「エロイカより愛をこめて」の原画も多数登場!「漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき」が6月1日まで根津『弥生美術館』で開催中
青池保子氏のマンガ家生活60周年を記念し、2023年に神戸からスタートした巡回展示「漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき」。そのフィナーレを飾る展覧会が、2025年6月1日(日)まで東京都文京区の『弥生美術館』で開催中だ。東京会場のみ出品の原画も含めて、約300点の原画が展示されている。TOP画像=「エロイカより愛をこめて」1982年『プリンセス』5月号扉 秋田書店蔵 (C)Aoike Yasuko(Akitashoten)本会場のみ展示【前期展示】
美しく華麗な青池保子作品の世界へ
15歳のとき「さよならナネット」でデビューして以来、少女漫画家として活躍し続ける青池保子氏(1948-)。1976年に発表された「イブの息子たち」では、ロック歌手や歴史的な美少年が多数登場するコメディを描き、少女漫画の新境地を開拓。さらに翌年に発表されたヨーロッパを舞台としたアクション・コメディ「エロイカより愛をこめて」は長期連載の大ヒット作となり、今も多くのファンを魅了し続けている。宝塚歌劇で舞台化された「エル・アルコン ―鷹―」「アルカサル ―王城―」、また「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」など、本展では多岐にわたる代表作の原画が一堂に会する。
展示担当学芸員の外舘さんは「本展覧会は、神戸、下関に巡回し、当館が最終会場となります。美麗で緻密なカラー原画とモノクロ原稿、約300点(前・後期の合計点数)に加えて、本会場だけに展示される新たな原画も展示中。細部まで描き込まれた、美しく華麗なカラー原画は必見です。ぜひ会場でご覧ください。またオリジナルグッズやコラボメニューもご用意していますので、合わせてお楽しみください」と、見どころを語ってくれた。
初期作品から不朽の名作まで全8章で画業をたどる
女子高生漫画家としてデビューした当初の「さよならナネット」をはじめ、中学3年時に描いたギャグ・コメディ「イブの息子たち」を中心に、貴重な作品から初期の画業を紹介する第1章、第2章。
また、第3章から第6章では下関出身の青池氏が愛した海を舞台にした作品や、歴史上の人物を調べ、絵物語として描いた作品の数々が登場。細密な調査と円熟期を迎えた画力も相まった、カラー原稿の艶やかな美しさ、モノクロ原稿の繊細さにふれられる。
第7章、第8章では「エロイカより愛をこめて」の世界へ。ヨーロッパを舞台に描かれたアクション・スパイコメディとして1977年『別冊ビバプリンセス』1号から連載が開始された大ヒット作の原画の数々に圧倒されそうだ。
さらに東京会場では青池氏の仕事場に飾られていた宝塚歌劇の「エル・アルコン―鷹-」公演ポスター2点が新たに加わるほか、下関会場から追加された「初期の頃の構想ノート」も展示される。構成はそのままに前期と後期で原画作品が入れ替えられるため、ぜひとも2回は訪れたい。
4月には青池氏のサイン会の開催も予定されているので、日時などをHPでチェックしよう。
2025年3月23日(日)青池保子を語る!浦沢直樹×上條淳士トークイベント開催
2025年3月23日(日)17時30分~18時40分、「漫勉」で青池保子氏と共演したマンガ家・浦沢直樹氏と青池ファンを公言するマンガ家・上條淳士氏の2人が、青池作品の魅力やマンガ文化について熱く語るトークイベントが『弥生美術館』1階展示室内で開催。定員60名、参加費3500円(入館料込み)。申し込みは2025年2月14日(金)12時~25日(火)16時、公式HP内URLから(申し込み多数の場合は抽選)。※青池保子氏の登壇はなし。
開催概要
「漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき」
開催期間:2025年2月1日(土)~6月1日(日)※前後期で約140点を展示替え
前期:2月1日(土)~3月30日(日)
後期:4月2日(水)~6月1日(日)
開催時間:10:00~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(ただし2月24日・4月28日・5月5日は開館)・2月25日(火)・4月1日(火)
会場:弥生美術館(東京都文京区弥生2-4-3)
アクセス:地下鉄千代田線根津駅・地下鉄南北線東大前駅から徒歩7分
入場料:一般1200円、高校・大学生1000円、小・中学生500円
※竹久夢二美術館と合わせて観覧可。
※障がい者手帳を持参の本人のみ500円引き。
【問い合わせ先】
弥生美術館☏03-3812-0012
公式HP https://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html
取材・文=前田真紀 画像提供=弥生美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。