いざという時あわてないために。親子でできる「終活」とは【体験から学んだこと】
Saita読者の皆さんの中には、親との別れを経験した人もしていない人もいると思いますが、今元気な親もいつかは別れがやってくるもの。この冬父との急な別れを経験した筆者が、さまざまな経験を経て、親子でできる終活について考えました。
急に訪れた父との別れ
この冬、私たちはクリスマス、お正月を家族と過ごすために実家に帰省しました。ところが帰省中、父がコロナに罹り、心の準備もできないままあっという間に亡くなってしまいました。家族全員が悲しみのどん底に突き落とされる中、待っていたのは莫大な手続きの数々でした。
手続きを進める中で気づいたのは、生前元気な時からもう少し話し合いや準備をできていたら随分負担が減っていただろうなということです。私たちも人生折り返しに差しかかる年齢。いつくるかわからないその日のために、今から前向きに親子で終活を始めようと思いました。
実際に生前からどんな準備ができるのか見てみましょう。
終活その1:整理整頓
物が多いと遺品整理は気が遠くなる作業。今のうちから持ち物を見直して手放すことで家がすっきり。将来の遺品整理もラクになって一石二鳥です。
終活その2:通帳、クレジットカードの整理、パスワードの保管
通帳(銀行)、クレジットカードが複数ある場合は見直して、使っていないものは今のうちに解約してしまいましょう。光熱費などの引き落としにクレジットカードを使う場合はなるべく同じカードでまとめて。
亡くなった後のクレジットカードの解約や銀行口座凍結からの相続、引き落とし口座の変更はとても面倒な作業ですが、銀行、クレジットカードの数が少なければ作業も少なくて済みます。いざという時に慌てないで済むようにパスワードもまとめて保管し、家族にも伝えておくと安心です。
終活その3:葬儀場の会員になる
多くの葬儀場が会員制度を設けています。生前に会員になっておけば、亡くなった時にスムーズに手続きをしてもらえたり、割引が受けられるなどの特典があります。入会金以外にかかるお金はないので、入っておいて損はないと思います。
終活その4:相続について話し合う
まだ親が元気なうちに相続について話し合うのは気が引ける気もしますが、話し合っておくことで生前贈与など相続税対策ができたり、亡くなった後揉めることなくスムーズに手続きが行えます。遺言書を作成する方法もありますし、相続税専門の税理士に相談したり、最近はSNSやネットで節税の情報も得られるので参考にするとよいでしょう。
終活その5:お墓について話し合う
家族が亡くなったら、いつもお参りにいく祖父母のお墓に入るものだと思っていたら、分家だと違ったり、従姉妹も私たち姉妹も嫁に出ているのでそのうち墓じまいや永代供養のことを考える必要があったり、我が家は信仰深い家ではないですが、それでもいろいろと考えることがあることに気づきました。
今回葬儀でお世話になった担当の方は長男でしたが墓じまいを考えているとおっしゃっていましたし、義父は遺灰を海に撒いて欲しいと言っていました。親の希望を軽く聞いておくだけでも将来的な負担が減るかもしれませんね。
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生前に「死」について話し合うのは少し勇気が入りますが、今は「終活」という言葉があるほど前向きに死について語り合える時代です。今回の父の死を受けて義理の両親も生前贈与やお墓について話し始めていますし、妹の義父は終活ノートに全て必要なことをまとめてあると聞きました。親の死を考えることで、私たち夫婦も自分たちの将来を考える機会にもなりました。
元気な時は考える機会があまりないのですが、生まれた以上必ず死と向き合う時がやってきます。今のうちに少しでも話し合うことで、将来の金銭的、精神的な負担が必ず軽くなります。皆さんも前向きな「終活」始めませんか?
Shiko/歯科医師、ヨガインストラクター、翻訳家