スヌーピーミュージアムの館内がハロウィーン仕様に 季節を感じる新企画展『ホリデー』開催中
東京・南町田グランベリーパーク内にあるスヌーピーミュージアムが、2024年9月7日(土)から「季節を楽しむミュージアム」に変貌を遂げた。季節ごとのイベントに合わせてミュージアムにも変化が訪れるそうで、その記念すべき第一弾として、エントランスや館内など随所がハロウィーン仕様に。また、同日より新企画展『ホリデー』もスタートした。
いたるところでハロウィーン
現地に到着すると、エントランス・スヌーピーの横にちょこんと佇む(これから入館しようとしている?)2名を発見。一緒に入りましょうか……?
エントランスを抜けた先にある「ウェルカム・スヌーピー」にもご注目。チケットカウンターの上にもオバケがスタンバイしている。このオバケたちはここだけでなく、階段など館内のあちこちに点在している。風を感じてフワフワ〜となびく姿がまたかわいらしい。
ハロウィーン期間中(10月31日まで)は、入館時に限定ステッカーを配布(全14種類、ランダム)。ハロウィーンのお面を付けたスヌーピー、オバケ、カボチャ大王などが描かれたこの時期にしかもらえないステッカーは、キラキラと輝く金銀の用紙でなんだかとても特別感が満載だ。
アメリカならではの文化を紹介する企画展『ホリデー』
今回スタートした新たな企画展『ホリデー』では、ハロウィーンをはじめクリスマス、バレンタインなど、アメリカでのホリデー文化が描かれた約45点の作品を展示している。
内覧会当日、トークイベントに参加したシュルツ美術館のナターシャ・コクラン氏は「(南町田へと移転する以前の)六本木から数えて、今回で15回目の企画展となったことが信じられません」と笑顔でコメント。続けて、今回の企画展について以下のように解説した。
「チャールズ・シュルツさんは、コミック『ピーナッツ(PEANUTS)』のなかでホリデーのことをたくさん話題にしていました。ホリデーの楽しいことや喜びばかりではなく、たまにある悲しみや寂しいことも描かれていますし、喜びや甘酸っぱさといったエッセンスを含んでいるものもあります。『ピーナッツ』にしか出てこないカボチャ大王やイースター・ビーグルといったキャラクターも出てきますので、ぜひ企画展を楽しんでください」(ナターシャ氏)
今回「季節を楽しむミュージアム」への変貌と、新企画展『ホリデー』がスタートしたことの趣旨について、クリエイティブ・ディレクターの草刈大介氏が熱い想いを語る。
「スヌーピーミュージアムが南町田に移転してきてもうすぐ5周年。企画展は半年に1回ずつ展示替えをして、1年に2回開催しています。スヌーピーミュージアムは今年の2月に大規模なリニューアルをしました。日本におけるスヌーピーミュージアムのありかたとして、年2回企画展をするだけではなく、もう少し新しい楽しみを加えたいなと思い、そこで考えられたのが“季節を楽しむ”ということなんです」(草刈氏)
「春夏秋冬それぞれの季節に風物詩的なイベントがあります。ちょうど次の企画展の時期にハロウィーンやクリスマスが含まれていることもあり、今回はそれらの季節をより楽しめるものにしようと『ホリデー』というタイトルにしました。特に今回は「ハロウィーン」ということで、普段はない装飾がエントランスからあります。オバケがいたのがわかりましたか? 展示室だけではなく階段などあちこちにオバケが潜んでいます。これはハロウィーンだけの装飾で、次はクリスマス、その後にニューイヤー、そしてバレンタイン。この『ホリデー』期間中を大きく4つに細分化して、いつ来ても楽しいミュージアムにしようと考えています」(草刈氏)
企画展の室内は7つのセクションに分かれ、日本でも親しみのある「ハロウィーン」「クリスマス」「ニューイヤー」「バレンタイン」のほか、「サンクスギビング」「イースター」といったアメリカのメジャーなイベントを紹介。そして最後のひとつは「父の日、母の日」だ。
「父の日と母の日は厳密にはホリデーではありませんが、ある種の記念日として展示の締めくくりに紹介しました」(草刈氏)
