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ロンドンで起業した『UNITE AS ONE』|サッカーイベントでもたらしたい”繋がり”に迫る

Sports

幼少期からサッカーに触れ、筑波大学でも蹴球部で活躍。卒業後はサッカーをプレーすることから離れ、単身イギリスに渡った三浦雅人さん(以下、三浦)。
イギリスで触れたサッカー文化や自分が大事にしたい軸を再確認し、『UNITE AS ONE』という会社を起業しました。

渡英した理由や『UNITE AS ONE』での活動、三浦さんが大事にし続けたい想いを、お伺いしました。

第二の人生の幕開け

ーー大学卒業後、単身イギリスに渡る決断をされました。なぜ海外だったのでしょうか。

三浦)理由は2つあります。1つは、海外に行くことで新しい自分と出会えると思ったからです。筑波大学蹴球部の先輩の多くは海外の大学院に進学しています。先輩方の話を聞く中で、海外に行き新たな文化に触れることで知らない自分と出会えるチャンスがあるのではないかと感じました。
2つ目は、とにかく日本に居たくなかったということ。理由はうまく言葉にできないのですが、とにかく環境を変えて自分自身をリセットしたいという気持ちがとても強かったんです。これが一番の決め手となりました。

ーー大学卒業を機に、サッカーとは一旦区切りをつけた形になると思いますが、当時の心境を教えてください。

三浦)最後を迎えたときには「サッカーに疲れた」という気持ちの方が強くて。割とうまく切り替えられて、サッカーのない生活を楽しめていたように感じます。でも、半年くらい経った頃「次は何をしたらいいんだろう、自分って何者なんだろう」と未来に悩むようになりました。そのときはとても苦しかったですね。

ーー三浦さんにとって未来が明確になった瞬間はいつ頃だったのでしょうか。

三浦)ちょうど1年前ぐらいですね。だんだんぼんやりしていたものが削り取られていって、「自分ってこういうことがやりたいんだな」と、大事にしたい想いがやっと見えてきました。それが、“スポーツ”だったんです。スポーツは自分がずっと続けてきたものなので、その強みは生かし続けたいと感じました。そして、もう1つ大事にしたいと感じたのは、ワクワクという気持ち。この2軸を自分なりに形にするために、起業しようと決断しました。

スポーツで心と心が繋がる

ーー起業が明確になるまでに、イギリスでどんな気づきがあったのでしょうか。

三浦)スポーツが人の心と心を繋ぐきっかけになる、と確信できる体験がイギリスでありました。

イギリスに来た当初は英語もろくに話せずコミュニケーションに苦労する日々だったのですが、サッカーをしていた経験を伝えたり、街でサッカーボールを蹴っているだけで人が自然と集まって来ることがあって。言葉ではなく、スポーツで繋がった瞬間だなと今でも印象に残っています。

ーーそうした経験から、“スポーツで繋がること”を広めたい!という想いに繋がったのですね。

三浦)社名の『UNITE AS ONE』にも、“人と人との繋がり”の意味を込めています。事業は2つあり、“イベント事業”ではサッカーを中心としたイベントを通して、選手・保護者・協賛してくれる企業の心の繋がりを感じられる場面を増やしたいと考えています。もう1つはアスリート専属のシェフやトレーナーを仲介し、選手のよりよい環境を作るための繋がりを提供しています。

ーーどんな会社にしていきたいですか?

三浦)サッカーイベントは引き続き開催していきたいですが、もっというとサッカーに限らず、もしくはスポーツに限らず人と人を繋げるハブとなるようなイベントを開催していきたいです。開催場所も日本に限らず、世界各地で開催できたらと考えています。『UNITE AS ONE』を体現するイベントをたくさん実施して実績を増やしていきたいですね。

人と人を繋げるイベント

ーーアメリカのノースカロライナ州で行った『UNITE AS ONE』としての最初のイベントでは、三浦さんの姉の三浦成美選手とともにサッカー教室を行いましたね。

三浦)どこでやりたいかというよりは、誰と一緒にやりたいかという思いが強く、結果的にアメリカでのイベントが最初のものになりました。姉が、当時ノースカロライナ州のチームでプレーしていたんですが、一緒にサッカー教室やろうよと姉と話をしたのがイベント開催のきっかけです。

ーー振り返ってみて、どんなイベントになったと感じられますか?

