ブレゲ「タイプXX」:希少なゴールドモデルを称えて
昨年、第4世代に進化したブレゲの「タイプXX」に、新バリエーションが登場。メゾン初のゴールド&セラミックの装いで、ラグジュアリー感を高めた。
textnorio takagi
赤みが強いローズゴールドのケースと、ミッドナイトブルーのダイヤル、ベゼルリングとのコントラストが、なんともあでやかである。3時位置の30分積算計インダイヤルを拡大した3カウンタークロノグラフのスタイルと「タイプXX」のモデル名は、1955年に民生パイロット向けに開発したモデルがルーツ。同じ年にブレゲは、フランス空軍省の仕様書に則した2カウンタークロノグラフも納品している。そのコードネームは、「タイプ20」であった。いずれもクロノグラフを作動させたままリセットでき、繰り返し計時を容易にするフライバック機構が備わっており、軍用はリング状の、民生用は目盛り付きの、両方向回転ベゼルを装備していた。
ブレゲは昨年、1955年から続くパイロットクロノグラフコレクション「タイプXX」をフルリニューアルした。それと同時に、フランス空軍に1100本納品されるだけに留まった「タイプ20」の名と姿も蘇らせた。2024年の4月には、これらふたつのモデルにブレスレット仕様を追加。さらに9月16日、このローズゴールドモデルがリリースされた。実は初代「タイプ20」と「タイプXX」には、わずか3本だけゴールドモデルが存在していたという。その史実を現代に伝える「タイプXX 2067」はブレゲ史上初、回転ベゼルリングにブルーセラミックを用い、現代的にアップデートしている。ベゼルの目盛りは、レーザー加工した後、ゴールドをガルバニック(溶融めっき)処理することで、高い審美性を得ている。セラミック製リングを追加した分、既存のSSモデルよりベゼルが幅広になった。
SSモデルではパイロットクロノグラフ然としたブラックマットだったダイヤルも、刷新。単にミッドナイトブルーの新色というだけに留まらず、全体には放射状のサンバースト、インダイヤルには同心円を重ねたスネイル仕上げが施され、ニュアンスを深めている。アワーインデックスのアラビア数字は、ゴールドのアップライトに変更。同じくゴールド製の時分針の形状は、第2、第3世代の「タイプXX」に用いられたスタイルを復活させている。針先が細く長く伸びる様子が、スタイリッシュ。極細の先端まで、完璧なポリッシュ仕上げが施されているのが、名門ブレゲらしい。12時位置のロゴもゴールドのアップライトとなり、その存在をより強く主張する。プレシャスな素材を纏った「タイプXX 2067」は、ディテールも入念に手を加えることで、一層のラグジュアリー感を創出した。