「それぞれの原画とともセクションの解説パネルを展示しています。テキストには、クリスマスとは元々なんだったのか、サンクスギビングとは? といった、知ってるようで知らないような解説も記載しています」(草刈氏)
「今回展示している原画は特に日曜版が多くあります。原画には色がついていないのですが、日曜版はカラー印刷されて新聞に掲載されていたので、その様子がわかるように色をつけたパネルも並べています」(草刈氏)
「それ以外にも今回珍しい展示として、ドローイングというかスケッチというか。出来上がりの原画ではなく、シュルツさんが鉛筆で描いた、普段なかなか見られないような作品を見ることもできます」(草刈氏)
ハロウィーンやクリスマスなどは日本でも一般的に認知度が高いホリデーだが、サンクスギビングやイースターはドラマなどで耳にする程度で、日本で実際に体験する機会は少ない。これらのホリデーがアメリカでどれほど重要なものなのか、そわそわ・わくわくしているピーナッツ・ギャングの姿を見て、少し気持ちが伝わってきた気がした。
そして、今回の目玉のひとつといっても過言ではない、新年のセクションに貴重な1点が展示されている。
「今回の企画展を準備しているときに、シュルツ美術館で発見されたものがあります。1953年の日本の英字新聞『The Mainichi』に『ピーナッツ』が描かれていたのです。原画自体は残っていないのですが、新聞に印刷されているプリントが保管されていて、それをたまたま学芸員が見つけて今回の展示に繋がったんです。どうしてシュルツさんが日本向けに描いたのかなどといった記録は残っておらず、あるのはプリントされたコミックだけなんですけど、チャーリー・ブラウンが凧揚げをしているのです」(草刈氏)
「『ピーナッツ』の連載が始まったのが1950年10月。チャーリー・ブラウンが凧揚げが上手くないのは有名な話ですが、1953年はまだそのような展開になる前で……。そして、このストーリーはアメリカで印刷されている『ピーナッツ』には出てこないので、日本のためだけに作られたものだと推測されます。ここには鳥居が出てきたり、キャラクターが下駄らしきものを履いていたりと、日本のディテールが描かれています。資料が残っていないので想像するしかないのですが、きっと誰かがアドバイスをしたのか、写真を見せたのか。日本では元旦は大きなイベントですが、アメリカではクリスマスやバレンタインほどフォーカスされないので、『ピーナッツ』が新年を描き始めたのはこの『The Mainichi』がきっかけになったかもしれません」(草刈氏)
さまざまなエピソードに溢れた企画展『ホリデー』は、2025年3月2日(日)までの開催。この機会にぜひ足を運んでいただきたい。
「季節を楽しむ」ポイントが盛りだくさん
見どころはこれだけではない。これまで期間限定で開催していた自分で作って楽しめる「スヌーピー缶バッジ」が9月以降の継続も決定し、ハロウィーンデザインが10月末まで登場。今後も季節イベントと連動した期間限定の絵柄が用意されるとのこと。
また、隣接する「PEANUTS Cafe」にも新メニューが登場。新企画展に連動したピクニックボックスや、カボチャや紫芋を使用したハロウィーンにぴったりなパフェ、ぶどうやブルーベリーなど季節のフルーツを使用したドリンクを期間限定で提供中。スヌーピーミュージアムをじゅうぶんに楽しんだあとは、カフェでホッと一息するのも気持ちが良い。
そして、9月からは「年間パスポート」の販売もスタート。3種類のうちから好きなデザインを選択可能で、約2回分の入館料で購入日から1年間、何回でも利用できる。ミュージアムへの入館はもちろんのこと、隣接する「PEANUTS Cafe」での飲食代の割引や、本家であるアメリカのシュルツ美術館にもこのパスで入館できるという。年間パスポートはミュージアム窓口にて販売。
季節の移り変わりで何度でも訪れたくなるスヌーピーミュージアム、ハロウィーン仕様は10月31日(木)まで。入場券はイープラスにて販売中。
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取材・文・撮影=SPICE編集部