぎつつ、『GQuuuuuuX』独自の視点で描かれる人間ドラマや未来への問いについても考察を深めていきます。

ガンダムシリーズを初めてご覧になる方にも、この奥深い物語を楽しんでいただけるよう、専門用語や背景知識についても分かりやすく解説します。第11話「アルファ殺したち」を通じて、『GQuuuuuuX』が提示する新たなガンダムの魅力をぜひご堪能ください。

 

本記事はネタバレ及び考察を含みます。そのため、未視聴の方はご注意ください。

アルファ殺し

シロウズのセリフの中に含まれる単語で、ジークアクスとジフレドという2つのガンダム、それぞれに搭載されたオメガサイコミュを指すと考えられます。

「アルファ(Α)」はギリシャ語アルファベットの最初の文字であり、「オメガ(Ω)」は最後の文字です。このことから、「アルファ殺し」という言葉は対極的な関係にある概念を示していると解釈できる

オールレンジ攻撃の対策方法

シャリア・ブルがマチュに対して行ったアドバイスの内容。

オールレンジ攻撃は、一見すると予測不可能で手の打ちようがないように見えるが、シャリア・ブルはこれを「それを動かしているのは人の意志」であると指摘。つまり、使用される武器や攻撃回数は有限であり、それらの組み合わせに過ぎないという考え方。

そして、そのオールレンジ攻撃を操るニュータイプも「所詮人」であるため、その行動には限界やパターンが存在するとし、対策が可能であるとアドバイス。

実際にジフレドのオールレンジ攻撃にも対応。

オールレンジ攻撃を受けたパイロットの感覚

オールレンジ攻撃に晒されたパイロットが感じる状況や感覚は、エグザべの言葉でいうと「攻撃の雰囲気が読めない」とのこと。
これは、従来の攻撃のように予測可能なパターンや兆候がなく、どこから来るのか、どのような軌道を描くのかといった情報を事前に察知することが極めて困難であることを物語っている。

「本物のニュータイプならそんなことしないよ」

コモリのセリフ。シャリア・ブルとエグザべが戦闘になった際、シムスがシャリア・ブルの行動理由を艦長に尋ねられた。その時シムスが、「来たるべきニュータイプの時代のために」と語ると、コモリがそれに反論するように「本物のニュータイプならそんなことしないよ」と呟く。

この文脈から、コモリはシャリア・ブルのことを「本物のニュータイプではない」と言っていると解釈できます。しかし、コモリが考える「本物のニュータイプ」がどのような存在を指すのかは、作中では不明。

「なんで戦争しているんだよ」

ニャアンがジフレドに乗っていることを知った際、マチュが発したセリフ。

このセリフから、マチュ自身はガンダムに乗っていながらも、自身の行動を「戦争をしている」とは認識していないことが読み取れる。一方、ニャアンはおそらく深く考えることなく、無自覚な状態でガンダムに乗っている(=戦争に参加している)と推測。

このマチュの問いかけは、彼女が「ララァを救うために行動している」という明確な目的を持っており、その目的達成のための手段としてガンダムに乗っているという、彼女の行動原理を改めて浮き彫りにしている。

オメガサイコミューのリミッターデバイス

オメガサイコミュが本来持つ「時間凍結の干渉機能」を制限する装置である。

この「時間凍結の干渉機能」とは、おそらく「シャロンの薔薇」への破壊的な影響を抑制するための制御機能、もしくは、時間凍結能力の操作によってパイロットにかかる身体的な負担を軽減するためのものであると予想される。

キリシアとシャアの対面する劇場の場所

この場所は、『機動戦士Zガンダム』最終話においてハマーンとシャアが対面する劇場シーンを彷彿とさせる。Zガンダムのその場面では、ジオン残党のハマーンが連邦に所属するシャアに対し、ザビ家の再興を説得するシーンが描かれた。その最中、カミーユが自身の主張を携えて乱入する。

『ガンダムジークアクス』においては、ハマーンに代わりキリシアとシャアが対峙することになる。両者がそれぞれの「ニュータイプの未来」について語り合った後、マチュが天井から落下し、ニャアンがジフレドに乗って乱入するという展開を迎える。

ニュータイプの未来(キシリアの思想)

シャリア・ブルは、キシリアが「地球をイオマグヌッソで攻撃し、地球に住む人間を滅ぼそうとしている」とその思惑を語っている。実際に、キシリア自身の口からは、「もし、宇宙で人の革新があるのならそれを潰えさせてはならない。そのために地球に固執する旧人類を一掃してやろうというのだ」と語っている。

キシリアの思想では、ニュータイプは兵器の一つであると認識されているのではないかと推測される。宇宙に住む人々の安寧を求め、地球に固執する旧人類と対抗するための兵器であると考えていると思われる。

ニュータイプの未来(シャアとシャリア・ブルの思想)