三浦)改めて、「僕はこういうことがやりたかったんだ」と思えた時間になりました。初めての試みだったので不安もありましたし、場所もアメリカなので準備や交渉も英語ですべて進んでいくハードルもありましたが、最終的にはもともと用意していた参加枠を大幅に超えた人数にご参加いただくことができました。

イベント時にも楽しんでいる姿や笑顔をたくさん見られ、イベント終了後に「ありがとう」と言っていただいただけでなく、「今日はありがとう。子どももすごく楽しんでいました。」と子どもと選手の写真付きでたくさんの保護者さんからメールが届きました。そういった声は励みになりましたし、とても嬉しかったですね。

ーー昨年末には、母校・筑波大学のグラウンドでのイベントを開催しました。

三浦)このイベント開催は、筑波大学の小井土監督にお声かけさせていただいたことがきっかけとなるんですが、これも僕にとってすごく大きな成果となりました。
自分が育った場所でもある筑波で、自分が一緒にプレーしてきた選手たちとまたこうやって違う関係で関われることもすごく嬉しかったです。アメリカのイベント以上にたくさんの子どもたちが来てくれて、自分がやりたいと思い描いていたイベントに近いものを作れたなと感じています。

ーーイベントを開催するにあたって大事にしていることはありますか?

三浦)つくばのイベントに関しては、「アスリートにとってのホームをつくる」「子どもたちの夢を創造・応援する」「スポーツで地域を活性化させる」という3つの想いを掲げていました。

ーー「アスリートにとってのホームをつくる」というのはどのような意図があるのでしょうか?

三浦)つくばのイベントでは、筑波大学蹴球部出身のプロ選手が筑波大学に集まってサッカー教室を行いました。今後も続けていくことで、卒業したOBたちが集まる機会になり、OB同士の繋がりや現役生との繋がりの場にもなります。今年に一度「ただいま」と言えて、新たな繋がりが生まれる、そんな居場所になっていけばいいなと思います。

ーー子どもたちにとっても、プロの選手と触れ合う機会は貴重ですよね。

三浦)プロの選手がちょっとボールを触ったり、上手いプレーを見せるとすごく大きな歓声が上がります。そこからプロを目指す子どもやスポーツの魅力に気づく子どもが増えていってほしいなと思いますし、僕自身も夢を応援するのと同時に、夢をまず与えるという機会提供ができたらと思っています。

世界中でスポーツの輪を広げていきたい

ーー三浦さん自身、大学まで本気でプロを目指してサッカーに取り組んできて、まさに今“アスリートのセカンドキャリア”を体現されていると思いますし、実際にプロアスリートとの接点も多く持っていらっしゃいます。そんな三浦さんは、アスリートのセカンドキャリアについてどのように考えていらっしゃいますか?

三浦)アスリートのセカンドキャリアについては、サッカーを引退した頃の自分と重なる部分もあるので、他人事とは言えず、課題感はずっと感じています。
現役中はもちろん競技に集中しなければなりませんが、ある程度の時間とお金がある中で、どうさまざまなことにアプローチしていくかという視点が大事になってくるのではないかと考えています。

このような課題に対して『UNITE AS ONE』では、今自分がやっているイベント作りを現役アスリートと一緒に行っていこうと思っています。具体的には、プロ選手がイベントの“企画段階から”参加するというものです。スポーツ中心の生活で、ビジネススキルを学ぶ機会のないアスリートに対し、企画書作成などの段階から関わってもらうことで、彼らの将来のためにもなりますし、イベント自体にも“アスリートが企画から携わったイベント”という価値がつきます。こうしたイベントを今後増やしていければと思っています。

ーーとてもいいですね。今後三浦さんがチャレンジしていきたいことについて聞かせてください。

三浦)世界中でスポーツの輪を広げていきたいです。日本にとどまらず、サッカーを必要としている、そしてスポーツを必要としている都市や子どもたちに向けた取り組みができたらなと考えています。
とくにアジアはサッカーのマーケットがどんどん広がってきていますし、日本やヨーロッパ以上の熱狂度があります。実際に自分も触れてみたいというワクワクもずっと持ち続けているので近いうちに必ずイベント開催したいですね。

ーー最後に、三浦さんのサッカーに対する想いを聞かせてください。

三浦)自分を形成しているものは、すべてサッカーから得たものです。人の繋がりもそうですし、メンタリティの部分も。自分がプレーヤーとして関わっていたサッカーも、観戦するサッカーも、そして触れるサッカーも全部の時期が唯一無二の価値となっています。

実際、今一緒に仕事をしている方々も、すべてサッカーで繋がった仲間なんですよ。僕にとってサッカーはすべての始まりでもあるし、今後も消えることのない愛情というかそういったたくさんの想いがあります。
起業した今、プレーヤーとしてではない新たなサッカー人生が始まったなとも感じています。人のつながりやワクワクを体現するための新しい人生を歩んでいきたいです。

ーーありがとうございました。

写真提供:UNITE AS ONE

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