上海からマカオに飛んで「澳葡菜(マカオ式ポルトガル料理)」を食べてきた。
昨年末、マカオで開催されたアートブックフェアに出展しました。
マカオは香港に行ったときに日帰りでちょこっと行ったことがある程度。多くの方にとって、マカオはそういう感じの旅先だと思います。上海から直でマカオに飛び、香港には行かず、マカオに腰を据えて滞在する旅行者は、カジノにハマっている人以外いないのではないかと思います。
でも、澳門半島の古い街並みのなかの宿に滞在して日々路地を歩いていると、知らなかったマカオの表情にたくさん出会うことができました。長めのマカオ旅行、お勧めです。
道教の廟や老舗食堂が集まる路地・十月初五日街に長く滞在しました
そんななか、街の中のお店の看板を見て初めて知ったのが「澳葡菜」という言葉。「マカオ式ポルトガル料理」という意味のようです。
というわけで今回は、先入観ゼロ、ガチポルトガル料理知識ゼロの状態で「澳葡菜」を食べ歩いてみることにしました。
まずはイワシ。
私は何の料理ジャンルでもイワシ好きなので(寿司も焼いたのも缶詰もアンチョビも)、ポルトガル料理もイワシのイメージがあり、「まずはイワシ」と思いました。
「澳葡菜」のスタンダードなイワシ料理「焼沙甸魚」は、たっぷりのオリーブオイルで焼いて香草を添えたもの。塩気があるので、ポートワインの白にぴったり。ポルトガルビール「スーパーボック」にもぴったり(マカオでレストランに入るとこれ一択なことも)。
太ったイワシをオリーブオイルで
澳葡菜のお店でビールを頼むとだいたいこれ
イワシのサラダ「無骨沙丁魚沙律」は、マリネ的なものかと思ったら、運ばれてきたのは天ぷらみたいに開いて揚げたイワシのせサラダでした。ドレッシングはオリーブオイルと塩というシンプルさ。
揚げたイワシはほぼ和食の味
イワシ以外で、マカオでよく使われる魚といえば「馬介休」だそう。乾物屋や土産物店でも、フカヒレや花胶(魚の浮き袋)に混じってこの「馬介休」が店先にぶら下がっています。
最初メニューで見たときは何のことかわからず、中国語→ポルトガル語→日本語と翻訳して「バカリャウ」という干したタラであることが判明。
定番料理は「馬介休球(干しタラのコロッケ)」です。タラの風味のとろとろのマッシュポテト入りコロッケという感じ。
馬介休コロッケ。これ、もっと全世界に伝わっても良いと思う
肉料理の定番は「非洲鶏翅(アフリカン・チキン)」のよう。
このネーミング、なんだか適当に付けたような印象を受けるのですが、大航海時代のポルトガルからマカオまでの航路が関係しているそう。アフリカから東南アジアまでのルートで影響を受けてきた料理だそうで、味はココナッツ系の甘口スパイシー。知らないで食べたらマレーシア系中華と思うかもしれません。
最初にも書きましたが、ほとんどの人が日帰りで帰ってしまうような小さな地域に、こんなに歴史を感じる料理があるなんて。マカオ料理の奥深さを思い知った気がしました。
見た目はジャンクな感じだけど、壮大なルーツを感じる味付けに驚く
「芫茜蒜茸辣蝦仔」は、芫茜(香菜)入りのエビのアヒージョ。パセリの香りが新鮮でした。上海って、洋食ではバジルやルッコラ率は高いけどパセリはあまり使わないような。懐かしい風味でした。
小皿おつまみ系のメニューがたくさんあるところも澳葡菜の魅力
最後に定番の「蛋撻(エッグタルト)」を。人気店は午後には売り切れてしまうそうなので、朝、オープンと同時に焼きたてを食べに行きました。
中はやけどしそうなほど熱々。ひたすら優しい卵味に、香ばしい焦げ目、持つとすぐ崩れてしまうほどのふわふわのパイ生地。「現地で作りたてを食べるのがいちばんで、お土産で持って帰れないスイーツ」ランキングを作るとしたら間違いなく世界一だと思います。
前回来たときは売り切れで食べられなかった人気店「瑪嘉烈」にて
ほかにも、ポルトガルプリン、鴨ご飯、カニカレー、牛テール煮込みなど、気になる澳葡菜はまだまだあったのですが、日程的、ほかの料理も食べる計画的な理由で断念。
でも、私としては食ももちろんなのですが、マカオの魅力は人のやさしさだとブックフェアに参加してすごく思いました。上海(大陸)住みの日本人とわかるとわざわざ人民元を用意してきてくれたり、すぐに普通話に切り替えて会話してくれたり。頑張って使えるようにした「Mpay」(マカオの決済アプリ)もほとんど使わなくてよかったほど。
マカオは今年も行く予定です。
(萩原晶子)
店舗情報
大堂街8号葡国餐廳
澳門大堂街8号
12:00-22:00
老地方
澳門福隆新巷新馬路旁辺
12:00-21:00
瑪嘉烈
澳門馬統領圍66号
8:30-16:30