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ミュージカル『エリザベート』コンサート in シェーンブルン宮殿などに出演のウィーンミュージカルスター、マーク・ザイベルトの魅力に迫る

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ミュージカル『エリザベート』コンサート in シェーンブルン宮殿

ミュージカル『エリザベート』コンサート in シェーンブルン宮殿、ミュージカル『モーツァルト!』ウィーン版がWOWOWオンデマンドで配信中だが、この度、両作品に出演しているウィーンミュージカルスター、マーク・ザイベルトの魅力に迫るコラムが届いたので紹介する。

ウィーンミュージカル最高傑作『エリザベート』でトート役、さらに『モーツァルト!』ではコロレド大司教役を演じ、まさにウィーンミュージカルスターの頂点の地位を不動のものにした、マーク・ザイベルト。
WOWOWでの放送・配信をご覧になり、その魅力のとりこになった方も多くいらっしゃることでしょう。マーク・ザイベルトのどんなところが素敵だと思いますか?ほかのどんな作品で彼を見てみたいですか?

今回は、マークの過去の出演作品や、他のミュージカルスターと一線を画する特徴、ファンにおすすめの楽しみ方など、マーク・ザイベルトの魅力や人気の秘密を、ウィーンでミュージカルを見続けて20年の現地在住ライターがご紹介します!

ミュージカル『モーツァルト!』ウィーン版       (C)VBW Rafaela Proell


人気スターとしての魅力

『エリザベート』のトート役や、『モーツァルト!』のコロレド役にふさわしい、がっしりとした体格と、精悍なルックスは、マークの一番の魅力と言えるでしょう。さらに、そんな外見によく合う、クールな目つきや力強い歌声だけでなく、時折見せる切なげな表情や、繊細な高音の響きというギャップもまた、多くのファンを引き付けます。
活躍の場も、ウィーンを含むドイツ語圏だけでなく、来日コンサートや『エリザベート』上海ツアーの出演歴もあり、海外でも大人気。有名作品に次々と出演する一方、コンサート活動やCD制作にも意欲的なのも、マークファンにとってはとてもうれしいポイントですね。

出演作品のキャストアルバムに加え、ソロCDやライブ、ガラコンサートも合わせると、マークの歌を収録したCDはなんと40枚以上。

コンサートでは舞台とはまた違ったマークの声や表情、選曲を楽しむことができ、ドイツ語圏ミュージカル界全体を盛り上げます。活躍の場を広げるマーク・ザイベルト。そんなマークも、今の彼らしさを築くまでに、長い道のりがありました。

(C)VBW Deen van Meer


デビューからトップミュージカルスターへ

ドイツ、フランクフルト出身のマークは、進路を経済学からミュージカルに切り替え、ウィーンの音楽大学に留学したという異色の経歴の持ち主。在学中からすでに大舞台に立っていたというから驚きです。

デビュー作品は、2003~2004年にウィーンで上演されたオリジナル作品『バーバレラ』。美しい肉体を生かしたターミネーターのような役が強烈なインパクトでした。その次の出演作品は、『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でおなじみの、ルカス・ペルマンがロミオ役を演じて話題をさらった『ロミオ&ジュリエット』。ティボルト役のマークが、赤いキャピュレット家のコートをはだけ、スポットライトを浴びながら歌う「本当の俺じゃない」は、多くのウィーンの観客の視線をくぎ付けにしました。

その後オーストリアの演劇祭で『アイーダ』のラダメス、『ヘアー』のクロードなどの大役を務め、ドイツ、シュトットガルトの『ウィキッド』でフィエロ役、ベルリンでのオリジナルコメディ作品と、コミカルな役にも挑戦します。各地でのコンサート出演やCD制作も精力的に行い、演技や表現の幅に磨きがかかります。

そして数年ぶりに、満を持して再々演『エリザベート』のトート役としてウィーンに戻ってきたマーク。2年間のロングランを務めあげ、名実ともにウィーンミュージカルの大スターとなりました。歌のトレーニングとソロコンサート出演により、声量が増え、高音の表現が豊かになったマークを見て、トートという誰もが憧れる役を手に入れても、まだ成長を続ける姿が、力強く進む彼らしいなと感じたことを覚えています。

