ベネディクト・カンバーバッチ、斎藤工に演技論説く「演技とはクルマの試乗運転のよう」 ─ 「役の解釈は最初の直感に循環して戻ることが多い」
ポップカルチャーの祭典「東京コミックコンベンション2024」が2024年12月6日に幕張メッセで開催された。最終日となる8日(日)のセレブ・ステージには、マーベル『ドクター・ストレンジ』でお馴染みベネディクト・カンバーバッチが登場。ステージに同席した俳優の斎藤工に向けて、演技論に関する質問に回答した。
「東京コミコン2024」アンバサダーを務める斎藤は、先輩俳優となるカンバーバッチ「コミックや漫画の原作を演じる際、原作のキャラクターを自分で演じる際に心がけていることは?」と質問。カンバーバッチは「いい質問ですね」と反応し、「IPがあるということは、つまりアリモノということですね。それは素晴らしいブループリントです。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でもマーベルでも、なんでもそうです」と語る。
「こういう場合も似たようなもので、そのキャラクターの小説を見ます。そして、自分が演じる以前に、どういう人物かと理解する。僕はそうします。脚本以前の段階で、どういう人物だったかを考えるのです。そして、手がかりを見つけるために脚本を掘り下げる。自分の年齢に置き換えてどういう人物か、何をしているのか、そういうバックストーリーにあたってみて、理解を試みる。それからは脚本家や監督、共演者たちとの対話ですね。そうすると育っていく。
面白いことにこうした旅路は、結局最初に考えていたところに立ち戻ることもあります。T・S・エリオット(文芸評論家)に言わせれば、循環というやつですね。素材や脚本から直感的に理解をして、色々と質問をして、それから(元々考えていたのと)同じ人物、同じ感覚に戻ってくることが多いんです。だから、多くの部分は直感です。でも頭では、その人がどんな人物なのかを理解しようとしています。」
©︎THE RIVER
続けてカンバーバッチは、演技とは車の運転に似ているとの比喩を持ち出す。「まるで、初めて運転する車に乗るような感じです。試乗運転みたいに、周りに人がいない時に試すんです。そうしてから、人がいる状態でリハーサルをやる。自分が運転しているものが何かを理解しようとする、その繰り返しですね」。
ベネディクト・カンバーバッチはCumberbatchマーベル映画『ドクター・ストレンジ』シリーズやドラマ「SHERLOCK」といったジャンル作品で世界的な知名度を得ているほか、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)ではアカデミー主演男優賞候補に。小規模な映画への出演や製作も積極的に行なっている。
このステージでは今後の待機作についても自ら紹介。マックス・ポーター小説の映画化『The Thing With Feathers』、1989年の『ローズ家の戦争』をオリヴィア・コールマンとともにリメイクした『Rose』、ベニチオ・デル・トロと共演のウェス・アンダーソン監督作『Phoenician Plan』が控えているという。