【姫路市】人間国宝・桂米朝師の原点に迫る─生誕100年記念で特別展
姫路市出身の人間国宝・桂米朝師が今年、没後10年と同時に生誕100年の節目を迎えたことから、故郷で8月14日〜24日、特別展「噺家の原点─100年のその先へ─」が開催される。姫路での展覧会は8年ぶりのこと。会場はイーグレひめじ地下1階の市民プラザ(同市本町)。
1925年(大正14)生まれの米朝師(本名=中川清)は同市大善町の九所御霊天神社の神主の家に育ち、父の影響で幼少時代から落語や浪曲・講談など話芸に親しんだ。1943年(昭和18)に進学のため上京すると、作家で寄席文化研究家の正岡容に師事。終戦後、焼け野原の姫路で5代目笑福亭松鶴らを招いた落語会を企画している時、好きが高じて自ら演者となることを決意し、1947(昭和22)、4代目桂米團治に入門した。
以後は2人の師匠に導かれ、存亡の危機に瀕していた上方落語の復興に尽力、独演会形式による落語会の全国展開や活字・音源による全集化を通じて上方落語を現代に通じる演芸に蘇らせた。また、落語にとどまらず、古典芸能から演芸全般にわたる幅広い分野との横断的な研究と交流が評価され、1996年には上方落語界で初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、2009年、演芸人として史上初の文化勲章を受章した。
特別展では、米朝師の噺家としてのあゆみを回顧。落語を演じる喜びに気付いた瞬間がうかがえる「病牀日記」、療養中に綴った自筆原稿「はなし家の横顔」、2人の師匠との書簡などを展示する。入場無料(18日は休館)。
また、初日14時からは米朝師長男の桂米團治氏、三男で兵庫県立考古博物館学芸員の中川渉氏、米朝研究家の小澤紘司氏が米朝師との思い出を語るトークショーも実施する。問い合わせは同市文化国際課(電話079-221-2098)。