こういうのが欲しい!を反映!~シニア向けのガスコンロ
実は今年、ガス器具メーカーのリンナイから、今までにない新しいガスコンロが発売されました。このガスコンロ、使う人たちの要望や不満を徹底的に聞き取って、それを反映して開発したと言います。
シニア世代向けに認知症の方々と一緒に作りました!
いったい、どのようなガスコンロなのか。リンナイ株式会社営業本部マーケティング部の中野一志さんに伺いました。
リンナイ株式会社営業本部マーケティング部 中野一志さん
「シニア世代向けに作ったガスコンロで、特に認知症の方々と一緒に作り上げてきたコンロになります。
五徳を大きくして安定感を出したり、火が出る周り、バーナーのところを黒の色を多くして、火が小さくなっても見えやすくする、という工夫をしています。また、音声でしゃべってお知らせする機能があるんですけど、話す速度を遅くして口語表現に変えた。で、当然、一番問題なのは、消し忘れをどうしてもしてしまう、というのをおっしゃっていましたので、そこは複数の方法で防止する、という策を取らせていただいてます。
反響はですね、発売前に一般のユーザーさんから、いつ発売なの?いくらなの?という声をいただくケースが結構ありまして、期待されてるのかなという感じはありました。」
(リンナイの新しいガスコンロ「SAFULL+(セイフルプラス)」 スッキリとしたデザインです )
(五徳は大きく安定感を出し、バーナー周りの色を黒一色にすることで、熱くなる部分も認識しやすく、間違って触るリスクを回避。)
世代、認知症の当事者の方々にモニターとなってもらい、一年かけてどういうガスコンロならばいいのか、探り続けました。今までのコンロも、もちろん安全・安心に配慮した製品でしたが、シニア世代から直接声を聞けたことで、そういうことだったのか!だから、使いにくいという声があったのか!と、よく分かった、と中野さんはおっしゃっていました。
『火が見えにくい。』という声を受けて→火が出る部分をシルバーから黒に。
(炎が出る部分をシルバーから黒に。両方とも同じ大きさの炎が出ています。見えますか?私は見えない・・・)
『点火ボタンが分かりにくい。点火ボタンと操作パネルが同系色でわかりにくい。』→右のコンロのボタンはオレンジ、左は緑と色分け。
(左コンロに関する操作ボタンは緑色。右コンロに関するボタンはオレンジに、と色分けで分かりやすく。 写真提供はすべてリンナイ株式会社)
『音声が聞きにくい、分かりにくい。』→「右コンロ、鍋を置いてください」を「右コンロ、鍋を置かないと火がつきません」という風に、具体的に。また、「点火・消火」を「火が付く・火が消える」という普段の言葉使いに。
また、最も要望の多かった火の消し忘れ対策は、15分ごとに「今●分間 使用しています」とか、「●分後に火を消します」といった音声でのお知らせをする、調理中に鍋を持ち上げると弱火になって1分後には自動消火。(弱火になることで、袖への着火を防ぐ) また、自分でカスタマイズして30~120分使い続けたら自動で消火する機能もあります。
ガスコンロ?IH?街の皆さんはどう考えてる?
そうして出来上がった新しいコンロ「SAFULL+(セイフルプラス)」。発売前にリリースを出したら、一般のユーザーからの反響が大きく、こういうコンロを待っていた、という声もあったとか。
じゃあ、よく売れてるんですね?と聞くと、そうなるのが理想なんですけど、現実はなかなか甘いものでもないなと思ってまして、と中野さん・・・。でも、確かにそうおっしゃるのも分かるんです。街で聞いた、シニア世代の声をお聞きください。
・「IHに替えました。怖いので。結構おたまとか焦がしちゃったりしてるので、実はよそから東京に引っ越ししてきて、入った家がガスだったのですぐに替えました。それだけはね、安全のためだからお金かかってもしょうがない。」
・「電気。まあ、ガスで育ったけどね、私たちは。だからガスがいいなと思うこともあるけど、そりゃ若い時はいいかもしれないけど、年取るとね、安心が一番。」
・「ガスコンロです、もうずっと。50年以上。え?危ないってこと?一回失敗したのね。止めたつもりがちゃんと止めてなかったの。それからやっぱりすごい気にしますね。いいかどうか分からないけども、使い慣れてるからね。」
・「ガス、ずっと使ってますね。ヤカンかけて沸かしたまんまっていうのが、たまにある。ヒヤッとです。まあ、将来的にはIHの方が安全なのかなと思いますけどね。」
シニア世代は、安全・安心のためにはIH、というのが、ずいぶん浸透しているんです。60~70代くらいの方にお声かけましたが、ほぼ全員が、ガスコンロでヒヤッとしたことがありました。その経験からすでにIHに替えている方、そして、もう少ししたら、将来的には・・と考えている方、多かったです。
もちろん、使い慣れたガスのコンロで料理を続けたいという方もいましたが、正直こちらは少数派。年を取ってきたらガスは心配、という声が多く聞かれました。
使い慣れたガスコンロなら、今までのように料理が楽しめる!?
そこで、この街の声を、リンナイの中野さんにもぶつけてみました。
リンナイ株式会社営業本部マーケティング部 中野一志さん
「あの、おっしゃる通りで、我々もやはりある程度、高齢になられた方が、何かしらヒヤリハッと体験をしたときにIHに交換する、ご家族の方から交換されたみたいなケースをお聞きしてました。
これって我々ガス業界にとっては、ちょっと課題の一つではあったんですけど、今回色々取組みをしてる中で、IHに交換したことで逆に使い方が分からなくなって、やはりやりにくい、やっぱり今まで火を見てやってたものが火が見えなくなるだけでもだいぶ違うようでして、で、一回失敗してしまうとそのまんまやらなくなってしまう、みたいなケースがあるってことは聞いてたので、今回ガスコンロで、安心安全で使い続けていただけるものを作ると、使い方が変わらないもので料理を続けられるというところでですね、今、社会課題で健康寿命延伸というのがあるかと思うんですが、その辺我々が役に立てればなと、一個の選択肢として、まず土俵に上がれればいいな、と思ってます。
認知症のケアで、料理というのは注目されていますが、昔ながらの自分が知っている、使い慣れた道具を使うことで、昔通りに料理ができることが増える、という報告も。
発売から半年。中野さんによれば、やっと少しずつ知られてきたかなくらいだそうですが、IHがいい人も、ガスのままがいい人も、安心して好きな方を選べるようになるのは嬉しい話ですよね。
改めて、これからプロモーション活動に力を入れて販売目標に届くように頑張ります!と、意気込み充分でした!
まさに、使う人の声が届いた使いやすい商品。高齢化が進む中、安全に調理して、美味しく食べて、健康に!という大事な社会問題の助けの一つになることを期待しています!
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:近堂かおり)