大磯在住新橋さん 遺児支援 物語で残す 小説を自費出版
大磯町在住の新橋(にいばし)典呼(ふみよ)さん=本名・小沢典子(ふみこ)さん(52)が2020年に自費出版した小説『鎌倉ひとり10Km』(文芸社)が、3月から一般書店などに再配架される。
同作は遺児への支援をするあしなが育英会が10年ほど前まで実施していたチャリティーウォーキング企画「あしながPウォーク10」を題材に、人々の心の交流を描いた物語。学生の頃から同会の支援活動に参加してきた新橋さんは「こうしたイベントがあったということを残したかった。中高生や先生を目指す人に読んでもらいたい」と目を細める。
新橋さんは、生まれつき脳性小児麻痺があり、手先が早く動かせないなどの症状がある。小中学校ではいじめに遭い、学校に行くだけで精一杯の日々。勉強に集中したくてもできないもどかしさを抱えていた自身の経験から、保護者を亡くすなどして学びたくても学べない環境にいる子どもを一人でも減らしたいと、同会の街頭募金活動などに参加するようになったという。
小説の主人公・亀井万歩がボランティアウォークで出会う少女・妙華は、新橋さんが遺児の作文集を読んだときに浮かび上がってきたキャラクターだ。新橋さんは「奨学金の制度など、様々な支援があることや、それを必要としている子どもたちがいることを伝えられれば」と話していた。
書籍は定価900円(税別)92ページ。全国の書店やネット書店で注文が可能。問い合わせは、文芸社【電話】︎03・5369・3060。