「カニ王国」の住人が飛びつくおいしさ!オオズワイガニは“やっかいもの”から特産品に
お正月シーズンに、食卓に上がる人も多いのではないでしょうか?
「カニ」の美味しい季節が到来!
2023年に大量発生したオオズワイガニは今、どうなっているのか?
皆さんが抱えている「なぜ?」「どうして?」を調査する、HBC「もんすけ調査隊」が調べてみると、安いのに美味しい、驚きの変化がありました。
札幌市北区の「でる」さんからの依頼はこちら!
「そろそろカニの季節ですが、大量発生したカニは、今どうなってる?」
2023年の春頃から、日高沖や噴火湾などで、オオズワイガニが大量発生。
網が切られるなど、大きな漁業被害がでたことから、海の”厄介者”と呼ばれ1杯100円で投げ売りされたカニです。
そのカニは今、どうなっているのか?
さっそく札幌市内のスーパーに行ってみると…1匹580円!小さいものは358円です。
2023年よりも少し立派に見えます。
吉本水産の東城哲也店長は「オオズワイガニは今も継続して入ってきている。あのときは小さかったが、今は大きくて、実入りのいいものを売っている」と話します。
となれば気になるのは味ですが。
「食べてみるとオオズワイガニでも本ズワイガニでも遜色なく、言われないと気付かないと思う」
オオズワイガニ580円、同じサイズだと本ズワイガニだと1200円~1300円。
なんと、味は遜色ないのに、オオズワイガニであれば半額以下で買えちゃうんです。
オオズワイガニなくして生活できない!?
今もオオズワイガニは、大量発生しているのでしょうか?
北海道えりも町の漁協の加工場に行ってみると、水槽の中におびただしい数のオオズワイガニが!
ということは、今も漁師は困っているということ??
えりも漁協の金子武彦参事に聞いてみると。
「いまオオズワイガニなくして、生活はできません!」ときっぱり。
「小さいサイズだったのがどんどん大きくなってきて、直売店では最低でも1000円、大きいもの1300~1400円。年末にかけてはさらに値段が上がるんじゃないかな」
200gほどだったオオズワイガニが、今年は500gほどまで成長。
大きいものだと700gもあるんです。
そしてこれまで獲っていた小さいカニは、4月から資源保護のため海に戻しているのだといいます。
えりも漁協では2023年以上の売れ行きを大歓迎しています。
その背景にあるのが、2021年秋に赤潮が発生して、特産の「真つぶ」が取れなくなったこと。
その後オオズワイガニが大量に取れたので、今やオオズワイガニは「救世主」というワケ。
大きく成長したオオズワイガニは、ボイルして身をほぐしたものをインターネットで販売したり、「ふるさと納税」の返礼品に選ばれたりするなど、今や、えりも町の特産品となっているんです。
さらに、あの「カニ王国」にも歓迎されているんです。
「カニ王国」鳥取で大歓迎
えりも漁協の金子武彦参事のもとに来たのは鳥取の飲食店のオーナー。
「えりものオオズワイガニを買って行って、鳥取の人たちに食べてもらうことを、いま現在も継続している」のだといいます。
鳥取と言えば、カニを全国平均の5倍も食べる、日本一の”カニ王国”だ。
そんな鳥取県へオーナー自らトラックで生きたまま運び、グループの飲食店で提供しているというのだ。
その味はやはり「本ズワイガニに負けない」のだとか。
鳥取県では、オオズワイガニはどのように食べられているのか?
鳥取県民は喜んでくれているのか?
調査員は鳥取県に飛びました。
やってきたのは、海鮮市場「かろいち」の隣にある高級料亭の「海陽亭」。
運営するのは、あの「すなば珈琲」を始め、県内に17店舗を展開する会社です。
店内にはお座敷や生け簀があり、高級感漂う雰囲気…。一体どんな料理が出てくるのでしょうか。
北海道えりも漁協から自社輸送と書かれているカニ。1杯5000円です!
その5000円のオオズワイガニ料理がコチラ。
透き通るように美しい身には、見事な花が咲いており、食感は繊細。
口に入れた瞬間に甘みと旨味が広がります。
みんなが飛びつく味!
本ズワイガニは1杯8000円や1万5000円。
なかなか手が出ない…とはいってもカニの刺身は食べたい!
でも冷凍では満足できない!
そんなとき、生きているオオズワイガニの甘さ・おいしさ、そして値段のお手ごろさが歓迎されているんです。
料亭を運営するの村上亜由美さんは「皆さん飛びつかれます」と話します。
「ゆでがに」は、カニ本来の甘みと、ほのかな塩味が絶妙に調和し、殻から溢れんばかりの身は食べ応え満点。
ほかにも、宝石箱の様に美しく盛り付けられた海鮮丼など、オオズワイガニは海を越え、想像の斜め上をいく料理となっていました。
「『オオズワイガニって“やっかい者”と言われてたカニじゃない?』と言われるけど、『こんなに甘くておいしいなら、早く食べておけばよかった』と多くのお客さんが言いますよ」
全国で販売拡大中!
もちろん鳥取県内では、高級料亭だけでなく、スーパーや鮮魚店などでもオオズワイガニが販売されています。
「せっかく海から取れたものなので、たたき売りではいけないかなと。付加価値を付けて販売することが一番大切だと考えている」
大量発生し、「厄介者」と呼ばれたオオズワイガニは今、東京都や大阪府、沖縄県まで販路を拡大し、安いのに美味しいと全国的な人気者になっていました。
気になること、問題点は…
でも実は気になることも。
過去にさかのぼると、実は1980年代半ばにもオオズワイガニが取れていた時期がありました。
そのときは、数年で急に取れなくなっているんです。
海の中の生態はよくわからないものもあって、オオズワイガニの正体がはっきり分かっているわけでもないのだそう。
さらに、急激に全国進出したということで、さまざまな問題も起きているんです。
価格を比較しても本ズワイガニだと1万6000円するところ、オオズワイガニだと5000円。
オオズワイガニを本ズワイガニと偽って売る業者がいたり、名前が似ているので本ズワイガニと間違えて買ったりするなどして、本ズワイガニの売り上げが落ちている現状があるんです。
ふたつのカニの違いは、口がM字になっているのがオオズワイガニで、平らなのが本ズワイガニ。
見分け方を覚えることも、こうした問題の対策のひとつになりそうです。
文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年12月13日)の情報に基づきます。