今度は公務キャンセル 市民との信頼回復は不可能か 学歴詐称疑惑の市長に電話600件超
■除籍を卒業と“勘違い” 渦中の伊東市長が公務キャンセル
騒動は収束の気配を見せていない。静岡県伊東市の田久保真紀市長に浮上した学歴詐称疑惑を受け、市政は混乱の渦中にある。市民からは誠実さに欠ける対応が指摘され、「信頼回復は不可能」、「市長を選び直した方が良い」といった声も出ている。
政治不信や無関心だけではない 選挙に行かない意外な理由とは?
釈明のための会見も、火に油を注ぐ結果となった。学歴詐称疑惑に揺れる田久保市長は7月4日、全ての公務をキャンセルした。伊東市の秘書広報課には「諸事情を鑑みて」と連絡が入ったという。
この日、田久保市長の学歴詐称疑惑をめぐり、市議会は議会運営委員会で百条委員会の設置に関する議案と辞職勧告決議案の上程を決めた。市議会最終日の7日に提出し、採決する見通しとなっている。
田久保市長は3日に議長らと面会して百条委員会を設置しないように依頼したが、希望はかなわなかった。百条委員会では市の広報誌などに明記していた「大学卒業」を「除籍」と“勘違い”した経緯や、2日に開いた記者会見に先立って田久保市長が議長らに数秒だけ見せたとされる卒業証書に関して説明が求められるとみられる。
学歴詐称疑惑の発端は匿名の投書だった。市議全員に「東洋大卒ってなんだ!彼女は中退どころか、除籍であったと記憶している!こんな嘘つきが市長に選ばれるなんて信じられない」という内容の投書が届いた。
■市役所に2日で600件超の電話 大半が市長への苦情
市議の1人から市議会で投書の内容は事実か問われた田久保市長は明言を避け、1週間後の7月2日に記者会見を開いた。会見では東洋大学を卒業していたと認識していたが、実際は除籍だったと説明。経歴詐称を否定して「勘違いしていたと言われると全く否定できない」と話した。混乱を招いたことは謝罪したが、“勘違い”した理由や、議長に示した卒業証書についての説明はあいまいだった。
学歴詐称疑惑や田久保市長の一連の対応は市民の不信感を増長している。市役所には会見後から電話が殺到し、その数は2日間で600件を超えているという。大半は「市長の説明は不十分」、「卒業と除籍を間違えるはずがない」といった苦情が占めている。
百条委員会を設置しないように議長らに依頼したり、公務をキャンセルしたりする田久保市長に対して、市民の不信感が大きくなっている。怒りや呆れる声が相次いでいる。
「学歴で市長を選んでいるわけではない。大学卒業は嘘でしたと最初から真摯に謝罪していれば、許そうと考える市民は多かったはず。嘘を上塗りする発言や、責任から逃げる行動を繰り返していることで、もはや市民との信頼回復は不可能な状態になっている」
「何で、すぐにバレてしまう嘘をつくのか。ごまかそうとする姿勢や創造力の欠如は市長にふさわしいと思えない。辞職して市長選をやり直してほしい。この状況で田久保市長が再び出馬して当選すれば、市民も議会も文句を言わない」
「市役所の職員は苦情電話や市長の公務キャンセルの対応に追われ、通常業務に支障が出る。このまま市政を停滞させないためにも、田久保市長は百条委員会で誠実に対応する必要がある」
2日の記者会見では涙ながらに「今の状況を全て投げ出して逃げ出すようなことはしたくない」と辞職を否定した田久保市長。市政の信頼回復のためにも、説明責任から逃れることは許されない。
(SHIZUOKA Life編集部)