ピーク時は1時間に30の流れ星【ふたご座流星群2024】12/13深夜~14早朝がチャンス!観察ポイントを博物館学芸員が伝授
3大流星群のひとつ、ふたご座流星群。
1年を通じて流れ星の数が1、2を争う多さで、2024年のピークは12月13日(金)の夜から14日(土)の明け方にかけて。条件がそろえば、1時間に30もの流れ星が見られるかもしれません。
流れ星をたくさん見るためのポイントは?
富山市科学博物館 天文担当の学芸員に教えてもらいました。
そもそも「流星群」ってなに?
流れ星は「星」じゃない!?
実は流れ星はふだん見ている「星」ではありません。ほうき星(彗星)が残したチリ(流星物質)がもとになっています。
ほうき星は、たくさんのチリを出しながら宇宙の中を動いていき、その通り道にチリの集まりができます。地球がそれらのチリの中を通る時に、チリが大気と衝突すると、大気などが高温になって光を放ちます(プラズマ発光)。これが、流れ星。
私たちが流れ星と呼んでいるのは、実はチリの発光なのです。
チリの大きさは、直径わずか1mmから大きくても数cm。
とっても小さいのに、その光はとても明るくきらっと輝いて見えるんですね。
ある時期だけ流れ星が集中する「流星群」ってなに?
では、ある時期だけに集中して流れ星がたくさん見られるのはどうしてでしょうか?
それは、地球が太陽の周りを回っているから。
ほうき星(彗星)の通り道と、地球が太陽の周りを回る道(公転軌道)が交わるとき、流れ星のもととなるチリがたくさん残っているところを地球が通過することになります。そのため、地上からはたくさんの流れ星を見ることができるのです。これが流星群と呼ばれているものです。
地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっているので、特定の時期に特定の流星群が出現するというわけです。
ほうき星といえば…
ほうき星(彗星)と言えば、2024年は「紫金山・アトラス彗星」が全国各地で観測され、話題になりました。
彗星は、さまざまな成分を含んだ氷と砂つぶのような“ちり”が混じった、半径 数km~数十kmほどの天体です。地球やほかの惑星と同じように太陽の周りを周っています。
太陽に近づいた時、彗星を構成する氷などが気化して、尾のように見えるため、ほうき星とも呼ばれます。
ふたご座流星群
3大流星群のひとつ、「ふたご座流星群」
誕生日占いなどでなじみがある12星座のひとつ、ふたご座。星座名のとおり、明るい1等星ポルックスと2等星のカストルがなかよく並んで見えます。
ふたご座流星群は、このふたご座の方角(上の図の「放射点」マーク)から流れ星が四方八方に飛び出してくるように見えることから、こう呼ばれています。
ペルセウス座流星群(毎年7月17日~8月24日ごろ)と、しぶんぎ座流星群(毎年12月28日~1月12日ごろ)と合わせて、安定的に多くの流れ星を見ることができるため、3大流星群と呼ばれています。
流れ星のピークはいつ?
ふたご座流星群の一般的な出現時期は、12月4日から12月20日にかけてです。
ただし、もっとも多く流れ星が出現するピークは、2024年の場合、12月13日(金)の深夜25時~翌14日(土)の午前4時ごろです。
ピークを過ぎても数日の間は、天候などの条件がよければ多くの流れ星を見ることができます。体調や天気状況をみながら楽しみたいですね。
どの方角を見たらいい?
ふたご座の方角(放射点)から四方八方に飛び出してくるように見えるので、まずは、ふたご座を探してみましょう。
12月13日(金)の21時頃には東の空、深夜25時頃に天頂付近、明け方には西の空に見えます。ふたご座が高く昇ると流れ星の数が多くなります。
ピークは夜中の25時から早朝4時ごろですが、「そんな時間まで起きていられない」という人も多いでしょう。そんな人は21時頃からふたご座がきらめく方角を眺めてみてください。ただし、どの方角に流れるかはわからないので、なるべく広く空が開けたところで大きく空を見わたすようにしてください。夜空のどこにでも現れるので、あまり方角は関係ありません。
また、街の灯りや月明かりがあると観察しづらいので、それらの光が邪魔しない方向を見るのがオススメです。
ちなみに、満月の明るさと比較すると、流れ星の明るさはおよそ100万分の1。そのため月が出ていると流れ星が見えづらくなります。
2024年は12月15日が満月で、ほぼ一晩中明るい月明かりの影響を受けるため、暗い流星が見えづらく、観察の条件はあまりよくはありません。ただし、ふたご座流星群は明るい流星も多く流れるので、普段よりも多くの流れ星を見ることができるでしょう。
1時間に何個ぐらい見られる?
街の灯りが邪魔しない富山の一般的な郊外(4等星の明るさまで見える空)で見ることができると予想されている数は1時間あたり30個ほど。ピーク時で山奥などの理想的な条件なら1時間あたり40個に達すると予想されています。
仮に1時間に30個だとしたら、単純計算でおよそ2分に1つ。等間隔で流れるわけではないので、あくまで目安ですが、相当チャンスは高そうです。
12月の屋外は1~2分といっても寒さがこたえますが、数分であきらめたりするのはもったいない! 最低でも15分は観察してください。
観察に必要なものは?
流れ星は肉眼で十分に観察することができます! 望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。
ただし、あると便利なのは、星座早見盤。
流れ星を観察する合間に、星座や星を調べることで学びや発見も広がります。
また、夜空を見上げたままの姿勢で長時間も空を見続けるのが大変な場合は、安全な場所を確保して、寝転んで観察できる環境を整えるのもオススメです。ただし、とにかく寒いので風邪などひかないよう防寒対策を十分に行ってください。
また、深夜の暗い場所で観察することになるので、野生動物や車の往来などにも気をつける必要があります。くれぐれも安全の確保と、他人の迷惑にならない場所を選ぶようにしてください。
【富山市科学博物館】
住所 富山県富山市西中野町1丁目8-31
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)