資生堂が新たな中期経営戦略を発表 2026年までの2年間で日本・中国を中心に450億円のコスト削減
資生堂は11月29日、2026年までの2年で実行する新たな中期経営戦略を発表した。「ブランド力の基盤強化」「高収益構造の確立」「事業マネジメントの高度化」の3つの戦略を掲げており、最優先で取り組むとしている。
資生堂は、注力するブランド、撤退もしくは規模を縮小するブランドを明確にしていく。売上高構成比で約50%を占める「シセイドウ(Shiseido)」「クレ・ド・ポー ボーテ(clé de peau Beauté)」「ナーズ(NARS)」の3ブランドを「コア3」と設定し、マーケティングをさらに強化していく。「アネッサ(Anessa)」など5ブランドは「ネクスト5」と位置付け、「コア3」と「ネクスト5」で2026年までにマーケティング投資を300億円増額する。これ以外のブランドは、それぞれの収益性や成長性を検証し、戦略的な撤退や縮小を検討していくとしている。
また、資生堂は今年2月、関連子会社である資生堂ジャパンの従業員を対象に約1500名の早期退職者を募集し、構造改革費用として約180億円を計上している。8月末には原宿駅前の複合施設「ウィズ原宿(WITH HARAJUKU)」1階の美容施設「ビューティ・スクエア(Beauty Square)」を閉店し、コストの構造改革を進めている。中期経営戦略においても、主に日本と中国でコスト構造改革を実行し、2025年に200億円超、2026年に250億円超の固定費を削減する考えだ。
一方で、厳しい状況が続いている中国事業とトラベルリテール事業に関しては、長期的に見れば市場規模と成長性は大きいとしながらも、具体的な戦術については乏しい印象だ。中国では、「国風潮流」「国潮」と呼ばれる自国のオリジナルブランドを積極的に消費するムーブメントが2022年ごろから起きており、「Jビューティ」と呼ばれるジャパンブランドは苦戦している。
高収益事業であるトラベルリテール事業も、2024年12月期の第3四半期の累計決算では売上高は857億9200万円で、前年同期から21.0%減少し、売上高構成比は前年の13.6%から8.8%に低下している。中国事業とトラベルリテール事業は、事業基盤を再構築するとしているが、さらなる具体策が求められる。