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求人に応募が来ない時代に採用を成功させるには?人材紹介の実態とエージェントの選び方

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求人に応募が来ない時代に採用を成功させるには?人材紹介の実態とエージェントの選び方

採用は、企業の成長を左右する重要なプロセスです。昭和の時代は求人情報誌、平成になってからは求人サイトで募集するのが主流でした。ただ、募集型の採用だと「担当者の負担が大きい」「そもそも応募がこない」といった課題を抱えることになりがち。そのような課題の解決手法として主流化してきたのが人材紹介です。今回は人材紹介の基本的な仕組みや、メリット・デメリット、人材紹介会社を選ぶポイントについて、一緒に考えてみたいと思います。

人材紹介台頭の裏にあった、採用の行き詰まり

前職のリクルート社では、人材採用に関わる機会がありました。当時はちょうど、人材紹介の活用が広がり始めていた時期です。営業担当は、「採用で成功する近道は、求人広告や求人サイトに費用をかけることだ」……と信じて提案をしていました。

ところが、いくら募集をしても応募が足りない。採用目標を達成できない。「別の手法はないのか?」とクライアントから要求されて、人材紹介を組み合わせた提案が増えてきていた状況でした。

その結果、人材紹介の活用で成果があがり、「公募はやめる」と判断をする企業も出てきました。当時のリクルート社では、人材紹介をリクルートエージェント社が担っていました。公募から人材紹介に採用手法を切り替える会社が急増して、その社員数も倍々で増加していたのが、2000年代初頭の話です。それから時が経ち、人材紹介は採用手法の中心に置かれるようになりました。

採用効率を高める「人材紹介」の仕組みとは

人材紹介とは、企業の人材要件にマッチした人材を紹介する有料の採用支援サービスのこと。厚生労働大臣から「有料職業紹介事業」の許可を受けた事業者が人材紹介サービスを提供できます。

人材紹介会社は、企業と転職希望者の間に立ってマッチングを行い、選考に関わるサポートを提供。転職活動でエージェントにエントリーしてきた人材、転職データベースからスカウトした人材に転職先を紹介して、入社が決まると企業から手数料をもらうビジネスです。企業における採用担当者の仕事量を大幅に削減し、効率的かつ採用成功の可能性を高める手法と言えます。

人材紹介の落とし穴——費用と選定の難しさ

ただ、何もかもいいことばかりとはいいません。採用が効率化できるメリットがある反面で、いくつかのデメリットも存在します。まず、成功報酬費用がかかることです。採用人数が増えていくと、それなりのコストになります。そして、人材紹介会社の数が多すぎることもデメリットになり得ます。2025年6月現在、事業所数は3万近くになり、大手だけでなくブティック型と呼ばれる企業も増えました。自分がリクルート社で採用事業に関わった2000年代初頭と比較すると、エージェントの4倍以上にまでなっています。結果として企業が採用を成功させるには、「人材紹介会社」=「エージェント」を探す・選ぶ、という手間が新たに増えたのです。

エージェントの増やしすぎで起きた“逆効果”とは

知人が経営する介護施設では年間に100名近い採用を行っており、10年前には地元のフリーペーパーで求人をしていました。ところが、フリーペーパーが続々となくなり、代わりとなる求人サイトが見当たらない。そこで、介護業界の採用に特化したエージェントを探したところ、複数社あったので、そのすべてに依頼しました。それでも十分な採用数にならないので、現在、依頼しているエージェントは10社以上に増加しているとのこと。各社との打ち合わせや連絡で、採用担当者の業務負担は募集型で行っていたときと変わらない状況になってきたと悩んでいるようでした。
同じような悩みを抱えている企業は相当に増えているようで、相談事として連絡をいただく機会が増えています。

エージェント利用が増える背景には転職市場の変化が

そんな手間が増える状況にはなりつつありますが、企業が人材紹介の活用をやめることはないでしょう。その理由は、転職活動する求職者が募集型からエージェントへエントリーする方向に変わってきたから。さらに年代が若くなるほど、年収が上がるほどエージェントの活用は増える傾向があると言われてきました(転職エージェントおよび求人サイト運営者に対するインタビューから)。

ところが近年、40~50代でエージェントを活用する人が急増しています。10年間で6倍以上も増加しているようです。このようにエージェント活用が転職活動の中心になってきたのであれば、企業は実情を踏まえて採用成功に向けて活用を覚悟するべきでしょう。
参考:https://officenomikata.jp/news/17041/

採用の成功に直結する、エージェント選定のポイント

採用を成功に導くためには、エージェントとの付き合い方が重要になります。大事なことは

【最適なエージェントを絞って活用する】

ことだと思います。人材紹介会社では、すでに転職活動を行っている人材データベースを活用するもの。ところが、ここで活用されているデータベースは大抵の場合は同じもので、膨大に増えたエージェントは同じデータベースから候補者を企業に紹介しているのです。そのため、企業がたくさんのエージェントに依頼しても出てくる候補者は同じ。ないしはたくさんのスカウトが行われることで応募をためらう人が増える可能性が高まるだけです。なので、多すぎるエージェント活用は控えて、優先度の高いエージェントはどこか?を明らかにしていきましょう。

ここで大事なことは、採用の成功に向けて、欲しい人材に関して

・業種職種の理解度
・コミット度合い(優先度高く支援してくれる)

この2点が高いエージェントを優先的に残すのです。

逆に、低いエージェントは外してもいいと思います。業種職種の理解度とは転職活動をしている人材に対して、スカウト・面談をして企業を紹介するうえでの必要知識があるかということが見極めるポイントです。これが欠落していると、的外れな人材しか紹介してくれません。あるいはスカウト活動で候補者を確保できないので、紹介数が限られることになります。

これまでの採用活動の成功例など聞いてみると、理解度が把握できると思います。ただ、いくら理解度が高くても「御社のために頑張ります」という意欲と割ける時間がなければ、成果にはつながりません。確約は得られないと思いますが、月に紹介してくれる候補者数や、スカウト活動の計画などを質問するとコミット度合いがわかるはずです。このような取り組みを通じて、最適のエージェントを絞って活用することで採用の成功は近づいてくるはずです。

執筆者:株式会社セレブレイン 高城 幸司

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