【住宅ローンの現実】50代と70代、世帯年収700万。ローン2,650万は妥当ですか?【FPが解説】
読者から寄せられたリアルな家計簿を大公開。今回は、住宅ローンのお悩みにフォーカスを当て、借入可能額や毎月の返済額の目安、家計の改善点についてファイナンシャルプランナーが解説します。【50代 会社役員】
【住宅ローン】50代、会社役員の場合
プロフィール
50代、会社役員
▼現状
世帯年収:700万円
住宅ローン:2,650万円
家族構成: 夫(70代、会社役員)との2人暮らし
地方在住
【相談内容】世帯年収700万円×住宅ローン2,650万円は妥当?
「住宅ローンを抱えているのに学資ローンの返済もあります。2つのローンを返済しながら老後資金も同時進行で貯めるのは難しいです」
世帯年収700万円の住宅ローンをシミュレーション
まずは、年収に対して何倍の借り入れをしているか確認してみましょう。
住宅金融公庫の「2023年度 フラット35利用者調査」によると、全国のフラット35利用者が実際に借り入れしている平均年収倍率は6.7倍*です。
世帯年収700万円の相談者さんの場合、借入額は2,650万円で年収倍率は約3.8倍。
収入に対する住宅ローンの負担は平均よりも軽めと言えます。
*……参考:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」(p.18)
毎月の住宅ローン返済額の目安は?
一般的に、居住費が家計を圧迫しすぎない目安は収入の25%以内といわれており、世帯年収700万の場合は毎月約14万6千円です。
相談者さんの現在のローン返済額は毎月7万8千円ですので、家計における住宅費の割合は理想的と言えます。
しかし、相談者さんは住宅ローンに加え、学資ローンの返済も毎月約4万円あるとのこと。
2つのローン返済と老後資金の貯蓄が同時進行となるのは、確かに大変と感じることでしょう。
その場合、返済と貯蓄のバランスを見極めながら、優先順位の高い項目から確実に対応することが重要です。
ローンを返済しながら老後資金を貯める方法
相談者さんは、ご夫婦ともに会社役員でいらっしゃいます。
退職時期が未定で収入が長期的に継続する可能性がある一方、退職金があまり期待できないかもしれません。
また、ご主人はすでに70代とのことで、引退が近い可能性があります。
すでに公的年金を受給されていらっしゃるかもしれませんね。
老後資金については、ご夫婦の生活費から年金収入を差し引いた不足分を把握し、それを補うための貯蓄計画をたてましょう。
そのためにも、ご夫婦で「いつまで」「どのように」働くかを話し合い、将来のライフプランを共有することが重要です。
住宅ローンと学資ローンの返済が最優先
老後資金の貯蓄はもちろん大切ですが、住宅ローンと学資ローンの返済が最優先です。
退職後に住宅ローンを年金収入だけで返済し続けることは現実的とは言えません。
さらに、2024年にゼロ金利政策が解除されたため、住宅ローン金利が上昇する可能性があります。
変動金利を選択されている場合、今後金利が大幅に上昇するようなら繰り上げ返済が有効です。
利息が高いローンほど、早期返済のメリットが大きくなります。
安定した収入があるうちに繰り上げ返済も視野に入れて検討することも重要ですよ。
まとめ
・相談者さんの住宅ローン借入額の負担は、年収の3.8倍で平均よりも低め。
・住宅ローンと学資ローンの返済が最優先。
・変動金利を選択している場合は、繰り上げ返済の検討も必要。
※この記事では媒体で募集した情報に編集を加えて掲載しています。
◆かげやま
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級
人には相談しにくいお金のこと。そんな悩みや不安を気軽に相談できるFPを目指しています。
お金の制度や保険について分かりやすく伝えます。