ドローンで東海道新幹線の橋りょう点検 JR東海などが目視エリア外飛行の実証実験(愛知県一宮市、岐阜県羽島市など)
鉄道業界で急ピッチで進む働き方改革。人手による作業を機械に置き換える、シンボルの一つがドローンによる施設点検だ。
JR東海は、愛知県一宮市から岐阜県羽島市にかけて東海道新幹線トラス橋をドローン撮影する実証実験を実施した。目視エリア外(目に見える範囲外)での安全な施設点検を実用化する目的。
国(国土交通省)によるドローンの飛行レベルでは、レベル3(無人エリアでの目視外飛行)と、レベル4(有人エリアでの目視外飛行)の中間のレベル3.5フライトが目標。飛行前に、ドローンのカメラで人や車両がいないことを確認した上で目視外飛行する。
JR東海のパートナーは、東京都渋谷区に本社を置くスカイピーク。2017年創業のスタートアップ(ベンチャー)企業で、主に産業用ドローンの人材育成を手掛ける。
スカイピークとJR東海は2024年12月、コンサルティング契約を締結。契約に基づき2025年3月24日、愛知、岐阜県の鉄道施設周辺でレベル3.5飛行を実施した。
実証飛行では、フライト中のリモート管制にトラジェクトリー(東京都港区)、機体の提供・改造にイームズロボティクス(福島県南相馬市)、飛行申請にバウンダリ行政書士法人(東京都千代田区)の各事業者が協力した。
実際の飛行では、飛行情報の管理システム・UTMを活用。列車運行に影響しない十分な間隔を保ちながら、撮影・点検できることを確認した。
JR東海は現在、機体を目視しながらのレベル1~2でのドローン点検を採用するが、今後は目視外飛行を早期に実用化して、作業効率の向上につなげる。
記事:上里夏生