【食中毒予防】梅雨時、夏前に見直したい「冷蔵庫:5つの黄金ルール」
湿度の高い梅雨時や気温の上がる夏に、一気に増加する食中毒のリスク。その鍵となるのが冷蔵庫管理です。ただ多くのご家庭で何となく使われてしまっているのが冷蔵庫。今回は、「冷蔵庫の基本:黄金ルール」を見直して、食中毒シーズンを乗り切る基礎知識を学んでいきます。
冷蔵庫の黄金ルール① ギュウギュウに詰め込みすぎると庫内温度は2℃上がる!
「何でもかんでもとりあえず冷蔵庫に入れておけば安心」は間違い
冷蔵庫管理の致命的ミスでもっとも起こりやすいのが「詰め込みすぎ」です。買物から帰ってきたら「疑わしきものはとりあえず冷蔵庫」作戦などにより、冷蔵庫の中身がギュウギュウになると、冷気の噴出口が塞がれてしまったり、冷気が循環せず、内部全体に行き渡らない原因になります。
東京都食品衛生協会の調査によれば、冷蔵庫内の収納率が70%を超えると、庫内温度が約2℃上昇するというデータがあるくらい。たかが2℃でも、細菌増殖スピードは一気に最大4倍に加速してしまうから危険です。
冷蔵庫の黄金ルール② ドアポケットに玉子など、要冷蔵品を入れない
手前の入れやすい位置にあるドアポケット。とても便利ですが、厳格な要冷蔵品を入れるのに適した場所ではありません。ドアポケットは、トビラの開閉の影響で、庫内の中でも温度が不安定になりやすいゾーン。牛乳や生玉子などの腐りやすい生鮮食品をここに保管するには適していないのです。
冷蔵庫の黄金ルール③ 「先入れ先出し」を徹底する
お店などのプロの調理環境で徹底されているのが、食材の「先入れ先出し」です。ところが家庭では、つい手前にある手に取りやすいものから消費してしまいがち。たとえ自分自身がそうしたルールを徹底していても、家族などの同居人がいると、さらにリスクは高まります。
そんなリスクを吹き飛ばすためには、買物から帰って冷蔵庫にしまうとき、少々面倒ですが、新しく買った食材を手前に置くのではなく、奥に入れることです。そうすれば自然と、古い食材から使い切る習慣が身につけられます。
冷蔵庫の黄金ルール④ 冷蔵庫内の温度チェック
冷蔵庫の適正温度は3〜5℃。そこで普段から、冷蔵庫掃除のタイミングなどに、市販の冷蔵庫用温度計で確認するのがおすすめです。特に夏場に向けて外気温の影響で、庫内温度は設定温度より高くなりがちです。ちなみに冷凍庫の理想温度はマイナス18℃以下です。
冷蔵庫の黄金ルール⑤ 冷蔵庫内の温度マップを把握する
冷蔵庫内:冷えにくい場所ランキング
第1位●野菜室最も温かい場所(約7〜10℃)/葉物野菜、根菜類、果物など、低温障害を起こしやすい食材。東京都健康安全研究センターによると、適切な湿度管理により野菜の鮮度は最大で2倍延びるというデータもあり。
第2位●ドアポケット開閉回数で変化する、やや温かい場所(約5〜7℃)/調味料、ジャム、ドレッシング、飲料など、ある程度の温度変化に耐えられる食品向き。
第3位●冷蔵室(上段~中段)中間温度帯(約3〜4℃)/玉子、乳製品、惣菜、調理済み食品の保存に最適です。特に開封済みの牛乳やヨーグルトは雑菌が繁殖しやすいため、蓋をしっかり閉めて保存。残り物類は必ず清潔な容器に移し替えて、調理日時を書いたマスキングテープを貼っておくことで安全対策をします。
第4位●チルドルーム最も冷える場所(約2℃)/冷たい空気は下にたまるので、冷蔵室でも下側が冷えやすい位置になります。近年はチルドルーム(チルド室)などの名称で区画され、生肉、生魚、ひき肉などの傷みやすい食材を保存します。また食中毒の原因となる「カンピロバクター」や「腸炎ビブリオ」は、低温でも増殖するので、生肉や魚の汁が他の食品に付着しないよう、各々専用の密閉容器に入れるかラップをします。厚生労働省の調査によれば、食中毒の約70%は、こうした肉や魚の取り扱いに起因しています。
冷蔵庫の黄金ルール⑤ 週に一度は冷蔵庫を空にしてお掃除を
週に1度、冷蔵庫内を空にするか、各パーツを外すなどをして、食品のかけら、漏れ出た汁、汚れなどを拭き取るようにすれば、さらに安全性は高まります。消毒用エタノール(アルコール分70%)や重曹水(水500mlに大さじ1杯の重曹)、市販の抗菌スプレーなどを使用するのがおすすめです。掃除するときは、食中毒菌の温床になりがちなドアパッキンの黒カビも忘れずに。
まとめ:ちょっとした気遣いで食中毒対策!
こうした対策は確かに面倒ですが、食中毒になってしまえばもっと面倒なことになるはず。これらの対策を梅雨入り前から徹底することで、梅雨時~夏本番の食中毒リスクを大幅に軽減できます。もちろん自分自身だけで無く、家族の健康も守ることができます。