岸博幸「日本はエリート層がダメだから暮らしが良くならない」
今年の春の春闘で5%の賃上げをしたが、それを実感できている人は少ないのでは?8月27日の「大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)」では、元経産省の官僚で慶應義塾大学教授の岸博幸が国民の暮らしが良くならない理由を語った。
小島慶子「正規雇用で働いている人と非正規雇用で働いている人は階級制のようになってしまっていて、コロナ禍の時ですと非常に不安定な雇用で働いていた人たちが実質仕事がない状態になってしまって、同じ非正規の中でも男性より女性がより不利な条件で働いていて待遇も低いわけですけど、その方々が100万人規模で最初にほぼ失業状態に追いやられましたよね。やはり非正規の方が増えたことによって、弱い立場で不安定な雇用で働かなくてはならない方が増えたってことは事実なんじゃないですか?」
岸「それは事実なんですよ。何でそうなっちゃったかっていうと、本来政府は同一労働同一賃金という方針を決めたんですね。これが不十分で非正規の人、女性とか弱い立場の人に皺寄せがいく感じの運用をしちゃってる。この部分を早く直さなきゃまずいっていうのはあるんですよね」
小島「せっかく賃上げと言っているのであれば、同一労働は同一賃金なんだっていうことが制度的にきちんと保障されるように、正規だろうと非正規だろうと、それは身分差じゃないっていうふうに根本的に変えなくちゃならないんじゃないですか?」
岸「政府の方針も甘いんだけど、やっぱり経営者に問題があるわけですよ。例えば今年の春闘で5%台という凄い賃上げ率になりました。30数年ぶりの高い賃上げ率とメディアは騒いでいましたが、この30年ってデフレの時代なんですよ。デフレの時代に比べたら高くなるのは当たり前じゃないですか。2年くらい物価上昇が続いているわけで、その中で人手不足があるから本来もっともっと賃上げをしなくてはいけなかった。でも大企業の経営者って有名大学出て、有名企業入って一生懸命頑張って上に行った人でしょう。こういう人たちって前例の延長はできるんだけれども、思い切ったことができないんですよ。エリート層の人たちがダメだから、こういうことになっちゃってるんですよ」