「熟年離婚」のその後…親子関係が壊れないためには?経験者たちに聞いた #1「今もストレスだけど…子どもの本音」
40代後半や50代に入ってから選択する「熟年離婚」は、子どもがいてもすでに社会人として自立している場合が多く、「迷惑をかけない」と思えることが、決断の後押しをすることもあります。
それでも、子にとって親の離婚は無関係ではなく、離婚自体に反対だったり、独身となった親たちとどう関わっていいかわからず悩んだりするケースも、少なくないと感じます。
熟年離婚の後、子どもの葛藤とどう向き合ったのか、親子関係が上手くいっている人たちのリアルをご紹介します。
「妻と別れたのはいわゆる『性格の不一致』だと自分は思っていて、向こうから離婚を切り出されたときは、やっぱりこうなったかと思いました。
一人息子が就職して家を出てから、家の中で口をきくことが少なくなり、食事も用意はしてくれるけど一緒に食べることもなくなった妻とは、仲が冷え切っていました。
共働きで、息子が小さい頃から家事や育児の負担で衝突が絶えず、歩み寄ることをふたりともしなかったと自分は思っています。
年収はそう変わらないので妻もひとりで生きていけるし、『別れたい』と言われたときはわかったと答えて財産分与もして、特に揉めることもなく離婚しました。
離婚が決まってすぐ妻は息子に話したようで、報告しなければと電話したら『そうなる気はしていた』と、親の不仲にはずっと気付いていたことを打ち明けられました。
妻は家を出たので帰省しても自分しかいないことを話したら、『別にいいよ』とあっさり返して、『でもお母さんのところにも行くけど』と、顔を出す約束をしたことを教えてくれました。
そのときに『ああ、この子に負担がかかるのだな』と気が付いて、胸が苦しかったですね……。
一緒に暮らしているときは、妻と楽しい会話ができないし親子の時間も充実していたとは言えなかったので、離婚後も大変な思いをさせることに『ごめん』と謝りました。
すると、『家に帰っても不機嫌なふたりといるほうが嫌だから』ときっぱり返され、『ストレスはあるけど、それでも今のほうが気楽かも』と、淡々と言われました。
息子にとっては、親と別々に会える今のほうがまだ気楽なのだとわかって、やっぱり申し訳ないと思いました。
息子は自分と同じ仕事に就いているので、今もいろいろな話をするし離れることはないと思います。
元妻とどんな話をしているのかは口にしないのでわかりませんが、『今のほうが気楽』と言った息子の気持ちを考えて、詮索はしていません。
離婚してから子どもが離れていった知人の話を聞いているので、親子の関係を続けてくれる息子には感謝するばかりです。
今から息子のために自分ができることは何なのか、しっかりと考えていこうと思います」(男性/50代/公務員)
子どもにとってみれば、両親の仲が冷めきっているなかで過ごすのは、居心地がいいとは決していえなかったはずです。
親が離婚して別々で会うほうが気楽、と話す人は熟年離婚に限らずいて、親の不仲がどれほどストレスになるか、考える必要があります。
離婚をきっかけに親子の縁も遠ざかるケースは確かにあるので、コミュニケーションが取れるのは当たり前とは言えません。
一対一の親子の絆をこれからどう築いていくか、新しい努力を考えるのが、親の役目ではないでしょうか。
(ハピママ*/弘田 香)