キシリアが語るジオン・ズム・ダイクンの理想「もし、宇宙で人の革新があるのならそれを潰えさせてはならない」という部分については、シャアもおそらく同意していると考えられる。しかし、その後にシャアは「私は洞察に満ちた優しさを持つ者をニュータイプと理解している」と語っている。

このセリフにはいくつかの解釈が可能であるが、シャアとシャリア・ブルが同志として同じ思想を共有していると仮定し、二人の考えるニュータイプとはをまとめると、

<ニュータイプとは、「知覚が鋭い人間ではなく、他者と分かり合い、共に未来を創る」能力を持った存在>

に近いのではないかと思われる。

そして、ニュータイプが兵器としてではなく、一人の人間として生きられる世界を共に目指していると考えられる。

「できれば貴方のようなニュータイプを殺したくないのですが……」

エグザべと戦闘中のシャリア・ブルのセリフ。この直前、エグザべは「サイド6で命を救ってくれたことには礼を言っておきます」と言っている。

「できれば貴方のようなニュータイプを殺したくないのですが……」というシャリア・ブルのセリフは、シャアが「洞察に満ちた優しさを持つ者をニュータイプ」と語ったニュータイプ観にも通じるものがある。

ニュータイプは、単なる戦闘能力ではなく、深い精神性や他者への配慮を持つ存在として共通している。

復活した赤いカンダムの姿

シャロンの薔薇の意思によって、再びその姿を現した赤いガンダム。この時に倒れている状態は、『ファーストガンダム』の最終局面で倒れているガンダムの姿に酷似している。

『ファーストガンダム』においては、シャアとの生身での決着を終え倒れたガンダムのコックピットに乗り込み、アムロが「ララァのところに行くのか」と死を覚悟する。そして、鳴り響くララァの音の中で、「殺し合うことがニュータイプではないでしょ」という声がアムロを導いた。

「あなたって赤い彗星のシャアなの?」

マチュのセリフ。赤いガンダムの登場とともに、シャロンの薔薇の影響により、シロウズが魔法少女アニメの変身バンクのような演出で、ジオンの赤い士官服をまとったシャアへと切り替わる場面で発せられた。

シュウジ・イトウ

いままでは、謎の部分が多かったが、10話では、いくつか分かったことがある。

1つ目は、シャアが見込んだニュータイプであり、その能力は期待以上であったシャア自身から語られている。

2つ目は、シュウジ自身の行動原理。彼は、「シャロンの薔薇の少女(ララァ)」に傷ついてほしくないという一点を軸に行動している。そして、シュウジ自身が「向こう側からやってきた」と告白しており、その理由を「彼女が作ったこの世界を終わらせるために」と語っている。

「できれば私の同士になってもらいたかった」

シャアがシュウジに対し、彼に求めていたことを吐露するセリフである。

これは『ファーストガンダム』の最終話において、シャアがアムロに対し「ならば私の同志になれ!ララァも喜ぶ」と語りかけるセリフと共通するものがある。

ゼクノヴァを引き起こす原因

世界に一つしか存在しないはずのアルファ型サイコミュが、同一世界内に二つ存在していることが、ゼクノヴァを引き起こす原因。この二つのアルファ型サイコミュの共鳴による不安定さが、現象の発生を促している。そして、この共鳴を引き起こしているのは、薔薇の少女。

「イオマグヌッソはそのために建造されたのだから」

シャアのセリフである。このセリフの直前で、シャアは「薔薇の少女をこの世界から消えてもらわなければならない」と語っている。「消えてもらわなければならない」が、死や消滅を意味しているかは、不明。

本物のゼクノヴァ

別宇宙との境界が破れ、エネルギーが交換される現象を指す。過去に観測された三度のゼクノヴァでは、こちら側のエネルギーが向こう側へ流出していた。

コモリが言う「本物のゼクノヴァ」とは、その流入方向が逆転し、向こう側のエネルギーがこちら側へ流れ込んでいる状態のことを指す。

ゼクノヴァの影響

ゼクノヴァによって、向こう側から流れ込むミノフスキー粒子と、それに反応したエネルギーが光として認識される。ゼクノヴァが引き起こす現象の中では、ニュータイプの認知能力が極大となる。

これは、『機動戦士ガンダム』の最終回において、アムロがホワイトベースのクルーたちを脱出へと誘導するエスパー的なシーンが、まさにこれに近い現象であると推測される。

BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)

第11話のエンディング曲であり、TM NETWORKが歌唱している。この曲は、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主題歌でもある。

曲名の「BEYOND THE TIME」は直訳すると「時を超えて」となる。サブタイトルに含まれる「メビウスの輪」とは、表裏がなくどこまでも繋がっているように見える図形のことである。『逆襲のシャア』においては、「人類の終わらない戦争」や「シャアとアムロの因縁」といったものを表すような解釈で歌詞が構成されている。

『ガンダムジークアクス』においては、『逆襲のシャア』のテーマをさらに発展させるかのように、多次元宇宙の中にまでもメビウスの輪が繋がっているようなメッセージが込められていると推測される。

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