大正型関東地震 神奈川県 想定死者数の半減めざす 最新調査もとに戦略改定
神奈川県はこのほど、「県地震防災戦略」を策定した。2016年に策定した戦略が今年3月に期間満了を迎えることを受けて、最新の地震被害想定調査結果を踏まえて改定した。新たな戦略では、県内最大規模の被害が想定される大正型関東地震による死者数の半減を目標とした。
改定した戦略では、今後10年間(2025年度〜34年度)を目標期間とし、「誰一人取り残さない防災」を基本理念に据えた。大正型関東地震で想定される直接死1万9780人と災害関連死9460人を含む死者数(冬・午後6時想定)の半減を目標とした。16年策定時の想定総死者数は3万1550人だった。
能登半島地震や熊本地震の教訓を踏まえ、高齢者や障がい者などの要配慮者の被災率や災害関連死、避難所における女性への視点の欠如も「今なお繰り返される課題」と位置付けた。
重点プロジェクトとして、「防災DXの推進」や「防災に関する知識・意識の向上」、「要配慮者対策」など10項目のプロジェクトを取りまとめた。住宅などの耐震化推進やストレスフリーな避難生活環境の確保、被災者の生活再建も重点的に取り組む。
自助・共助・公助が一体となった取り組みを積極的に推進し、県民一人ひとりと事業者の防災意識の向上を目指す。
震度7の揺れも
大正型関東地震が発生した場合、県内ではほぼ全域で震度6強以上の揺れが想定され、川崎、横浜、湘南、県央、県西地域にかけては震度7で甚大な被害が予測される。
地震発生直後には、県人口の半数を超える518万人が断水の被害を受け、その復旧には約50日を要する指摘もある。
津波は相模湾沿岸で6〜10m、東京湾沿岸で2〜4mの高さが想定され、相模湾内で5〜10分、東京湾内で25〜45分で到達が想定される。
中間で見直しも
県は、目標期間のおおむね中間年に進捗状況の点検を実施し、必要に応じて戦略の内容や施策の見直しを行うとしている。今回の改定を通じて、県民の安全・安心の確保に向けた取り組みを一層強化する構えだ。