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タイパやコスパが重視されるご時世。ですが誰かの夢に「いいね」を押すより、自分のあんな夢こんな夢を描いてみませんか。

アットエス


訪れるたび眼前にそびえる富士山から元気をもらう富士宮市のキャンプ場「ふもとっぱら」。そこで昨年、初めて見たデロリアンは衝撃でした。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でタイムマシンに改造されたあの車。車内を拝見したら荷物のスペースは限られ、どう考えてもキャンプには相応しくない。でも、傍らでコーヒーをたてていた同世代の男性は趣味のソロキャンプで全国を巡っているとのこと。ガルウイング式ドアとステンレス製ボディはピカピカで、製造された1980年代からタイムスリップしてきたかのよう。放つオーラは霊峰富士に負けていませんでした。

バック・トゥ・ザ・フューチャーは直訳すると「未来へ戻る」です。過去にあれやこれやと手を加えて未来(現在)に戻ると劇的に変化している世界。それをユーモラスに、スリリングに描いています。映画は3部作で、監督は第3部のラストで主人公のマーティとドクの会話に作品に込めた思いを語らせています。

It means that your future hasn't been written yet. No one's has. Your future is whatever you make it. (=君たちの未来は何も決まっていない。誰の未来もそうなのさ。君たちの未来は君たちが作るんだ)

仏教では因果応報の教えがあります。善行は後に果報をもたらし、悪行の結果として不幸があるとの考え方です。古今東西、己の行動が後の生き方に影響を及ぼすと自覚し、善悪を慎重に判断することの大切さを説いている点は同じなのかもしれません。

巳年が明けました。蛇は古来、豊穣の神、天候の神として信仰の対象とされてきました。脱皮をすることから復活と再生、不老長寿や生命力につながる縁起のいい生き物と考えられています。私たちは過去に戻って未来を変えることはできませんが、善行を心がけ長寿を目指す1年にしていきましょう。

「あんな夢、こんな夢」

日本が世界に誇るタイムマシンのコンテンツは「ドラえもん」です。22世紀のネコ型ロボットは誕生して50年超、国境や言語を超えて多くのファンに愛されてきました。愛嬌のある“だみ声”で「ドラえもん」の声優を務めた大山のぶ代さんが昨年、亡くなりました。90歳でした。アラ還世代は、テレビから流れる「ぼくドラえもん」の声が身近にあり、♬あんな夢こんな夢、不思議なポッケでかなえてくれる♬ との主題歌を口ずさめるのではないでしょうか。

現代の子供は「夢」が描きにくくなっていないか心配です。子供たちが使いこなすスマホは興味関心や疑問に即応し、かつ家族や他人とのコミュニケーションを支えています。いわば現代の「どこでもドア」であり、「不思議なポッケ」と言えましょう。加えてスマホにはSNSのシステムを介し、思惑に満ちた感情や情報が洪水のように押し寄せてきます。

情報伝達が国家の在り方に影響

歴史的に、世の中の情報伝達手段の発展が利害関係者の集団形成に影響し、国家の在り方をも左右してきました。古くはグーテンベルグの「印刷革命」です。一部の人が独占していた情報は印刷によって公表することが可能になり、人々が知る権利を意識するようになりました。時は過ぎ、現代の情報革命はSNSを介して同じ価値観の仲間を結び付け、自分たちが求める政治のリーダーを誕生させる重要な手段になっています。

ただ、SNSがつなぐ集団は離合集散が激しく、多くは課題解決を目指すというより社会への不平不満を共有するために存在します。「みんなも私と同じ気持ち。不満は正当だ」と同じ殻に閉じこもるフィルターバブルを形成しやすい点に注意が必要です。こうした集団は自治体や地域社会の中にまで独自の価値観を持ち込んでいます。しかも、集団を構成する人々は偏った政治思想の持ち主ではなく、往々にして普通の生活者なのです。

誰かに「いいね」よりも

利害関係が複雑化している社会での情報発信は、異なる考え方を併記したり、数次にわたって視点が異なる情報を提示したりする努力が欠かせません。足腰の強い民主主義を形作るために不可欠な手続きです。ところが、コスパ(費用対効果)やタイパ(時間対効果)が重視される情報社会で生き抜くためには、じっくり考えることより素早く「いいね」を押すか、既読無視するかを判断しなければなりません。ゆえに時間をかけ、子細に吟味した情報が「見た、聞いた、感じた」ことの即時的な発信に見劣りする事態が容易に生じています。

誰かの夢物語に「いいね」を押すことに忙殺される世の中が正常だと言えましょうか。今年は時間を惜しまずに情報を読み解き、自分なりの「あんな夢こんな夢」を描くことから始めてみませんか。中島 忠男(なかじま・ただお)=SBSプロモーション常務
1962年焼津市生まれ。86年静岡新聞入社。社会部で司法や教育委員会を取材。共同通信社に出向し文部科学省、総務省を担当。清水支局長を務め政治部へ。川勝平太知事を初当選時から取材し、政治部長、ニュースセンター長、論説委員長を経て定年を迎え、2023年6月から現職。

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