【茅ヶ崎 イベントレポ】第70回大岡越前祭 - 大岡越前守忠相公をしのび、市全体が湧いた2日間
2025年4月19日(土)・20日(日)の2日間、茅ヶ崎市で第70回『大岡越前祭』が開催されました。
茅ヶ崎市の4大イベント(大岡越前祭・湘南祭・浜降祭・サザンビーチちがさき花火大会)のひとつとしても知られている『大岡越前祭』。今回は記念すべき第70回目の開催となりました。
その歴史や見どころなどの情報を、大岡越前祭実行委員会よりご提供いただきました。当日の様子を交えてご紹介していきたいと思います。
大岡越前守忠相公と茅ヶ崎市とのつながり
画像出典:湘南人
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大岡家には知行地として堤村(現在の茅ヶ崎市堤)と下大曲村(現在の寒川町大曲)が与えられました。そのことが茅ヶ崎市と大岡家のつながりの発端となっています。
江戸時代の名奉行である大岡越前守忠相公は、人格・識見ともに優れ、時の将軍徳川吉宗公の信頼を得て江戸町奉行・寺社奉行の要職を歴任しました。「大岡裁き」としてもよく知られている通り、司法官としても偉大な功績を残しました。その一方で、町火消組織の設置など、経世家・文化人としても数多くの偉業を成し遂げた人物です。
大岡越前守忠相公は、1751年(宝暦元年)に75歳で亡くなりましたが、後の1912年(大正元年)に生前の功労に対し、従四位が贈位されました。これを機に大岡越前守忠相公の遺徳をしのび、大岡家ゆかりの地で大岡越前守忠相公の墓所のある、茅ヶ崎市堤の浄見寺・茅ヶ崎市にて『大岡越前祭』が執り行われるようになりましたが、関東大震災により中断されることとなりました。
『大岡越前祭』の再開
有志によって大岡越前守忠相公の顕彰碑建立が計画されるなど、大岡越前守忠相公に対する注目度も次第に高まりつつありました。その頃、市外への買い物客流出による営業不振を苦慮していた茅ヶ崎商業界では、全市を挙げての集客行事を模索していました。
茅ヶ崎市の市政十周年と小出村の合併というふたつの出来事が重なり、小出村の祭りであった贈位祭の主人公である大岡越前守忠相公を大々的に打ち出して、市全体の催しとして取り上げてはどうかと、当時の商工会議所役員が提案したことが再開のきっかけとなり、1956年(昭和31年)4月15日、第1回『大岡越前祭』としてその幕を開けました。
第70回の2025年も「大岡忠相公の偉業を広く顕彰するとともに、本市(茅ヶ崎市)商工業の振興を図る」ことを目的に開催されました。
第70回の見どころ
『大岡越前祭』といえば、例年ビッグパレードや神輿パレードなど、華やかな催しとたくさんの協賛行事で盛り上がります。
ここでは、第70回の記念事業として行われた行事を見どころとしてご紹介します。
墓前越前行列
『墓前越前行列』は、初日の2025年4月19日(土)浄見寺周辺で開催された子ども大名行列です。
節目節目で行われていて、前回は第60回の時に開催されました。地元の親子(親子でなくても、市内でなくても寛容にしているそうです)が参加できるパレードで、衣装に身を包み、浄見寺周辺を25分ほど練り歩きます。
画像出典:湘南人
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2025年は、一般社団法人江戸消防記念会・一般社団法人江戸消防記念会各区仲好会・浄見寺のご住職とお坊さん・大岡家第15代当主の大岡秀朗さんご夫妻・地元の参加者33名の親子・こども神輿らが大勢の行列になって練り歩きました。江戸時代を思わせる衣装に身を包んだ子供たちが、少し緊張した様子でありながらも嬉しそうに練り歩く姿がかわいらしかったです。
茅ヶ崎と大岡越前守 400年のえにし ‐縁‐
『茅ヶ崎と大岡越前守 400年のえにし ‐縁‐』は、協賛行事として茅ヶ崎市が「茅ヶ崎ゆかりの人物館」で開催している展示です。
大岡越前守忠相公の知行地であった堤村と、大岡家の歴史に焦点を当てた展示を開催しています。また、関東大震災で倒壊した大岡家の菩提寺・浄見寺を復興するため、昭和初期に山宮藤吉を中心に行われた大岡越前守忠相公の顕彰活動についても紹介されています。
