″逃げ若″北条時行に光 鎌倉の歴史文化交流館、国宝館で展示中
週刊少年ジャンプ(集英社)に連載され、今年7月からアニメ放送されている『逃げ上手の若君』の主人公として、一躍脚光を浴びる北条時行。鎌倉幕府14代執権・北条高時の息子で、幕府滅亡後も再興を目指して動いた。鎌倉歴史文化交流館の学芸員・鈴村楓実さんは、「時行に関する資料自体があまりないが、何点か見つけられた」と言い、現在開催中の企画展に並んでいる。
「ここまで時行に注目が集まるのは驚き。マンガでの連載がなかったらスポットが当たることがなかったかもしれない」。学芸員の鈴村さんが語る通り、これまでに時行が大々的に取り上げられることはなかった。
北条時行は1329年頃に誕生。父は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の義時と同じく、将軍を補佐する役職・執権を務めた高時。義時が2代目なのに対し、高時は14代目だ。1333年、高時をはじめとする北条一族ら800人余りが東勝寺で自害し、鎌倉幕府は滅亡。時行はその後、幕府再興に向けて戦い続け、鎌倉奪還を果たした。
太平記絵巻や書状社務記録に記載
9月21日に始まった鎌倉歴史文化交流館の「北条氏150年栄華の果て-鎌倉幕府滅亡-」(前期〜10/26・後期10/28〜11/30)では、前期に時行の名が記された太平記絵巻を初展示。パネルでも解説する。後期には、鎌倉を奪還した際の北条時行奉行等連署状(明王院蔵)を出品。
また、鎌倉国宝館で10月14日まで開催されている特別展「国宝鶴岡八幡宮古神宝」では、時行の最期について記された鶴岡社務記録が展示中。
鈴村さんは時行について、「鎌倉を奪還した若き英雄。自分が北条の一族であるということが、心を動かしていたのかな」と思いを馳せた。