防災訓練にも猛暑の影響 大井町が熱中症回避へ時期変更
大井町は、過去10数年来8月最終日曜日に行ってきた「大井町総合防災訓練」を、今年から10月第3日曜日に、時期を移動して開催する。夏の猛暑を避けるのが狙い。
地域の「総合防災訓練」は、これまで8月30日から9月5日までの防災週間に合わせて行われることが多かった。しかし近年、猛暑日が過去にない頻度で見られるようになり、参加者らの熱中症リスクを懸念する声が高まっている。
こうした中、大井町では、コロナ禍の中断から訓練を再開した22年、23年と、各地域の自主防災組織が実施する訓練において、屋外型訓練を避ける自治会もあったという。昨年9月には町内の西大井自治会が、町に対し、防災訓練の開催時期変更に関する嘆願書を提出。芹澤公一会長は「高齢化が進む中、訓練では30分程度移動しなければならず、猛暑の中ではきついとの声も出ていた」と振り返る。
これらを受け、大井町は今年から「大井町総合防災訓練」を10月の第3日曜日(今年は10月20日)に変更することを今年4月に発表した。これに伴い、夏の防災関連イベントは、毎年12月上旬に行っていた「防災講演会」を8月最終日曜日(今年は8月25日)に開催していくという。大井町防災監の黒木研治さんは「暑い夏や寒い冬を回避し、本来行うべき防災の基本・基礎が行えるよう、行政としては訓練基盤を適切な時期に提供することが必要と考えました」と話した。芹沢会長は「ほかの地区でも、暑さを避けた時期での開催を希望する自治会が多かったと聞く。今回の決定については歓迎します」と話している。
近隣市町の対応
南足柄市と松田町は、今年の総合防災訓練を9月1日に実施する。両市町とも、猛暑での開催はさまざまな意見があるといい、「来年以降は自治会などと相談しながら考えていきたい」と口をそろえた。山北町と開成町は暑さ対策を考慮し、それぞれ9月と10月に実施するという。