開催期間が2025年5月6日(火・祝)までとなっているので、第70回『大岡越前祭』終了後も訪れることができます。大岡越前守忠相公の人物像や功績、茅ヶ崎市との絆を感じられる展示内容になっています。この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
【茅ヶ崎 学びスポットレポ】企画展「茅ヶ崎と大岡越前守 400年のえにしー縁ー」茅ヶ崎ゆかりの人物館 - 第70回「大岡越前祭」へとつながる地域の誇り
開催行事
2025年4月19日(土)
駅前コンサート
『駅前コンサート』は駅北口ペデストリアンデッキにて『大岡越前祭』を駅前から盛り上げようと始められたコンサートです。
市内の中・高・大学の吹奏楽部の発表の場となっており、各団体30分~2時間とボリューム満点のコンサートになっていました。初日を飾るイベントのひとつです。
画像出典:湘南人
トップバッターの県立北陵高校吹奏楽部(北陵ウインドアンサンブル)では、演奏前の調整から見ることができ、ビッグバンドによる「ナイトフライト」などの演奏の後、セット替えを挟んで吹奏楽による「セドナ」などを披露していました。
曲間には、ほのぼのとした楽しいMCもあり、観客の笑顔を誘いました。演奏はとても迫力があり素晴らしかったです。演奏中の真剣な表情に、この日のために練習を重ねてきたことが感じられました。会場には大勢の観客が集まり演奏に耳を傾けていました。
『駅前コンサート』には、県立茅ヶ崎北陵高等学校・県立茅ヶ崎高等学校・県立西浜高等学校・アレセイア湘南中学高等学校・文教大学湘南校舎・県立鶴嶺高等学校の6団体が参加しました。
墓前祭
画像出典:湘南人
茅ヶ崎市堤の浄見寺の本堂にて『墓前越前行列』後に大岡越前祭法要が行われました。
以前は大岡家の墓前で行われていた法要ですが、本堂の建て替えにより雨天でも開催できるようになったこともあり、現在は本堂で執り行われているそうです。
法要には、大岡家を始め、大岡奉賛会会長も兼任する茅ヶ崎市長・大岡越前祭実行委員長・茅ヶ崎観光協会会長・一般社団法人江戸消防記念会・一般社団法人江戸消防記念会各区仲好会など、多くの関係者が参列しました。
法要は、ちがさき観光親善大使でもあるDJ・HAGGYさんの司会で進められ、ご住職の読経に始まり、一般社団法人江戸消防記念会によるきやり(町火消の鳶が息を合わせるために歌ったかけ声)・ご住職の話・来賓の話などが続き、大岡秀朗さんからの挨拶で締めくくられました。
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法要後に、大岡家の墓所にお参りをしました。法要を終えて感じたのは、大岡越前守忠相公の遺徳をしのんで始められた『大岡越前祭』が、長く盛大に続けられているのには、紛れもなく大岡越前守忠相公の功績と大岡家がその精神をしっかりと引き継ぎ、茅ヶ崎市との絆を深め続けていることにも由来しているのだろうということでした。
2025年4月20日(日)
神輿パレード
画像出典:湘南人
ビッグパレードに先がけて、神輿パレードが開催されました。
12:30に厳島神社を出発し、駅北口ロータリーを回って、旧イトーヨーカドー荷捌き場までの約1時間半のコースです。
湘南連合神輿保存會・暁禊睦会・南湖の神輿3基、総勢685名の担ぎ手が「どっこいどっこい」の掛け声で威勢よく練り歩きました。
ビッグパレード
『大岡越前祭』で最も大きな盛り上がりを見せる『ビッグパレード』。
パレードの発端は街中を江戸時代の衣装を着て大名行列することで、街の賑わいを生み出していこうとしたことにあります。当時、商店会も『大岡越前祭』に合わせて大売り出しをしたのだとか。市全体がお祭り気分を盛り上げていたのでしょうね。
2025年は20年ぶりに大岡越前守忠相役を女性が担うとのことで注目を集めました。
例年、大岡越前守忠相役は市長が担っていましたが、第70回の節目ということで『大岡越前祭』を立ち上げた商工会議所青年部(若手経営者の集まり)の会長小菅麻里菜さんが務めました。
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13:00に茅ヶ崎小学校校庭にてDJ・HAGGYさんの司会のもと出発式を行い、大岡越前守忠相役の小菅麻里菜さんの合図で出発しました。
パレードは、茅ヶ崎駅周辺の約2.1キロメートルの距離を総勢800名が練り歩きました。ビューポイントの駅南口・駅北口周辺を中心に、沿道には沢山の観客が集まりました。
