猫が『激しく爪を噛んでいる』4つの理由 ハンターとしての大切な習慣だった!
1.爪を噛むのはグルーミングの一環
猫は、自分の体を自分でキレイにすることができる動物です。これを「グルーミング」と呼び、猫の大切な習慣のひとつとなっています。グルーミングは被毛だけではなく、爪も対象となる場合もあります。
意味もなく爪を噛んでいるように見えるかもしれませんが、実は指の間や爪の汚れなど何か気になることを除去しているのです。猫にとって、爪は一番の攻撃アイテム。常に清潔に保つことは、狩猟動物としての本能なのでしょう。
2.爪は常に生え変わる
猫の爪は、実は層のようになっています。古い角質を取り除くと、新しい爪が生える仕組みになっているのです。愛猫が爪をしきりにガジガジしているときは、もしかすると古い角質をむしっているのかもしれません。
武器として使う猫の爪は、常に生え変わりを繰り返しています。常に成長し続け、外側の層が剥がれるようになっています。言わずもがな、古い層よりも新しい層にした方が攻撃力は上がります。
基本的には爪とぎによって、爪を鋭くすることができますが、古い層が残っていたり気になる場合は噛んだりして除去しようとすることもあります。
たとえ飼い主さんが爪切りを定期的に行っていたとしても、爪の層までケアすることはほとんど不可能です。もちろん、放っていても古い層は自然と剥がれ落ちますが、なるべく攻撃力が高い状態をキープしたいのが猫の本音なのでしょう。猫が自分で爪の手入れをすることは、ハンターとして当然の習慣なのです。
3.爪は狩猟に役立つ
さて、絶え間ない努力で磨き上げた爪を、猫はどんなシチュエーションで使うのでしょうか。それはもちろん獲物を捕まえるときです。肉食動物である猫にとって、獲物を捕らえるということは命を繋げるということに直結します。
猫の爪は、獲物を捕らえるときに引っ掛けるだけでなく、抑え込むのにも役立ちます。そうすることで獲物を確実に捕らえ、致命傷を与えることが可能です。攻撃しないときには爪を隠して先端の消耗を防ぐほど、猫にとって大切なものといえます。
また、猫の爪は木登りのときにも役立つようです。木に爪を食い込ませることで、高い場所まで登ることもできます。攻撃から滑り止めまでさまざまな役割のある爪は、人間が思う以上に猫の要となっているのでしょう。
4.猫同士の喧嘩にも活用
猫の爪が本領発揮されるのは、獲物に対してだけではありません。ときには、同族である猫に対して使うときもあります。それはもちろん、猫同士の喧嘩のときです。
猫は縄張り意識の強い動物のため、自分のテリトリーに他の猫が入ることを好みません。基本的には冷戦で相手が去るのを待ちますが、ときには喧嘩に発展することもあります。そんなとき、磨き上げた爪で相手の猫に攻撃を仕掛けます。
これはもちろん、喧嘩を仕掛けた方だけに言える話ではありません。喧嘩を仕掛けられた側の猫も、自分の身を守るために爪を使います。そのようなとき、爪の手入れを怠って攻撃力がなかったら、自分の身を守れません。このように喧嘩をするつもりがない優しい猫でも、爪の噛んで整えることは命を守ることに繋がります。
まとめ
愛猫が爪を噛んでいるのを見たら、「攻撃する気なのかな…?」と感じてしまうかもしれません。しかし、狩猟の血が流れる猫にとって、爪の手入れは本能のひとつとなっています。飼い主さんを引っ掻こうとしているとは限りませんので、安心してくださいね。
なお、爪がボロボロになるまで噛んでいるのは異常といえます。こんなときはストレスが溜まっていたり、体調の変化がある可能性があるので、遊ぶ時間を増やしたり、リラックスできる場所を作ったり、受診を検討するなど工夫をしてみてください。
(獣医師監修:葛野莉奈)