Getty Images

2013年7月の『ウィーン・ミュージカル・コンサート2』で来日したのは、ちょうどこの頃でした。仲良しのルカス・ぺルマンとの息の合った舞台上の姿を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

その後も、『エリザベート』上海ツアーなど、精力的に活動を続けるマーク。『モーツァルト!』再演ではウィーンに戻って、コロレド役を務めた姿は映像に収められ、WOWOWでも放送・配信されました(WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信中)。続いて、ウィーンミュージカル新作『シカネーダー』(作曲は『ウィキッド』のスティーブン・シュワルツ)では、タイトルロールを射止めます。モーツァルトのオペラ『魔笛』のプロデューサー兼作詞家、出演者でもあるシカネーダーは、マークの魅力をたっぷりと生かした役でした。

更にウィーン再々演の『ダンス・オブ・ヴァンパイア』では、クロロック伯爵役を演じるなど、誰もが一度は演じてみたい役を次々と射止め、2019,22,23年の夏には、シェーンブルン宮殿野外コンサート版『エリザベート』に再びトート役で出演。歴代シシィであるピア・ダウエス、マヤ・ハクフォートとの共演を果たします。そのうち2022年版は映像に収められ、WOWOWオンデマンドで視聴可能です。

(C) Katharina_Schiffl

2022年には、ウィーン再演版『レベッカ』のマキシム・ド・ウィンター役で出演し、ウィーンミュージカルの代表作ともいえる、『エリザベート』、『モーツァルト』、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』、『レベッカ』全てに出演したことになります。ほぼデビュー当時から見続けている筆者としては、マキシム役を堂々と演じることができる経験と風格を身に着けたマークに、頼もしさを実感すると同時に、力強い歌声と、クールな中にも熱い炎を秘めた演技が、作品に新鮮な印象をもたらしたと感じました。

こうして、ウィーンでもドイツでも不動のミュージカルスターの地位を築いたマーク・ザイベルト。最近ではオーストリアの湖上演劇祭にて、『マイ・フェア・レディ』のヒギンズ教授を演じる一方、小劇場作品でひとり芝居を行うなど、新しいチャレンジを続けています。

コンサート活動やソロCD、プライベートも

各地の舞台作品に精力的に出演し続けてきたマークですが、合間には、数えきれないほどのコンサートを行っています。ソロコンサートだけでなく、コラボにも熱心で、ガラコンサートのほかに、ドイツ語圏男性ミュージカルスター4人組のユニット「ミュージカル・テナーズ」の活動も人気です。どこにそれだけの体力があるのかと思ってしまいますが、あの体格ならスーパーマン並みかもしれませんね。

CD制作にも意欲的で、ソロCDはアンプラグド、ライブ、ポップス、クリスマス曲など多種多様に取りそろえて6枚リリース。更に、ユニット公演やガラコンサートCDの他、ライブDVD、加えて舞台出演作品のCDが多数ありますので、マークファンが全CDとDVDを集めていると、棚が埋まってしまいそうですね。ファングッズも充実していて、毎年新しく出される撮り下ろしカレンダーは、ドイツ語圏ミュージカル界一の売れ行きです。

(C) Katharina_Schiffl

これだけ継続的にコンサート出演を続けてきたマークは、本人もMCで、「コンサートが大好き」と語っています。特に彼の高音の魅力を生かせる曲は、コンサートで輝く場合も多く、コンサート出演で歌の技術を磨き、それを舞台で実践しているような印象すら受けます。

コンサートで歌うことで成長し、舞台上でも愛されるマーク。そんなマークは近年、経験を活かし、自ら出演するコンサートのプロデュースや芸術監督を務めるまでになりました。ソロやガラコンサート、音楽祭、野外コンサートへの出演など、2025年も驚くほど多数のコンサート出演の予定が控えています。

40代を迎え、次第に貫禄のある役が似合う大人の男へと変貌を遂げ、その人気は衰えるところを知りません。次々新しい分野に活躍の場を広げるマーク。次はどんな姿で会うことができるのか、楽しみで仕方ありませんね。

文章:御影実

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