画像出典:湘南人
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目玉の越前行列では、奴頭が「やー!」と力強く見得を切り「お発ち!」とかけ声をかけ行列を先導しました。2年ぶりに馬に乗っての登場となった大岡越前守忠相公は、岡っ引役のDJ・HAGGYさんらを従えて、沿道からの声援に応えながら闊歩していました。
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また、大岡越前守忠相役を譲った茅ヶ崎市長は、小出地区まちぢから協議会下寺尾遺跡部会の古代衣装パレードに、縄文人の出で立ちで参加していました。
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バトントワリングやカラーガード・ダンスや一輪車などの演技や、マーチングバンドや吹奏楽・祭りばやしや尺八の演奏、火消しまといやきやりなど、大勢の参加者が楽しみながらパレードを盛り上げている様子が印象的でした。
パレードには、茅ヶ崎湘南マリンバトン(バトン演技)・鵠沼高等学校マーチングバンド部(マーチングバンド)・湘南ドルフィンズマーチングバンド(子供マーチングパレード)・SUNマーチングスクール(バトントワリング)・大磯マーチングバンド・マリンエンジェルス(マーチングパレード)・県立湘南台高校吹奏楽部(吹奏楽によるパレード)・茅ヶ崎市消防本部警防救命課(消防団横断幕パレード)・湘南SHOW点(赤とんぼ音頭&サンバ&共生ソング)・大岡家の乗るオープンカー(茅ヶ崎商工会議所)・ゆかりのまち提携をしている岡崎市及び災害時相互応援協定を結んでいる佐久市と関ケ原町・GRESアカデミコス・ダ・グローリア(サンバパレード)・湘南ユナイテッドBC(プロバスケットパレード)・小出地区まちぢから協議会下寺尾遺跡部会(古代衣装パレード)・円蔵祭囃子保存会(祭りばやし)・下町祭りばやし保存会(祭りばやし)・堤太鼓保存会(祭りばやし)・茅ヶ崎鳶工業組合(きやりまといパレード)・茅ヶ崎市役所尺八部(虚無僧による尺八の演奏)・茅ヶ崎商工会議所(越前行列)・茅ヶ崎一輪車協会(一輪車パレード)と、20もの団体が参加していました。
賑わう露店
画像出典:湘南人
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茅ヶ崎商工会議所南の通りには露店が立ち並び、両日とも沢山の人で賑わっていました。
協賛行事
『大岡越前祭』とともに、毎年たくさんの協賛行事が開催され、茅ヶ崎市全体を盛り上げています。
第70回である2025年も、以下の協賛行事で市全体がお祭りムード一色になっていました。
チャリティー市民ゴルフ大会(茅ヶ崎市ゴルフ協会)・第30節 湘南ユナイテッドBCホームゲーム(湘南ユナイテッドBC)・俳句大会(茅ヶ崎俳句連盟)・CHIGASAKI HIGH SCHOOL MUSIC FESTIVAL(Orange Music)・日本舞踊(日舞春の会)・大岡さばき(湘南えぼし座)・華道展(茅ヶ崎華道協会)・盆栽展示会(茅ヶ崎盆栽会)・浄見寺地元まつり(浄見寺地元まつり実行委員会)・思わず「へぇ~」な歴史発見!北部の史跡名所巡り(地元から発信する旅づくりの会)・露店市(県央イベント商業協同組合)
開催日が多少前後するものもありますが、こんなにもたくさんの行事がこの2日間に行われていました。まさに市全体を挙げて第70回『大岡越前祭』を盛り上げていたのだと実感できますね。
毎年、茅ヶ崎市が賑わうお祭りのひとつ『大岡越前祭』
第70回ということもあり、より多くの人が注目したのではないでしょうか。行事に参加している人、観ている人、そのどちらもがとても楽しんでいる様子で、茅ヶ崎市の明るさ・楽しさ・元気を感じられました。
大岡越前守忠相公をしのぶ心、歴史のある伝統行事とも、いつまでも変わることなく後世に受け継がれて欲しいと思いました。
また2026年の、第71回『大岡越前祭』も盛大に開催されることを願っています。
第70回大岡越前祭
開催期間
2025年4月19日・4月20日
開催場所
JR茅ヶ崎駅周辺
浄見寺周辺
駐車場:なし
主催
第70回大岡越前祭実行委員会